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【NHKマイルC】皐月賞組が直近10年最多3勝、単回収率100%超 今年はマジックサンズが参戦

2025 5/6 12:00三木俊幸
マジックサンズ,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
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ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

参考レース振り返り

5月11日(日)に東京競馬場で行われるNHKマイルカップ(GⅠ・芝1600m)。3歳マイル路線の頂点を決する一戦、出走を予定している馬の主な参考レースを過去10年のデータとともに振り返る。

なお、データランクは好走率や勝利数をもとに、レースレベルはレーティングや出走馬の成績などを考慮してランク付けしている。


皐月賞【データ:A レースレベル:A】

過去10年の成績【3-1-0-9】勝率23.1%、連対率30.8%、複勝率30.8%
・過去10年で最多勝利
・昨年はジャンタルマンタルが優勝
・単回収率104%

【2025年レース回顧】
ハナを奪ったピコチャンブラックが12.1-10.2-12.2-12.5-12.3(59.3)のマイペースに持ち込んだものの、最後方にいたファウストラーゼンが一気に捲ってペースが上がる。

直線は外から1番人気クロワデュノールが早め先頭に立ったところ、4角10番手というポジションだったミュージアムマイルがさらに外から豪快に差し切り。勝ちタイムは1:57.0での決着となった。

マジックサンズは後方追走から4角では大外を回すロスがありながら、メンバー中最速の上がり3ハロン33秒8の末脚で追い込み、勝ち馬から0.6秒差の6着だった。

今回が初のマイル挑戦となるが、血統面では問題なさそう。また、一度使われた上積みも見込めるうえにレースレベルも高く、上位争いできる能力は秘める。


桜花賞【データ:B レースレベル:A】

過去10年の成績【2-3-0-13】勝率11.1%、連対率27.8%、複勝率27.8%
・直近の勝利は2017年アエロリット
・2020年以降は2着3回

【2025年レース回顧】
雨が降り、稍重で行われた桜花賞は好スタートからエリカエクスプレスが逃げる。800m通過は46秒6、中団を追走していたエンブロイダリーとアルマヴェローチェが抜け出し、直線は2頭の争いとなったが、エンブロイダリーがクビ差振り切った。勝ちタイムは1:33.1だった。

マピュースは出遅れたが、すぐさま巻き返して12番手のインを追走。そのままロスなく立ち回り、勝ち馬から0.9秒差の4着に終わった。

道中はやや行きたがる面も見せ、外が伸びる馬場状態の中で最内から伸びた点を考慮すると内容は悪くない。相手はさらに強くなるが、実績ある東京コースで巻き返しがあってもいい。


マピュース,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


6着チェルビアットは後方3番手のインを追走。直線は大外に持ち出されて伸びてはいるが、前には及ばなかった。

8着ヴーレヴーは最内枠からロスなく中団追走も、直線では一杯となった。上位馬とは少し力差があるようにも感じるが、両馬ともに道悪も合わなかった印象だ。

ショウナンザナドゥは4番手から運び、勝ち馬から1.8秒差の10着。先行した馬には展開が向かなかったのもあるが、本質的に1600mは少し長いのかもしれない。


ニュージーランドトロフィー【データ:C レースレベル:B】

過去10年の成績【2-2-2-38】勝率4.5%、連対率9.1%、複勝率13.6%
・直近の勝利は2023年シャンパンカラー

【2025年レース回顧】
好スタートからベイビーキッスが逃げ、12.4-10.7-11.2-11.4と軽快なラップを刻む。800m通過は45.7、縦長の隊列で流れた。

直線は各馬が横に広がり、外から2歳マイル王者のアドマイヤズームが抜け出したが、さらに外から伸びたイミグラントソングが上がり33秒1の末脚で豪快に差し切り。勝ちタイム1:32.4で重賞初制覇を飾った。

3走前のひいらぎ賞でも、レコードタイムで勝利した素質馬デンクマールから半馬身差の2着と好走しており、高速決着で強さを見せた。東京へのコース替わりも問題ない。


ニュージーランドトロフィー,ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)


アドマイヤズームはクビ差の2着。4番手から早めに動いていったぶんだけ中団で脚を溜めていた勝ち馬に差されてしまったが、休み明けでもあり悲観する内容ではない。

コートアリシアンは中団のインを追走。直線もロスなく立ち回って伸びたが、アドマイヤズームからさらに1馬身1/4差の3着だった。外が伸びる馬場状態だったなか、唯一インコースから伸びた点は評価したい。

ミーントゥビーは道中勝ち馬とほぼ同じポジションからレースを進めたが、0.5秒差の5着。現状の力は出し切っての結果と言える。


ファルコンS【データ:C レースレベル:C】

過去10年の成績【1-0-2-19】勝率4.5%、連対率4.5%、複勝率13.6%
・2020年ラウダシオンが勝利
・直近では2024年ロジリオンが3着

【2025年レース回顧】
好スタートからハナを切ったのはリリーフィールド。2番手にアーリントンロウが続く展開で馬群は凝縮、600m通過は34秒4というペースで進む。

中団のインを追走していたヤンキーバローズは直線で外に持ち出されて前へと迫ると、力強い末脚で混戦を制した。勝ちタイムは1:21.0だった。今回は初のマイル戦、相手強化でどこまで対応できるか資金石となる。

2着モンドデラモーレは大外枠からじわっとポジションを押し上げ、3角では好位につけた。直線は勝ち馬と馬体を併せながら伸びたが、クビ差及ばなかった。それでも、2走前のジュニアカップでは後に毎日杯を快勝するファンダムの2着という実績もあり、マイルへの距離延長はプラス材料だ。

パンジャタワーは馬群に包まれる形で、中団のポジションからのレースとなった。直線は外から伸びたものの僅差の4着。東京コースでは京王杯2歳ステークスを制しているが、ベストは1400mという印象だ。

トータルクラリティは好位からレースを進めたが、直線では弾けず後退。勝ち馬から0.9秒差の10着だった。近走内容は物足りないが、新潟2歳ステークスを制しているように距離延長は問題ない。


チャーチルダウンズカップ【データ:C レースレベル:B】

過去10年の成績【1-0-5-26】勝率3.1%、連対率3.1%、複勝率18.8%
(※2024年まではアーリントンカップとして施行)
・2022年ダノンスコーピオンが優勝
・複回収率219%

【2025年レース回顧】
11頭立てとなったレースはスタートから400mを過ぎたところでツーエムクロノスが先頭に立ち、2番手以下の好位グループも一団となって800m通過46.1というペースに。好位で脚を溜めていたランスオブカオスが残り200mで馬群を割って突き抜けると、後続に1馬身3/4差をつけて快勝。勝ちタイムは1:32.2だった。

朝日杯フューチュリティステークスは先行馬が上位を占めるなか、4角10番手から3着に好走。きさらぎ賞でも後に皐月賞5着となるサトノシャイニングや、桜花賞3着リンクスティップに続く3着ということからも、チャーチルダウンズCの好内容も頷ける。

1番人気に推されたアルテヴェローチェは中団追走から直線は外を回す競馬だったが、2着までが精一杯。安定した成績は残しているが、近走はワンパンチ足りないという内容が続いている。

ミニトランザットは道中、後方3番手を追走。直線は進路を探しながらの追い出しとなったが、上がり最速33秒7の末脚で伸びた。京成杯3着という実績もあるが、現状では展開に注文がつくタイプだ。

《ライタープロフィール》
三木俊幸
編集者を経てフリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場でレースシーンを撮影しながら、執筆活動も行っている。

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