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田辺裕信騎手とのタッグが狙い目、距離延長やダート戦は割引 国枝栄厩舎のプラス条件、マイナス条件

国枝栄厩舎の「プラス条件・マイナス条件」,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

春のマイル王決定戦にシックスペンスが出走

今週は東京芝1600mで安田記念(GⅠ)が開催される。香港最強馬ロマンチックウォリアーをドバイターフで撃破したソウルラッシュをはじめ、昨年のNHKマイルCの覇者ジャンタルマンタル、C.ルメール騎手とのコンビで4戦4勝のシックスペンスなど、春のマイル王決定戦に豪華メンバーが揃った。

有力馬の1頭であるシックスペンスを管理するのが美浦・国枝栄厩舎だ。同厩舎といえば「牝馬の国枝」と呼ばれるほど代表馬に牝馬が多く、アパパネ、アーモンドアイ、カレンブーケドール、ステレンボッシュなど名馬が並ぶ。

一方、シックスペンスは4歳の牡馬。もし今回GⅠ制覇を果たせば、ブラックホーク、マツリダゴッホ、マイネルキッツ、ダノンプラチナに続く11年ぶり5頭目の牡馬のGⅠホース誕生となる。

そこで今回は、国枝厩舎の「プラス条件、マイナス条件」をテーマに徹底分析を行う。なお、参照するデータは2020年6月6日〜2025年6月1日の過去5年分とする。


田辺裕信騎手とのタッグが狙い目

国枝栄厩舎の「プラス条件」,ⒸSPAIA


<国枝厩舎の「プラス条件」>
田辺裕信騎手【17-11-8-62】
勝率17.3%/連対率28.6%/複勝率36.7%/単回収率129%/複回収率90%

前走新馬戦出走、今回未勝利戦で田辺裕信騎手騎乗【4-0-0-2】
勝率66.7%/連対率66.7%/複勝率66.7%/単回収率563%/複回収率138%

7歳以上【5-2-5-63】
勝率6.7%/連対率9.3%/複勝率16.0%/単回収率132%/複回収率85%

東京芝【76-68-38-254】
勝率17.4%/連対率33.0%/複勝率41.7%/単回収率98%/複回収率89%
※集計期間:2020年6月6日〜2025年6月1日

この章では、国枝厩舎の「プラス条件」として高回収率の条件を取り上げる。

■田辺裕信騎手
騎手別最多の勝ち星を挙げているのはC.ルメール騎手で50勝。2位の戸崎圭太騎手(22勝)に28勝の差をつけて独走体制だ。複勝率は58.5%、複回収率も80%と安定感が光る。

一方、妙味の面でそれに負けない成績を残しているのが田辺裕信騎手。単回収率は129%と大幅プラスだ。

その他、30戦以上騎乗している騎手ではM.デムーロ騎手が単回収率123%、石川裕紀人騎手も単回収率100%と優秀な数字を残している。

■前走新馬→今回未勝利
続いてはレースの格に注目。というのも、夏場によく目にする競馬界の説のなかに「国枝厩舎の新馬戦は割引」というものがある。

数多くの名馬を輩出してきた国枝厩舎だが、三冠牝馬アパパネや、15戦11勝でキャリアを終えたあのアーモンドアイでさえも新馬戦では敗れているのだ。

果たして、全体の傾向としてこれは合っているのだろうか?クラス別成績を見ると、新馬戦は【25-17-13-71】で勝率19.8%、単回収率64%なのに対し、前走新馬→未勝利は【17-8-12-61】で勝率17.3%、単回収率70%となった。勝率はやや下がるが、妙味の面では新馬戦で負けた馬を次走の未勝利戦で狙うのは間違いではない。

ちなみに、この「前走新馬→未勝利戦」の馬に田辺騎手が騎乗した際の成績は【4-0-0-2】。勝率66.7%で単回収率563%と凄まじい成績となっており、注目だ。

■7歳以上
年齢別では高齢馬に妙味あり。障害戦や長距離路線で息の長い活躍をする馬が多く、7歳馬と8歳馬の単回収率が100%超を記録している。

7歳以上の馬は【5-2-5-63】勝率6.7%、単回収率132%とプラス域。複勝回収率も85%と高水準であり、国枝厩舎の高齢馬は積極的に狙って良い。

■東京・芝コース
最後に取り上げたいのが芝のコース別成績。東京と函館が特に狙い目で、なかでも東京は400回以上の出走数がありながら単回収率98%、複回収率89%という素晴らしい成績を残している。

特に東京の芝重賞では【8-8-4-41】で単回収率139%とプラス域をマーク。ただし、GⅠに関しては【2-4-1-11】で単回収率20%、複回収率64%と数字が落ちる点に注意したい。


ダートと距離延長は割引材料

国枝栄厩舎の「マイナス条件」,ⒸSPAIA


<国枝厩舎の「マイナス条件」>
ダート【30-25-25-235】
勝率9.5%/連対率17.5%/複勝率25.4%/単回収率50%/複回収率59%

横山武史騎手【10-8-9-58】
勝率11.8%/連対率21.2%/複勝率31.8%/単回収率32%/複回収率54%

前走から距離延長【44-46-31-300】
勝率10.5%/連対率21.4%/複勝率28.7%/単回収率48%/複回収率66%
※集計期間:2020年6月6日〜2025年6月1日

続いて、国枝厩舎の「マイナス条件」として回収率の低い条件についても見ていきたい。

■ダート
集計期間内で195勝を記録している国枝厩舎だが、その内訳を見ると芝157勝(勝率13.6%)・ダート30勝(同9.5%)・障害8勝(同18.2%)と大きな偏りがある。

回収率も芝では単勝74%に対し、ダートでは同50%と低調。ダート戦ではルメール騎手騎乗でも【4-5-3-9】勝率19.0%、単回収率44%と手を出しにくい条件となっている。

■横山武史騎手
騎手別では、横山武史騎手が単回収率32%と妙味が薄い。一方、次走で他の騎手へ乗り替わった時は【9-7-4-29】で勝率18.4%、単回収率99%となっている。

■距離延長
最後にローテーション面から、「距離延長」を割引データとしてピックアップ。「同距離」が単回収率86%、「距離短縮」は同67%に対し、「距離延長」では同48%まで数値が落ちるので要注意だ。


国枝栄厩舎の「プラス条件、マイナス条件」,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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