「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【阪神JF予想】実力伯仲の2歳牝馬路線 前哨戦から見えた各馬の実力は?

2020 12/11 17:00坂上明大
イメージ画像ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

底を見せない良血馬

2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズ。仕上がりの早さやハイペース適性が求められる一戦だけにクラシックに直結するレースとは言い難いが、阪神芝1600mという地力勝負になりやすいコースで行われるだけに素質の見極めが重要な一戦だ。2020年2歳女王に輝くのは果たして……。

【サフラン賞】
秋の中山開催最終週。この開催は例年よりも内側の傷みが早く進み、本レース時は強い「外有利」の傾向が見られた。エアレーションとシャタリングを施した影響と馬場の乾燥が相まって路盤が硬く、時計は速めだった。

1着馬サトノレイナスは折り合い重視で後方から。ルメール騎手のエスコートにより距離ロスを最小限に抑えて、4角~直線もスムーズに外へと持ち出した。好騎乗の恩恵は大きいが、自身の上がり3Fが11.6-11.2-11.2程度、かつ2着馬が次走のアルテミスSで3着と好走していることを考慮すると、良血馬らしい高い素質を感じる一戦であったか。ただ、ペースが速くなると割引が必要か。

負けて強しの2着

【サウジアラビアRC】
秋の東京開催開幕週で内外の馬場差は見られず。水曜~金曜に79.5㎜、当日土曜に24.5mmと雨量が多く、本レース時には不良馬場の非常に重たい馬場状態に。夏を越して根が強く伸びている時季ながらも、道悪適性が問わる一戦となった。前後半3F35.6-37.7(前傾2.1秒)のタフな流れで先行馬には苦しい展開で「後有利」の馬場だったと言える。

2着馬インフィナイトは厳しい流れを4番手で運び、さらに逃げ馬が600~1000mを26.3秒と大幅に減速したことで、それに付き合わされた本馬は少々可哀そうな競馬になってしまったが、強い2着。ただ、キャサリーンパー牝系のパワー型だけに、力の要る馬場が得意なクチであったことも間違いないか。

白毛馬ソダシのレースセンス

【アルテミスS】
開催前半に雨の影響を受けたことで、ラチ沿いは強く傷んだ状態。Bコースに替わっても内が極端によくなることはなく「馬場差無」と評価。前後半3F36.1-34.0の上がり3F勝負となったが、直線は後方からの追い風の影響で末脚が決まりやすい展開に。時計上スローペースだったとはいえ、一概に前有利というのは少々乱暴か。

1着馬ソダシは好スタートから2番手に控える形。抜群の手応えで直線に向き、残り400mから追いだし、上がり3F11.3-11.1-11.5程度で突き抜けた。得意ではない瞬発力勝負で快勝したことは価値が大きい。レースセンスは世代屈指であり、ペースアップもプラス。大崩れは考えづらい。

9着馬ユーバーレーベンは向正面でごちゃついてポジションを下げ、直線も臆病な面を見せて進路取りに苦労した。自身の上がり3Fは11.3-11.2-11.2程度であり、不完全燃焼だったことは間違いない。上がりのかかる競馬になればチャンスはある。

アルテミスステークス馬場、展開バイアス

2歳レコードの価値

【ファンタジーS】
京都の改修工事により阪神芝1400mでの開催。芝の張替直後の開幕週とあって、非常に馬場状態は良好であった。クッション値は10.2の「やや硬め」。終日速い勝ち時計が見られ、本レースでは2歳レコードが誕生した。馬場状態自体は前有利の傾向にあったが、本レースは阪神芝1400mらしい前後半3F34.1-34.8の前傾0.7秒だっただけに、バイアス無しと評価する。

1着馬メイケイエールはいつも通りの遅めのスタートから、暴走気味に先頭集団の後ろにつける。上がり3F11.3-11.5-11.8程度で押し切ったが、引き続き折り合い面が今後の課題だ。素質は十分に評価しているが、2歳レコードについては後続との差が小さいだけに馬場の恩恵が大きかったと評価する。

2着馬オパールムーンは最後方で1頭だけ別の競馬。上がり3Fが他馬より大幅に速い点は当然。ただ、走破時計1.20.2、かつ上がり3F33.5は古馬でもそう出る時計ではなく、高速馬場を加味しても驚異的な数字。フロッグ視は危険だ。

10着馬サルビアは終始折り合いに苦労し、4角では逆手前になる面も。素質は高いが、競馬慣れが必要か。

実力伯仲の2歳牝馬路線

現時点では抜けた馬がいない2歳牝馬路線。完成度の高さでソダシに◎を打ったが、展開や馬場次第で着順は大きく変わるだろう。前有利ならインフィナイト、末脚勝負ならオパールムーンやサトノレイナスが台頭。メイケイエールは自身との戦いだ。

◎ソダシ
○オパールムーン
▲インフィナイト
△サトノレイナス
△メイケイエール
☆ユーバーレーベン
☆サルビア

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

《関連記事》
【阪神JF】白毛馬ソダシは複勝率0%のデータに該当の可能性も ハイブリッド式消去法で占う
【阪神JF】前走のレース内容を注視せよ 勝ち馬に必要な3つの条件とは
【阪神JF】メイケイエールは気性幼く大敗も 3頭の危険な人気馬は?