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【アイビスSD】春の開催による馬場への影響はなし 初の“千直”も適性が高そうなグレイトゲイナーに注目

2021 7/22 11:00三木俊幸
2021年アイビスSD馬場適性チャート,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

前開催終了後に芝を張り替え

今週から始まる夏の新潟開催。その開幕週のメインレースとして行われるのは新潟名物“千直”の重賞アイビスサマーダッシュ(GⅢ・芝1000m)だ。他のレース以上に舞台適性が問われる難解なレースではあるが、馬場適性の観点から予想・分析していく。

今年は春の福島開催が中止となり、7週間のロングラン開催となった春の新潟開催。その影響で馬場の内側は早くからダメージを受け、後半に差し掛かると内回りのレースでも大外へ持ち出す馬がいるほどだった。

その状態を見ると、夏の開催も馬場への影響が大きいのではないかと心配になるが、JRAの発表によると2回新潟開催終了後にBコース部分を中心に約7990平方メートルの芝の張り替えを実施。損傷が大きく、張り替えに時間を要したために一部生育が遅れている箇所があるとのことだが、全体的には良好な状態となっている。

開催が進めば馬場悪化の心配も出てくるが、開幕週ということでそれほど気にする必要はなさそうだ。

60%が逃げ・先行馬

直線の1000m戦は全体的に外ラチ沿いに馬群が固まるため、外枠が有利。内枠に入った場合はいかにスムーズに外へと持ち出せるかがカギとなる。

アイビスSD 3着内馬の脚質(過去10年),ⒸSPAIA


2017年のラインミーティアや2018年のダイメイプリンセスのように差し・追込が決まることもあるが、過去10年で3着内に好走した馬の60.0%が逃げ・先行脚質。テンのダッシュ力と2ハロン目から4ハロン目までは10秒台前半のスピードの持続力、尚且つ終いの末脚という3つの要素が揃わないといけない特殊なレースだ。

グレイトゲイナーは2走前の内容に注目

今年の出走馬の中から現時点で注目馬として推奨したいのは以下の5頭。本命候補の馬には馬名の前に☆をつけている。

アイビスSD馬場適性チャート,ⒸSPAIA


【☆モントライゼ】
これまで逃げたレースは2戦目の未勝利戦と3走前の朝日杯FSの2回。中でも朝日杯FSはスタートしてから12.5-10.4-10.8と10秒台のラップを2回続けた。今回が初の直線競馬となるが、スピードは十分通用することを証明している。このメンバーならあっさり勝つ場面があっても不思議ではない。

【ロードエース】
前走は久々の芝でのレースとなったが、スタートを決めてからはダッシュよく好位のポジションを取り、最後は交わされたがしぶとく伸びて3着。稍重で勝ちタイムも遅かったものの、内容自体は悪くなかった。一度直線競馬を経験したことで上積みもありそうなので、前進を期待したい。

【ホーキーポーキー】
前走のはやぶさ賞は馬場状態が悪かった開催の中で55.8というタイムで決着している点に注目。16番枠から逃げて前半3F12.0-10.4-10.8というラップを刻み、半馬身差の2着になっているということからも直線競馬への適性は高そう。今回は51kgで出走できるということからも、押さえておきたい存在だ。

【ジュランビル】
前走のマレーシアCは久々の1200m戦となったが、11.9-10.4-10.7-11.2-11.2-11.5とペースが緩むこともなかった中で好位からレースを運べた。この点から1000mへの距離短縮も全く問題にしないと見ている。

【☆グレイトゲイナー】
2走前の蒲郡特別は、2ハロン目から10.6-10.9-10.9と速いラップを刻んで逃げ切り勝ち。上がりも34.2でまとめた内容から初の1000mはプラスに働くと考える。逃げることができなくても、前走や3走前は6、7番手から差す競馬もできているように脚質の自在性もある。一発あるならこの馬だろう。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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