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【エプソムC】東京替わりでパフォーマンスアップに期待 前哨戦分析からの注目馬は?

2021 6/10 06:00坂上明大
マイラーズC 馬場/展開バイアスⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

非根幹距離での我慢比べ

春の東京G1が終了し、芝1800mという条件設定からも多路線から賞金加算を狙う馬が集まるエプソムC。今年も様々な路線から有力馬が参戦しており、特に4歳勢の登録が目立つ。能力比較、舞台適性、成長曲線など多くのファクターが入り乱れる難解なレースとなりそうだ。

【日経新春杯】
京都競馬場が改修工事中のため中京芝2200mでの開催。Aコース3週目で1~2週目のような内有利のトラックバイアスは解消された印象。1月前半は降水量もかなり少なく、やや速めの馬場状態でもあった。レースは前後半1000m60.7-59.2の後傾1.5秒で流れたが、中京競馬場の勾配を加味すれば淡々としたラップに耐えられるタフさが求められたレースだったといえるだろう。

9着馬ヴェロックスは好位で流れに乗ったが、直線は余力なく失速。背中が長く、トビも大きいフットワークで持続力は十分のタイプだけに、まだまだ本調子には戻っていないようだ。

10着馬アドマイヤビルゴはヴェロックスと同程度の位置取りを取ったが、本馬も直線では手応えなく。母イルーシヴウェーヴは09年仏1000ギニーなどを制したマイラーで、本馬のきょうだいも2000m以下で活躍。2200mでのスタミナ勝負は分が悪かった。

着順以上の評価

マイラーズC 馬場/展開バイアスⒸSPAIA


【マイラーズC】
週中に降雨がなく、火~金曜に散水を実施しても馬場は乾燥。野芝の生育状態、路盤の状態も良好で時計はかなり速い状態が続いた。内外の有利不利はなし。レースはベステンダンクとフォックスクリークが競り合って前後半3F33.3-35.6のハイペースだったが、3番手以降では同34.0-34.9で、直線斜め向かい方向からの強風を考慮すれば公式ラップほどの激しいペースではなかったか。

2着馬アルジャンナは後方で脚をタメ、直線では勝ち馬を追って上がり最速の末脚。ゴールまで進路を確保できず、スムーズなら勝ち馬との差はさらに縮まっていただろう。ストライド走法の差し馬で勝ち切れないタイプではあるが、地力は十分に重賞級のモノがありそうだ。

重賞では上昇必須

【谷川岳S】
野芝の生育が不十分なうえ、コース全体の傷みが顕著な馬場状態。一日通して時計のかかる決着が続いた。ペースはシュリが向正面で先手を奪ったが、前後半3Fは35.9-34.6のスローペース。

さらにレース当時は直線向かい方向からの風を受けていたことを考慮すると、先行馬にはかなり楽な流れだったといえるか。重賞となるとさらなるパフォーマンスアップが必要だ。

器は重賞級

アルジャンナは前走で年長馬相手でも通用することを証明。東京に舞台を移せばさらに高いパフォーマンスを見せられそうだ。本記事では触れられなかったが、ディセンバーSで馬場不利を受けたガロアクリーク、成長著しいファルコニアにも要注意。

注目馬:アルジャンナ、ガロアクリーク、ファルコニア

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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