「GⅠ馬撃破」のイミグラントソングは過信禁物
11日に東京競馬場でNHKマイルC(GⅠ・芝1600m)が開催される。今年は、朝日杯FS覇者アドマイヤズーム、その2歳マイル王をニュージーランドT(以下NZT)で破ったイミグラントソング、チャーチルダウンズCを制したランスオブカオスら前走トライアル組と、皐月賞6着マジックサンズや桜花賞4着マピュースなどクラシック組が激突。異なる路線が交わるだけに波乱の余地も十分ある一戦だ。
ここでは過去10年にデータを基に、ローテーションに見られる特徴を探っていく。
結論からになるが、データからの最注目は前走桜花賞or皐月賞を走ったクラシック組だ。成績は【5-4-0-22】と連対馬20頭中の9頭を占め、勝ち馬5頭の共通項「前走5着以内」を満たす馬については【5-2-0-2】と抜群の安定感を誇る。
実際、昨年は皐月賞3着ジャンタルマンタル→桜花賞2着アスコリピチェーノのワンツーで決まった。3歳春時点では牡馬ともにクラシック路線が最高レベルなことは揺ぎない。
今年、この条件を満たすのは桜花賞4着マピュースただ1頭。今回と同舞台のクイーンCでもエンブロイダリー相手に2走前の0.4秒差の2着と奮戦しており、コース適性含め期待は大きい。
次にアドマイヤズーム、イミグラントソングら前走NZT組だが、【2-2-2-38】連対率9.1%と全体の成績ではイマイチ。ただし「2、3着」に限ると【2-2-1-11】連対率は25.0%と明確にいい。2着アドマイヤズーム、3着コートアリシアンの巻き返しには警戒したい
一方で、NZT1着は【0-0-0-9】と一度も馬券に絡めていない。データからは「GⅠ馬撃破」で注目度急上昇のイミグラントソングに全幅の信頼は置きにくい。
西のトライアル、チャーチルダウンズC(※昨年まではアーリントンCの名称)は【1-0-5-26】連対率3.1%で、22年1着ダノンスコーピオンを除けば連対馬すら出ていない不振ローテ。過度な期待はできない。
ただし、今年の勝ち馬ランスオブカオスは過去10年の同レースとしては断トツで速い1:32.2の好タイムで快勝し、「朝日杯FS3着」という実績は前述のダノンスコーピオンと並ぶ。熟考する必要はありそうだ。
ほか、距離延長ローテとなるファルコンS組は【1-0-2-19】連対率4.5%とこちらも振るわない。20年ラウダシオンこそ9番人気の低評価を覆し優勝したが、21年グレナディアガーズ(3着)や23年カルロヴェローチェ(5着)は1番人気の支持を裏切る結果に終わっている。
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