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【秋華賞】「当日朝にかけて雨予報」「差しが決まる馬場」 道悪で浮上するのは堅実派アールドヴィーヴル

2021 10/14 11:00三木俊幸
2021年秋華賞出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA
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開幕週でも差し馬が好走

先週の京都大賞典では、2016年のダービー馬マカヒキが5年1カ月ぶりの勝利を果たし大いに沸いた阪神競馬場。今週末は牝馬三冠最終戦、秋華賞(GⅠ・芝2000m)が阪神競馬場で行われる。

桜花賞馬ソダシは札幌記念を勝利したことで、より注目を集める形で参戦。オークス馬ユーバーレーベンや同レース2着のアカイトリノムスメ、そこにトライアルを勝利したファインルージュとアンドヴァラナウトが加わる楽しみなメンバー構成となった。今回も先週末の阪神芝コースの馬場傾向と出走各馬の馬場適性の観点からレースを分析していく。

昨年よりも1カ月早い開幕となった秋の阪神開催。クッション値は10月9日(土)が8.8、10日(日)は8.9と良馬場ではあるものの、9.5〜10前後がマークされていた春の開催と比べると低い数値。ゴール前の含水率も両日とも10.2%と適度にクッションの効いた馬場状態だった。これは昨年と違い、6月の開催終了後にシャタリング作業に加えてエアレーション作業も行われたことによるものだと考えられる。

先週の阪神芝レースで3着内に好走した馬の4角通過順位を見ると、11レース中6レースの勝ち馬が4角3番手以内と先行馬が半数以上を占めているものの、1〜3着までの全体では4角1〜3番手を追走していた馬が12頭、4〜6番手が14頭、7番手以下が7頭と差しも決まる馬場だった。

特に道中淀みなく流れたレースは差し有利の傾向が強く、8頭立てとなった土曜8Rの3歳以上2勝クラスは11秒台のラップが6回続くペースで4角4番手→6番手→1番手という決着。土曜11R、1200m戦のオパールSは2ハロン目から10.9-11.1-11.1-11.0というペースで4角15番手だったナランフレグが2着に好走。日曜4R、1400mの2歳新馬戦もデビュー戦としては厳しいペースになったことで4角11番手→8番手→7番手と差し決着となった。

また勝ちタイムも2勝クラスの1600m戦で1:32.5、3勝クラスの1400m戦、戎橋Sで1:20.4と速い決着となっており、33秒台の上がりを求められるレースも多かった。

新馬戦は不良馬場で直線一気

今週末は土曜日の夜から秋華賞当日の朝にかけて雨の可能性がある。先週よりも水分を含んだ状態でのレースとなれば、より差し馬の台頭が増えることも考えられるので、そうした点も考慮して注目馬をピックアップした。なお、馬名の前の☆は特に注目したい馬を表している。

2021年秋華賞出走馬の馬場適性,ⒸSPAIA


【☆ソダシ】
前走の札幌記念は52kgという軽量だったものの、3角で先頭に立ちそのまま押し切るという内容で勝利し、力のあるところを見せつけた。道悪で走った経験はないものの、メンバー中上がり3位以内の末脚を使ったレースは新馬戦と札幌2歳Sのみと持続力勝負に強いタイプ。血統面からも問題なさそうだ。

【アンドヴァラナウト】
前走のローズSは好スタートを切り、道中6番手をキープ。直線では外から上がり33.8の末脚で逃げるエイシンヒテンを捉えて勝利した。レース当日は良馬場だったものの、前日に38.5mmの雨量を計測するなど水分を含んだ馬場状態。今回もパンパンの良馬場は望めないだけに、前走の経験が活きるだろう。

【ファインルージュ】
2000mという距離への不安もあった前走の紫苑Sは6番手追走から残り200mで先頭に立つと後続に0.3秒差をつけて快勝。器用に立ち回る強いレース内容で2000mも問題にしなかった。Sペースだった前走よりタフな流れでスタミナ勝負になった場合、同じパフォーマンスが発揮できるかという点はやや気がかりだが、未勝利戦を稍重で勝利しているので多少の雨は問題ない。

【アカイトリノムスメ】
オークスでは3角で10番手まで位置を下げたが、直線では馬群を縫って伸びて2着。今回はそれ以来の休み明けとなるが、当初からのプランで気にする必要はない。能力上位だが、他の有力馬と比較して機動力があるとは言えない点は割り引きたい。

【☆アールドヴィーヴル】
春は桜花賞、オークスともに5着。そして前走のローズSは3着という結果だったが、Sペースの中で4角9番手というポジションを考慮すれば展開が向かなかったとも言える。今回は一叩きされた上積みも期待できるし、馬場も雨の影響を受けそうだ。不良馬場の新馬戦を直線一気で差し切った内容から、道悪巧者だと見ている。GⅠレースで極端なSペースにはならないということと、差しも届く馬場を考慮すると一発があるならこの馬ではないかと考える。

【アナザーリリック】
前走、3勝クラスの佐渡Sを1:45.2という好タイムで勝利して牝馬三冠最終戦へと挑む。このレースの2着ゴルトベルクは次走でレインボーS、3着のモズナガレボシは小倉記念をそれぞれ勝利しており、レースレベルも高かった。3走前のアネモネSでは重馬場で勝利した実績もあり、道悪も問題なし。春の桜花賞、オークス不出走ながらここでも通用するだけの能力は秘めていそうだ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとして記事を執筆している。


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