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【日本ダービー】逆襲の末脚で世代の頂点へ、本命はマスカレードボール エリキングも妙味十分の注目株に

日本ダービー 上がり3F5位以内馬の成績
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ⒸSPAIA

オークスとの違いに注意

1日に日本ダービー(GⅠ)が行われる。以下では、本レースが行われる東京芝2400mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは東京芝2400mのコース形態をみる。正面スタンド前の直線からスタートし、初角までの距離は約350m。先手争いにおいて内外の有利不利はほとんどない。スタート後はしばらく平坦で、1コーナーから向正面半ばにかけて緩やかに下る。残り1200m付近にわずかな上り坂が設けられているが、それを越えると再度3コーナー中間まで下り。そして最後の直線は高低差2.1mのなだらかな上り坂を持ち、新潟外回りに次いで2番目に長い525.9mとなっている。これが今回のコースレイアウトだ。

短すぎず長すぎない初角までの距離をはじめ、コース形態に大きな特徴があるわけではない。ただ、直線の長い東京芝コースということで、やはり道中でしっかりと脚を溜め、最後に速い上がりを使える差し脚確かな馬が有利となっている。各馬のポテンシャルが最大限発揮されやすいコースだ。

コースは先週行われたオークスと同じだが、大きく異なる点が一つある。それは今週からCコース替わりという点だ。現時点でも時計が出やすい馬場だが、先週と比較してより時計が出やすく内前が止まりにくくなると想定される。したがって、速い上がりと同等以上に4角時点である程度前目のポジションにつけられる先行力や機動力が求められる、というのが今回のレースの質だ。

日本ダービーの別成績,ⒸSPAIA


<日本ダービー 上がり3F順位別成績>
5位以内【6-7-6-34】
勝率11.3%、連対率24.5%、複勝率35.8%、単勝回収率131%、複勝回収率80%
※過去10年

この傾向は数字にも表れている。日本ダービーにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。しかし先週紹介した「オークスの上がり3F5位以内馬」が【10-9-7-28】勝率18.5%、連対率35.2%、複勝率48.1%、単勝回収率73%、複勝回収率187%(2015~2024年)だったのと比較すると、3着以内の頭数は一気に減少しており、コース替わりを味方にした先行馬の前残りが増えている。

メンバー上位の上がりの脚を使えることが好走の条件であるが、さらに序盤からある程度前目に位置取れる先行力や、コーナーでポジションを上げられる機動力も重視して印を打っていく。

明確な逃げ馬不在でスローペース濃厚

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭(後述のファウストラーゼンを含む)と出走馬全18頭に対してそこまで多くない。明確な逃げ馬不在のメンバー構成で、序盤はゆったりとしたペースが想定される。ファウストラーゼンが例によって中盤にマクっていけばラスト4Fのロングスパート戦となるだろう。

この展開で最も恵まれるのは、やはり前目からメンバー上位の上がりの脚を使える馬だ。展開面からも、先行力や、コーナーで位置取りを上げられる機動力が重要になりそうだ。

逆襲の末脚で世代の頂点へ

◎マスカレードボール
本命は皐月賞に引き続きマスカレードボール。前走はスタートを決めるも序盤から馬群で揉まれ続ける競馬。1コーナーに入るまでに複数回他馬と接触して位置を落とし、後方11番手からの追走となった。

道中でさらに位置を下げながら、最後は上がり3F2位の脚を使って0.3秒差3着。差し有利な展開が向いたとはいえ、不得意な小回りかつ右回りでスムーズな序盤ではなかったことを考えれば、まだまだ上積みに期待できる内容だった。騎乗した横山武史騎手のコメントにもあった通り、中山よりも広い東京の方が合うのは間違いなく、今回の東京替わりはプラス材料だ。

2走前の共同通信杯は好スタートから2、3番手で先行しスムーズに抜け出して快勝。直線ではソラを使いながらラスト5F12.0-11.8-11.5-11.5-11.2の加速ラップかつレースレコードタイで勝利する衝撃の内容だった。最後は余力十分で真剣に走っておらず、世代屈指の高いポテンシャルを見せた一戦だった。

3走前のホープフルSは明らかに本馬の能力が発揮されなかった敗戦。陣営から「物足りない」と言われた状態の中、大外枠から1000m通過61.4秒のスローペースを14番手で追走。ハイペースを難なく先行した4走前のアイビーSとは打って変わり、まずまずのスタートを決めるも全く進まず最後方からとなった。

そこからは悲惨。馬場に脚を取られた感じでコーナーの進みは悪く、4コーナー出口では内から寄られて減速。上がり3F7位で1.2秒差11着に敗れた。スムーズに先行した2、4走前とは明らかに異質な走りであり、皐月賞の内容と見比べても完全に度外視可能な敗戦だ。

4走前のアイビーSは1000m通過59.4秒のハイペースを3番手で追走。伸びない内から上がり3F33.4秒のモノが違う末脚で勝利した。

東京芝1800mの2歳戦において「勝ち時計1:46.2以内」かつ「上がり3F33.4秒以内」で勝利した馬は世界最強馬イクイノックス、三冠馬コントレイルと本馬と3頭のみ。間違いなくGⅠ級のポテンシャルを持っている。また、この時計と上がり評価の延長線上にはクロワデュノール(東スポ杯2歳S/1:46.8、上がり3F33.3秒)もいる。

このように、2歳時から世代最上位のポテンシャルを見せてきた。皐月賞こそ序盤の不利で後方からの競馬となったが、2、4走前はハイペースを難なく先行できているように本来は好位から堅実に末脚を使えるのが強みだ。共同通信杯時の鞍上であり、先行意識の強い坂井瑠星騎手への乗り替わりで今回は好位から競馬ができるとみる。

17番枠についても、初角までの距離が短くなく、序盤の先手争いで内外の有利不利が小さい東京芝2400mであれば大きな問題はないとみる。むしろ日本ダービーの内枠有利は世間にかなり浸透しており、過度に枠で嫌われてオッズ妙味が見込まれること、前走は内枠から馬群に揉まれて序盤に不利を受けたことから、かえって外枠はプラス材料としたい。

スムーズなスタートで好位につけ、持ち前のポテンシャルを最大限発揮できれば世代の頂点に輝ける馬だと信じて本命を打つ。

◯クロワデュノール
前走の皐月賞は4角7番手以下の馬が、本馬を除いた7着以内を占める差し有利な展開の中、4角2番手から粘り込み0.3秒差2着。着順、着差以上に評価できる内容だった。

2走前のホープフルSはスローペースからのロングスパート戦で自らポジションを上げていき、2着に0.3秒差の圧勝。3走前の東スポ杯はプラス24キロと調教からも明らかに超甘仕上げの中、スローペースからの瞬発力戦を上がり3F最速33.3秒の脚を使い完勝した。

新馬戦は東京芝1800mの新馬戦史上最速のタイム(1:46.7)で勝利。デビューから4戦全てで世代最上位のポテンシャルを示し続けている。

安定した先行力があり、今回想定されるスローペースからのロングスパート戦という展開も本馬に向く。折り合いの不安もなく、弱点も少ない。最大限の能力を発揮すれば、この世代最高峰の舞台でも順当に好走してくる。

▲エリキング
皐月賞はスタート後に接触する不利があり、明らかに競馬になっていない。度外視可能な敗戦とみる。世代上位の走りを続けているジョバンニに過去2戦真っ向勝負で勝利しているように、能力を最大限発揮すれば今回のメンバーでも十分に好走できる。ジョバンニとの比較で高いオッズ妙味が見込まれる。

△ジョバンニ
皐月賞は好スタートから先行し、道中位置を落としながらも再度巻き返して0.4秒差4着。安定した先行力があり、ここも再度前目から競馬ができれば。

×ミュージアムマイル
皐月賞は展開が向いたとはいえ0.3秒差の快勝。順当にここも能力上位の一頭。

×ファンダム
毎日杯の勝ち時計歴代上位馬のその後のGⅠでの活躍から、この馬も無視はできない。

買い目は◎単勝1点、◎-◯馬連1点、◎-◯-▲△×3連複4点で勝負する。

マスカレードボールとクロワデュノールは本命、対抗の入れ替わりはあるものの、ホープフルS、皐月賞とずっと上位2印を打ち続けている2頭。2歳時から東京芝1800m での走りと数字を見て、どちらかがこの世代のダービー馬になるのではないかとずっと注目し続けてきた。どちらも沢山馬券を取らせてもらった思い入れのある大好きな2頭なので、最後まで信じ続けて是非ともこの日本ダービーでのワンツー決着を見届けたい。

頑張れ!マスカレードボール!クロワデュノール!(花田)

▽日本ダービー予想▽
◎マスカレードボール
◯クロワデュノール
▲エリキング
△ジョバンニ
×ミュージアムマイル
×ファンダム

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。

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