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【NHKマイルC】「スローからの瞬発力戦」を想定 好位から末脚安定、アドマイヤズームが本命

NHKマイルC 上がり3F5位以内馬の成績(過去10年)
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ⒸSPAIA

速い上がりを使える、差し脚確かな馬を中心に

5月11日(日)にNHKマイルC(GⅠ)が行われる。2歳王者アドマイヤズームをはじめ、前哨戦で好走してきた多くの実力馬が集結。難解な一戦となった。

以下では、本レースが行われる東京芝1600mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは東京芝1600mのコース形態をみる。向正面の(スタンドから見て)右奥からスタートし、初角までの距離は約540m。3コーナーにかけてはおおむね下り坂、最後の直線は525.9mで高低差2.1mのなだらかな上り坂を持つ。これが今回のコースレイアウトだ。

注目すべきは初角までの距離が約540mと長い点だ。これは東京芝コースの中で最も長い。スタートしてから序盤の隊列は定まりづらく、先手争いは長引きやすい。そのため、序盤のペースは流れ、コーナーにかけての中盤でペースが緩む。

先行勢が再び加速するまでの区間では後方勢が下り坂の惰性で進出できるため、最終直線に入るまでに前とのポジション差を縮めやすい。したがって、序盤~中盤は脚を温存しながら追走し、最後に速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬が有利となっている。

NHKマイルCの上がり3F順位別成績,ⒸSPAIA


<NHKマイルC 上がり3F5位以内馬の成績(過去10年)>
【9-7-7-33】勝率16.1%、連対率28.6%、複勝率41.1%、単勝回収率169%、複勝回収率247%

この傾向は数字にも表れている。NHKマイルCにおける上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。馬券内30頭中23頭を上がり上位馬が占めており、速い上がりを使うことができない先行馬の残り目は少ない。急激にメンバーレベルが上がる中でも上位の上がりの脚を使うポテンシャルを持っていることが好走の条件だ。

能力が適性を凌駕する世代限定重賞であるため、ポテンシャルを最も重視し、脚質を問わず高い瞬発力があるかを吟味して印を打っていく。

明確な逃げ馬不在のメンバー構成

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が5頭と、出走馬全18頭に対してそこまで多くない。加えて、直近で逃げる競馬をした馬もいない。序盤のペースが上がりやすいコース形態とはいえ、激しい先手争いは考えづらく、比較的スローペースになるとみる。

この展開でも、恵まれるのはやはり最後に速い上がりを使うことができる差し脚確かな馬だ。ただ、最終直線を向いた時点で前目の馬の脚も溜まっているため、ペースが上がり始める時のポジションが大事になる。最後方、大外から一気に差し切るような競馬は少し厳しい。

序盤からある程度前目に位置取れる先行力や、コーナーで位置取りを上げられる機動力も重視して印を打っていきたい。

ポテンシャル最上位

◎アドマイヤズーム
前走のニュージーランドTは好スタートから前半4F45.7秒のハイペースを4番手で先行。1、3、4、5着に4角7番手以下の馬が来る差し有利な展開の中、4角3番手から粘りタイム差なし2着。勝ちに等しい内容だった。

2走前の朝日杯FSは好位追走からスムーズな追い出しで能力を最大限に発揮。上がり最速の脚を使い2着に0.4秒差をつけ快勝した。2着ミュージアムマイルは皐月賞を勝利、3着ランスオブカオスはチャーチルダウンズCを勝利と世代屈指のハイレベル戦だった。今回のメンバーでも能力最上位だ。

常に好位から安定した末脚を引き出せるため、今回想定されるスローペースからの瞬発力戦という展開では最も恵まれる。好位追走からポジション差を生かし、ポテンシャルを最大限発揮できれば勝ち負け必至とみて本命を打つ。

◯ランスオブカオス
こちらも常に好位から安定して末脚を引き出せる一頭。前走のチャーチルダウンズCは前目からの競馬で、道中位置を落とすもスムーズな追い出しから上がり3F3位の脚を使い2着に0.3秒差の快勝。能力の高さを示した。

2、3走前はサトノシャイニング、リンクスティップ、ミュージアムマイルという世代屈指の実力馬相手に小差の競馬をしており、今回のメンバーでも能力上位の一頭だ。ここも好スタートから好位を追走し、アドマイヤズームと追い比べる形で好走してくるとみる。

▲イミグラントソング
前走のニュージーランドTは差し有利な展開が向いたとはいえ、馬群の大外を回るロスがあった中での勝利。アドマイヤズームを破り、世代屈指の高い能力を示した。3走前のひいらぎ賞(2着)は同日の古馬GⅢを0.7秒も上回る時計で走破するなど、今回のメンバーでもポテンシャルは上位だ。くわえて、近4走は全て上がり最速の脚を記録している。

ただ、常に後方からの競馬となるタイプで、今回想定されるスローペースからの瞬発力戦ではやや展開不利となるため相手まで。

△マピュース
前走は伸びない内を突く厳しい競馬で、評価を下げる内容ではなかった。2走前の内容からも能力は高く、中団から持ち前の堅実な末脚を発揮できれば。

×マジックサンズ
後方からの競馬となるが、皐月賞のメンバーレベルを考えればここでも十分に通用する。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複5点で勝負する。(花田)

▽NHKマイルC予想▽
◎アドマイヤズーム
◯ランスオブカオス
▲イミグラントソング
△マピュース
×マジックサンズ

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。


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