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【天皇賞(春)】持ち前のスタミナで簡単に止まらない 本命はハナもありうるサンライズアース

天皇賞(春) 上がり3F5位以内馬の成績
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ⒸSPAIA

高い機動力と持続する末脚が生きる

5月4日(日)にGⅠ天皇賞(春)が行われる。今年はダイヤモンドS勝ち馬ヘデントールをはじめ、阪神大賞典勝ち馬サンライズアース、昨年2着馬ブローザホーンなど長距離実績豊富な多くの実力馬が集結。春の長距離王決定戦にふさわしい混戦模様の難解な一戦となった。

以下では、本レースが行われる京都芝3200mのコース形態とそれに起因するレースの質、そして想定される展開を踏まえ予想する。

まずは京都芝3200mのコース形態をみる。向正面中間より(スタンドから見て)やや左側の地点からスタートし、初角までの距離は約400m。3コーナーで頂上を迎え、そこから4コーナーにかけて一気に下る。

スタンド前の直線は平坦で、そこから1~2コーナーを回ると、向正面半ばから再度上り坂。1周目同様3コーナーにかけて上り、4コーナーへかけては下り坂だ。最後の直線は約399m(Cコース使用時)で平坦となっている。これが今回のコースレイアウトだ。

まず注目すべきは初角までの距離がそれなりに長い点だ。3200mという距離に対する騎手意識から序盤の先手争いが激化することは少ないが、1周目の3コーナーから4コーナーにかけての下り坂でダッシュがつきやすく、ここで折り合いをつけるのが非常に難しい。初角までの距離と相まって、序盤の先行負荷はそれなりのものになる。スタンド前の直線も平坦であり、下り坂からの惰性でしばらくペースは落ちない。

1~2コーナーに入った後はペースが落ち着き、向正面半ばからの上り坂を登り切るまで、中盤はかなりゆったりと進む。加速するのは2周目3コーナーの上り坂頂上から。ここからの下り坂で、中盤で脚を溜めた先行勢が一気にスピードを上げていく。最終直線に入るまでに後方勢が先行勢とのポジション差を埋めにくい。

このようなコース形態の場合、通常は先行勢がポジション差を生かしたロングスパートでそのまま押し切りやすい。しかし京都芝3200mはこの長距離にして序盤の先行負荷がそれなりに大きいため、地力のない先行勢は直線半ばで脱落する。

したがって3~4コーナーの下り坂を生かして前目の位置までマクっていける機動力の高い差し馬が最も恵まれやすく、次点がポジション差を生かして押し切れる地力の高い先行馬となる。どちらにしても後半の激しいロングスパート戦で長く良い脚を使うこと、上がりの速さが重要になるというのが、このコースが持つレースの質だ。

天皇賞(春)、上がり5位以内馬の別成績,ⒸSPAIA


<天皇賞(春) 上がり3F5位以内馬の成績(京都開催の直近10回)>
【8-9-8-29】
勝率14.8%、連対率31.5%、複勝率46.3%
単勝回収率57%、複勝回収率183%

この傾向は数字にも表れている。京都で行われた過去10回の天皇賞(春)における上がり3F5位以内馬の成績は上記の通り優秀だ。馬券圏内30頭のうち25頭を上がり上位の馬が占め、地力のない先行馬の残り目はかなり少ない。速い上がりを使うことは本レースで好走するための絶対条件だ。

また、ここで言う「速い上がり」とは、瞬発力による33秒台の上がりではなく、スタミナと持続力が重要な3F34秒後半から35秒台の上がりであることを強調したい。下り坂からの4~5Fのロングスパート戦において長く良い脚を使えるかが重要だ。これらの点を踏まえて展開予想をしていく。

先行馬多数もそこまで流れない

続いて今回想定される展開から恵まれる馬を考える。メンバー構成は前走通過順位に3番手以内のある先行馬が6頭と、出走馬全15頭に対して少なくない。ただ絶対に逃げたいという明確な逃げ馬はおらず、近走でのテンの速さと枠順を考慮すればサンライズアースが逃げる展開が最も考えられる。

同馬の前走は好スタートから逃げるも道中他馬にハナを譲り2番手で先行する競馬。前半1000m63.1秒のスローペースだった。今回、阪神大賞典よりは先行馬がそろっているが、同じくサンライズアースがハナを切る展開なら、1000m通過62秒前後のスローペースになると考える。

コース形態とは逆に、展開面ではポジション差を生かして押し切れる地力の高い先行馬が最も恵まれ、次点が下り坂を生かして前目の位置までマクっていける差し馬だとみる。先行力や道中動ける機動力のない後方待機勢は、後手に回り馬券圏内まで届かない可能性が高い。

コース形態と展開面をあわせると両者の評価はほぼ同列で、ここの上下は素直に各馬の能力で決まるとみる。まず各馬の能力比較を徹底した上で、スローペースからの後半ロングスパート戦において4コーナー時点で前目に付け、長く良い脚が使えるかを重視して印を打つ。

メンバー最上位の豊富なスタミナ

◎サンライズアース
メンバー最上位の豊富なスタミナを持つ一頭。前走の阪神大賞典は好スタートから逃げ、中盤から2番手での競馬。前半1000m63.1秒というスローペースの恩恵はあったものの、ラスト6Fの超ロングスパート戦で上がり最速の脚を使い2着に1.0秒差の快勝。他馬を圧倒する強靭(きょうじん馬ショウナンラプンタ、昨年の天皇賞(春)2着馬ブローザホーンも着順、着差以上の競馬をしたものの、本馬は内容、上がりともに上々の内容で完勝。ダービー4着馬にふさわしい能力の高さを示した。

2走前の早春Sはかなり折り合いを欠くロスがあった上に不向きな瞬発力戦で評価を下げる内容ではない。3走前の日経新春杯は長期休養明けかつ前走から+16kgと状態面で万全とは言えない中、超ハイペースを先行し4.2秒差16着。完全に度外視可能な敗戦だ。

安定した先行力があり、スムーズなスタートを切れれば今回もハナまで取り切れる。マイペースな競馬で持ち前の強靭なスタミナを発揮すれば簡単には止まらない。休養明けの2、3走前の敗戦で前走の圧倒的な完勝が疑われ、それなりのオッズ妙味が見込まれる。

◯ヘデントール
昨年の菊花賞2着馬。前走のダイヤモンドSは好位追走から上がり最速の脚を使い0.7秒差の圧勝だった。ラスト4Fのペースアップにも難なく対応し、ワープスピードとの追い比べも一瞬でかわして2着馬に4馬身差をつけた。

2走前の菊花賞は後方からの競馬となったものの、外をスムーズに押し上げていき0.4秒差2着。世代屈指の長距離適性を示した。ただ、ごたついた内の馬に比べて何の不利もなく能力を発揮しきれたのは確かで、上積みにはやや期待しにくい。

とはいえ、前走、前々走の内容からして今回のメンバーでは能力上位。スローペースからのロングスパート戦で高い機動力と持続する末脚を発揮すれば順当に好走してくるとみる。

▲ショウナンラプンタ
前走の阪神大賞典は出遅れ気味のスタート。スローペースの最後方から大外を回す厳しい競馬の中、上がり2位の脚を使って1.1秒差の4着。サンライズアースには完敗だったものの、着順、着差以上に評価できる内容だった。

日経新春杯は超ハイペースの差し有利な展開が向いたとはいえ、内有利な中京で終始大外を回し続けて上がり最速の脚を使い0.5秒差2着。ここも着順以上の好内容だった。

3走前の菊花賞は大幅な距離延長で折り合いを欠くロスがありながらも、世代最高峰のメンバーの中で0.4秒差4着。高い能力と長距離適性を示した。

ヘデントール同様、仕掛けどころで自ら動いていける機動力と最後まで伸び続ける末脚が武器。前走以上のスタートを決めれば、下り坂を生かしたマクリで好走できる。

△マイネルエンペラー
2走前の日経新春杯は超差し有利な展開を4番手から粘りこんで0.6秒差3着。当時2着だったショウナンラプンタとの比較で高いオッズ妙味が見込まれる。

×ブローザホーン
昨年の本レース2着馬。前走で復活の兆しを見せた。昨年の内容だけ走ればここでも好走可能。

×ジャスティンパレス
人気するなら正直買いたくない。ただ!「復活するなら!」「買うなら!」ここしかない。2年前に京都に来て人生で初めて生で見たGⅠレース勝ち馬なので、応援込みで相手に。

買い目は◎単勝1点、◎-◯▲△馬連3点、◎-◯▲-◯▲△×3連複7点で勝負する。

▽天皇賞(春)予想▽
◎サンライズアース
◯ヘデントール
▲ショウナンラプンタ
△マイネルエンペラー
×ブローザホーン
×ジャスティンパレス

◎2024年勝負買い目個人成績(東海S~ホープフルS:25記事)
・単勝27点→4830円 回収率178.9% 的中率37.5%(的中9R/推奨24R)
・馬連105点→12480円 回収率118.9% 的中率42.9%(的中9R/推奨21R)
・3連複204点→22410円 回収率109.9% 的中率17.4%(的中4R/推奨23R)

《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で30周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派がそろう。

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