春のマイル王決定戦
日曜日、東京競馬場でGⅠ・安田記念が行われる。昨年覇者のロマンチックウォリアーをドバイターフで下したソウルラッシュを筆頭に、同馬に中山記念で先着したシックスペンスやエコロヴァルツ、3歳マイル王で約1年ぶりの国内戦となるジャンタルマンタルなどが参戦する。
東京での5週連続GⅠの締めを飾る一戦。久しぶりに雨の心配をしないで予想できるレースとなりそうだ。果たして春のマイル王に輝くのはどの馬か。過去10年のデータから検討する。
日曜日、東京競馬場でGⅠ・安田記念が行われる。昨年覇者のロマンチックウォリアーをドバイターフで下したソウルラッシュを筆頭に、同馬に中山記念で先着したシックスペンスやエコロヴァルツ、3歳マイル王で約1年ぶりの国内戦となるジャンタルマンタルなどが参戦する。
東京での5週連続GⅠの締めを飾る一戦。久しぶりに雨の心配をしないで予想できるレースとなりそうだ。果たして春のマイル王に輝くのはどの馬か。過去10年のデータから検討する。
<安田記念 脚質別成績>
逃げ【1-2-0-7】
勝率10.0%/連対率30.0%/複勝率30.0%
先行【1-2-1-31】
勝率2.9%/連対率8.6%/複勝率11.4%
差し【6-3-6-52】
勝率9.0%/連対率13.4%/複勝率22.4%
追込【2-3-3-41】
勝率4.1%/連対率10.2%/複勝率16.3%
昨年も述べたが、安田記念は前で運ぶ馬にきついレースである。逃げ馬の3連対は16、17年のロゴタイプと19年のアエロリット。マイルの一流馬のみが成しえたもので再現性は低い。4角2~4番手も【1-2-1-31】とほとんど残れていない。
今年も先行馬は大きく評価を下げる。中でもジャンタルマンタルはこれまで全てのレースで4角4番手以内。レコード決着の皐月賞を3着に粘り切った実績もあるものの、3歳春からほとんどレースに使えず1年が経っている点も踏まえて消しとしたい。
前走脚質で言うと(※海外除く)4角5番手以下が【7-3-7-72】複勝率19.1%、その内前走上がり33秒4以内だと【5-2-2-29】同23.7%、安田記念で4番人気以内に推されれば【4-2-1-6】同53.8%まで信頼度が高まる。
3走連続で4角10番手以下から好走しているウォーターリヒト、同コースの富士Sでソウルラッシュに勝利経験のあるジュンブロッサム、レコード決着の京王杯スプリングCで最後方から4着のレッドモンレーヴあたりは要注意だ。
<安田記念 人気別成績>
1番人気【2-3-3-2】
勝率20.0%/連対率50.0%/複勝率80.0%
→単勝オッズ3倍未満【0-3-2-0】
勝率0.0%/連対率60.0%/複勝率100.0%
2~5番人気【4-6-4-26】
勝率10.0%/連対率25.0%/複勝率35.0%
→東京重賞勝ち馬【4-6-3-14】
勝率14.8%/連対率37.0%/複勝率48.1%
次に人気別成績を見てみよう。同じコースでも波乱が多いヴィクトリアマイルなどとは異なり、こちらは堅い決着が多い。ここ10年で単勝オッズ50倍以上の馬が馬券に絡んだ例はなく、4番人気以内で3着まで決まった年が4回ある。
やはり最も好走率が高いのは1番人気で複勝率は80%、複勝回収率は115%だ。ただ、そのうち単勝オッズが3倍未満だと【0-3-2-0】。安定感は高いが、意外にも勝ち馬がいない。もちろん今年もそうなる保証は全くないが、このオッズ帯だと妙味が薄く、狙う価値が下がるのは事実。1番人気予想のソウルラッシュは軸としては最適だが、単勝を買うかどうかはオッズとの相談になる。
2~5番人気は【4-6-4-26】。好走馬は24年ソウルラッシュを除き、東京重賞での勝利経験があった。マイル重賞に限らず、毎日王冠勝ち馬の好走も目立ち、アエロリットやシュネルマイスター、人気薄を含めるとサリオス(22年8番人気3着)、ダノンキングリー(21年8番人気1着)もいる。シックスペンスは怖い存在と言える。その他、人気が予想される馬では東京重賞勝ち馬のウォーターリヒト、ブレイディヴェーグ、ジュンブロッサムも浮上する。
前述の通り大穴と呼べる馬が来る例は少ない。良馬場施行に限ると、単勝オッズ50倍以上の馬が3着以内に入ったのは2009年が最後。今年もオッズで見切りをつけていいかもしれない。
◎ソウルラッシュ
4、5歳の安田記念で大敗しており、去年も東京適性の有無が騒がれていたものの、2着とハナ差の3着。その後も5戦して3着を外していない。前走のドバイターフではロマンチックウォリアーに土をつけた。今回のメンバーにも過去先着されたことのある馬は何頭かいるものの、安定感では群を抜いている。前年の安田記念4着以内馬【2-7-3-7】、マイルCS勝ち馬【0-4-1-3】とGⅠ好走馬がリピートするレースでもあり、軸としては最適だ。
◯ブレイディヴェーグ
一昨年のエリザベス女王杯勝ち馬。約1年ぶりのレースとなった府中牝馬Sを快勝すると、マイルを2戦して連続4着。ただマイルCSでは2着とタイム差なし、東京新聞杯も3着とはクビ差で、出遅れさえなければという内容だった。ドバイターフは7着と初めて掲示板も逃す結果となったが、豪華メンバーの中で0秒5差なら悲観するものではない。前走に比べれば相手関係も緩和されており、普通に運べれば上位は堅いのではないか。
▲エコロヴァルツ
4走前の菊花賞で大敗したものの、それ以降は大崩れしていない。中山記念ではソウルラッシュに先着しレコードタイムで走破。大阪杯では8枠14番もあって先行せず中団に控えると、直線で伸びて4着。このスタイルで競馬できたことを評価したい。マイルGⅠは2歳時の朝日杯FS以来だが、その時は追い込んで2着と健闘した。マイルの流れで位置取りが下がればむしろ好走データに沿う。前走のような騎乗であれば一発あってもおかしくない。
シックスペンスは守備範囲内の1600mへ距離短縮で臨む点や東京実績がある点は強調ポイントだが、1枠が痛い。1、2枠の5番人気以内は【0-3-1-7】と未勝利で、複勝率でも外枠より低調。そのためエコロヴァルツの方を上位にとり、こちらは4番手とした。
以下ジュンブロッサム、ウォーターリヒトまで印を回す。馬券は◎軸の馬連で勝負する。
▽安田記念予想▽
◎ソウルラッシュ
◯ブレイディヴェーグ
▲エコロヴァルツ
△シックスペンス
×ジュンブロッサム
×ウォーターリヒト
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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