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【NHKマイルC】本命はアドマイヤズーム 2歳マイル王は「複勝率85.7%」、データも内容も文句なし

NHKマイルC 実績別の複勝率
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ⒸSPAIA

3歳マイル王決定戦

今週日曜、東京競馬場ではNHKマイルカップ(GⅠ)が行われる。2歳マイル王者アドマイヤズームに、それをニュージーランドトロフィー(以下NZT)で破ったイミグラントソング、さらにマイル重賞で3連対のアルテヴェローチェや、19歳・吉村誠之助を背にチャーチルダウンズカップを制したランスオブカオスなど、18頭の精鋭が出走する。

東京での5週連続GⅠの先鋒を担うレースであり、過去10年の1番人気の成績が【1-2-1-6】で3連単の平均配当も約29万円と、3歳GⅠの中でも屈指の荒れるレースでもある。果たして、今年はどのような結果となるのか。過去10年のデータから検討する。


人気馬3頭の信頼度をチェック

NHKマイルCの実績別成績,ⒸSPAIA


<NHKマイルC 実績別成績>
・2歳GⅠ勝ち馬
【3-2-1-1】勝率42.9%/連対率71.4%/複勝率85.7%

・2歳GⅠ3着以内馬
【5-2-2-11】勝率25.0%/連対率35.0%/複勝率45.0%

・NZT勝ち馬
【0-0-0-9】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%

前述の通り、波乱模様なこのレース。まずは軸選びとして、今年の人気馬たちが信頼に足るのかを考えたい。

まずは昨年の朝日杯フューチュリティSの勝ち馬アドマイヤズームから。2歳マイルGⅠの勝ち馬は【3-2-1-1】で、唯一の馬券圏外は前走NZTで7着に敗れていたドルチェモア(2023年4番人気12着)。それ以外は2番人気以内で、いずれも堅実な結果を残している。

アドマイヤズームも前走負けたとはいえ、一度は抜け出してクビ差。トライアルとしては評価を落とすものではない。本命筆頭候補と言える。

次にランスオブカオス。2歳マイルGⅠの3着以内馬は【5-2-2-11】、3番人気以内だと【4-2-1-5】と勝ち馬ほどではないが上々の数字だ。

また、きさらぎ賞の3着もポイントとなる。1800m以上の3歳重賞で3着以内がある馬は【3-3-0-15】で、4番人気以内【3-3-0-4】、2番人気なら【3-2-0-0】とパーフェクト連対。こちらも信用できそうだ。

最後にイミグラントソング。前走NZT組の全体成績は【2-2-2-38】だが、勝ってきた馬は【0-0-0-9】で全滅。好走例は2、3着馬に集中(2着馬【1-2-0-4】、3着馬【1-0-1-7】)。むしろ倒したアドマイヤズームの加点材料となっている。

また、同コースの1勝クラスで3着に負けている点も気がかり。過去に1勝クラスで3着以下がある馬は【0-0-1-31】で、上位人気に推された例自体少ないとはいえ不振だ。ルメール騎手に乗り替わって人気を集めそうだが、思い切って消しとしたい。


相手選びの条件は?

NHKマイルC、6番人気以下の条件別成績,ⒸSPAIA


<NHKマイルC 6番人気以下成績>
・6番人気以下(全体)
【3-4-7-115】勝率2.3%/連対率5.4%/複勝率10.9%

・2歳時に33秒9以下の上がり最速を記録
【2-2-4-20】勝率7.1%/連対率14.3%/複勝率28.6%

・JRAのマイル重賞で1番人気歴あり
【1-2-0-9】勝率8.3%/連対率25.0%/複勝率25.0%

次は穴をあけうる存在を探すため、6番人気以下のデータに注目する。全体成績は【3-4-7-115】で、平均すると1年に1.4頭が馬券に絡む。このエリアを避けて的中する可能性は低いだろう。

まず注目したいのは、ラストスパートで出せるスピード。過去に上がり33秒台以下を出したことがある馬が【3-2-6-56】複勝率16.4%、複勝回収率162%と健闘しており、それが上がり最速なら【2-2-5-28】複勝率24.3%で、なおかつ2歳時の記録なら【2-2-4-20】複勝率28.6%まで成績が向上する。半年以上前のレースであっても、目を引く末脚を見せていた馬は軽視禁物だ。

また「JRAのマイル重賞で1番人気になったことがある馬」【1-2-0-9】複回収率169%も面白いデータ。今回はどちらにも該当するコートアリシアンを穴として推奨したい。

逆に、人気通り好走例が少ないのはJRA重賞勝ち馬【0-1-1-37】。むしろ2、3着馬【3-1-6-62】(JRA重賞勝ちもある馬を除くと【3-1-6-49】複勝率16.9%)の方がよい。重賞を勝っているにもかかわらず評価が高くない馬は、おおむねファンの想像通りの結果に終わっている。

不安材料ない2歳王者を素直に信頼

◎アドマイヤズーム
新馬戦こそ4着に敗れたが、その後は連対を外していない。朝日杯FSでは番手につけながら上がり最速で完勝。距離適性の差があったとはいえ、後の皐月賞馬に0秒4差をつけた点は素晴らしい。

3歳初戦のNZTでは2着。掲示板に載った5頭の中で唯一の先行馬であり、直線では一度先頭に立つなど見どころは十分だった。東京芝1600mは初だが、前述の通り朝日杯FSで上がり最速を出しており、長い直線は歓迎。崩れない。

○ランスオブカオス
キャリア2戦目で臨んだ朝日杯FSは9番人気を覆して3着。2着ミュージアムマイルも後のGⅠ馬であり、前後の1着、2着、4着馬が4角4番手以内だった先行有利決着に差して割って入ったのも評価できる。

きさらぎ賞は2着とクビ差の3着。ただ勝ち馬サトノシャイニングは次走皐月賞で5着、2着馬リンクスティップも桜花賞3着とこちらも相手が強かった。チャーチルダウンズCは0秒3差の快勝。初めてマイル戦で上がり33秒台を叩き出すなど、成長を実感させるものだった。近走の充実度は◎以上。逆転があっても驚かない。

▲マピュース
東京マイルでは【1-1-0-1】。アルテミスSは前が止まらない展開の4角8番手でノーチャンス。2走前のクイーンCは後の桜花賞馬エンブロイダリーの2着で、4着コートアリシアンがNZTで3着、9着ショウナンザナドゥもフィリーズレビュー勝利とハイレベルな相手に結果を残した。

前走の桜花賞は上位3頭が外を回る中、内ラチ沿いで頑張って4着。牡馬を交えたマイル戦は新馬戦以来となるが、重賞で見せた末脚からして通用してもいい。

以下アルテヴェローチェ、コートアリシアン、マジックサンズまで印を回す。買い目は◎○2頭軸の3連複で勝負する。

▽NHKマイルC予想▽
◎アドマイヤズーム
○ランスオブカオス
▲マピュース
△アルテヴェローチェ
×コートアリシアン
×マジックサンズ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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