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【レパードS】怪物ホウオウルーレットの本格化に期待 ギャラクシーナイト、カフジオクタゴンは魅力的な穴馬

2022 8/6 17:00山崎エリカ
2022年レパードS、PP指数,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

レパードSが行われる新潟ダート1800mとは?

新潟は全競馬場の中でもっとも直線が長く、大回りなイメージがある。しかし、レパードSが行なわれる新潟ダート1800mは、実は小回りなコース。直線が長いからこそコーナーが短く、3~4コーナーは350mもない。つまり相当な小回りで急カーブということになり、後方の馬がトップスピードで最後のコーナーを曲がれば、遠心力で大外に振られることになる。

このため勝ち負けに持ち込むならば、3角の入り口までにある程度、前目のポジションを取るのが理想的。基本的には前が有利だ。実際に過去10年で逃げ馬の優勝が2回、2着4回、3着1回。また4角2番手馬も1着5回、2着1回、3着1回と好成績だ。ただし前に行きたい馬が揃うと一転してかなりのハイペースとなり、2019年のハヤヤッコのように差し馬が優勝することもある。

今回逃げたい馬はシダー、ラブパイロー。どちらも外枠でテンが速くない逃げ馬だ。これだとテンの速いギャラクシーナイトがハナを切って逃げる可能性もある。それらに続く先行馬も手強いが、極端に速いペースになることはなく、例年のように平均~やや速い程度の流れになる公算が高いと見ている。

レパードS出走馬のPP指数一覧,インフォグラフィック,ⒸSPAIA


能力値1~5位馬の紹介

【能力値1位 タイセイドレフォン】
フェブラリーSと同日のヒヤシンスSに出走。当日は前と内が圧倒的に有利な馬場だったが、本馬は7番枠からやや出遅れた。中団中目を追走したものの、道中かなり折り合いを欠いてコントロールに苦労し、4角で外を回るロスも生じて11着と崩れた。同じくヒヤシンスSで、4角で外を回って6着のクラウンプライドは次走のUAEダービーを優勝、9着のブリッツファングはその後1勝クラス、兵庫CSを連勝した。本馬も鳳雛S2着、弥富特別1着と巻き返している。

近2走は距離を1800mに延長したことで、先行できるようになったことが好走要因だろう。特に前走の弥富特別は強豪揃いだったが、伏竜S4着のオディロンに8馬身差をつけて圧勝、古馬オープン級の指数を記録した。将来ダートの重賞での活躍は必至と言える存在である。

問題は前走で走りすぎてしまったことだ。今回は目いっぱい走ったところから疲れを取りながらの調整。能力が高いのは確かだが、過信できないところはある。

【能力値2位 ハピ】
デビューから3戦3勝で鳳雛Sを制した馬。鳳雛Sは大外10番枠からスタートで躓いたものの無理なく位置を上げて、後方2番手を追走した。3~4角では中目に誘導し、4角出口で3列目の外。直線序盤でグンと伸びて、内で抵抗するタイセイドレフォンをものともせず、一気に先頭に立っての勝利だった。

前走のジャパンダートダービーでは4着。3番枠から五分のスタートを切ったものの、内枠だったのもあり、位置を下げ切るのに苦労して気がつけば最後方。そこから外目に誘導し、3角では後方馬群に取りつき、3~4角でも動いて中団外で直線に向いた。メンバー最速の末脚で前との差を詰めたが、ブリッツファングに半馬身差の4着が精一杯だった。

これでデビューから4戦とも最速の上がり3Fタイムを記録。非凡な瞬発力を秘めている。今回問題があるとするなら、距離の長いジャパンダートダービーで後方待機策をとった直後の一戦になることだろう。この手の臨戦過程はレースの流れに乗りづらくなりやすい。秘めた能力は確かだが、エンジンの掛かりが遅い面もあり、脚を余す可能性がある。

【能力値3位 ホウオウルーレット】
新馬戦を逃げて、古馬2勝クラスレベルを超える指数で独走した馬。次走の黒竹賞も圧勝した。ただ新馬戦を高指数で圧勝した馬は、その後どこかで疲れが出てきやすく、すんなりと上昇しないことが多い。やはりと言うべきか、強豪が揃った伏竜Sでは、1番枠から好発を切ったが二の脚が遅く、それでも無理に行かせたために、1番人気を裏切り5着に敗れた。

次走の青竜Sでは、同じく強豪が揃っていたが、2着と巻き返した。ここではスタート地点が芝だったこともあり、二の脚がとても遅く中団に下がってしまい、脚を温存することになった。最後の直線で外に出されると、ラスト2Fからしぶとく伸びて2着。世代トップ級の能力を秘めていることを見せつけた。

前走のいわき特別は今回に向けての叩き台のような一戦。中団馬群の内目から3角で外に出し、外々からロスを作りながらしぶとくくらいつき、最後の直線では突き抜けて5馬身差の圧勝だった。前走で想定以上に走りすぎた点は気になるが、ラスト2Fは12秒4-12秒4と最後までスピードを維持し、余裕を感じさせる走りだった。ここに来て新馬戦時の疲れが抜けて、本格化してきたと見るべきだろう。結果を出したいところである。

【能力値4位 トウセツ】
新馬戦では後の若葉S勝ち馬デシエルトの2着、デビュー3戦目の1勝クラスでは後の青竜S勝ち馬ハセドンの3着と、早い時期から強敵相手に善戦していた。前々走の1勝クラスでは2番枠から外の馬に行かせて中団の最内を追走。向正面半ばで前との差を詰め、3角手前で好位の中目に出した。4角ではやや外に張られたが、直線ではじわじわ伸びて、3着馬に9馬身以上の差を付けて好指数勝ちした。

前走のインディアTも、高速馬場の平均ペースで前有利の流れではあったが、2列目の内2番手から、逃げたアラジンバローズの2着と悪くない内容。スタートが上手くなったことも伴って、着実に力をつけていると言える。ここでも十分に通用する能力はある。

【能力値5位 ビヨンドザファザー】
新馬戦では最後の直線でかなりフラフラしていたが、ラスト2Fは13秒3-13秒2と最後まで加速し、2着馬に5馬身差の圧勝を決めた素質馬。その後は強敵とぶつかって成績面は伸び悩んだが、後方待機策で瞬発力を生かす競馬をするようになってから上昇。前々走で1勝クラスを勝利し、前走のユニコーンSでは差のない7着と善戦した。

ただユニコーンSは逃げ馬揃いで激流。スタートからゴールに向けて減速していく消耗戦となり、前が崩れた。本馬は14番枠から1馬身くらい出遅れて行きっぷりも悪く、中団よりもやや後方からの競馬だったが、展開には恵まれた。やや上昇度に欠ける面があるかもしれない。

穴馬はギャラクシーナイトとカフジオクタゴン

【ギャラクシーナイト】
デビューから3戦は芝で使われた馬だが、初ダートの未勝利戦では逃げて3着馬に9馬身差をつけて好指数勝ちした。次走の1勝クラスでも逃げ馬の外2番手から、4角で先頭に並びかけ、直線早め先頭から押し切るという堂々の勝利。これでダートは2戦2勝と底を見せていない。前走のプリンシパルSは14着と大敗したが、適性のない芝なので度外視できる。

また、芝で使ったことでテンのスピードが強化され、レースの流れに乗りやすくなるはず。ダートでの指数面、対戦比較は今回のメンバーに入ると劣るが、今回のレースに向けての上昇度はかなりのものが期待できる。このレースのウイニングポジション(1~2番手)でレースを進めて、大勢逆転を狙えるか。

【カフジオクタゴン】
新馬戦では、後に3戦3勝で伏竜Sを制したデリカダの2着。その後もウェルカムニュース、セイルオンセイラー、再度デリカダと強敵にぶつかって勝ちきれなかったが、能力が高いことは明らかだ。

前々走の八王子特別では、スタミナが不足する休養明けながら1.5Fの距離延長。スタートで派手に躓いたことで能力を出し切れなかった。前走の鷹取特別はタフなダートで、前2頭が競り合ってペースを引き上げていく流れ。離れた好位からレースを進め、向正面で動いて3番手から最後までバテず、好指数勝ちした。

本馬の潜在能力は、これまでに戦った強豪のその後の活躍ぶりから、前走が天井のようには思えない。前走内容からここはレースの流れに乗りやすく、タフな競馬をした経験も最後のスタミナに繋がりそう。一発が十分に期待できる実力馬だ。


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)タイセイドレフォンの前走指数「-30」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも3.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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