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【マイルCS】阪神開催なら紛れる余地あり?本命は叩き良化型のアドマイヤマーズ

東京・阪神・京都芝1600mの連対馬成績比較インフォグラフィックⒸSPAIA
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高速決着が濃厚

11月22日(日)に行われるマイルチャンピオンシップ(GⅠ・芝1600m)。秋のマイル王の座を狙う精鋭17頭が、今年は仁川のターフに集結する。スプリンターズSでド派手な差し切り勝ちを収め、余勢を駆って春秋マイルGⅠ連覇を狙うグランアレグリアが人気の中心と目される一方で、昨年の朝日杯FS覇者の3歳馬サリオスやこのレース連覇を狙うインディチャンプなどまさに多士済々の様相だ。

豪華メンバーが揃った一戦を制するのは果たしてどの馬か。また、穴馬の台頭はあるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

先週と同様これまで京都で施行されていたGⅠレースが阪神に替わったことになるが、これはどのように捉えるべきだろうか。手始めにマイルGⅠが施行される東京・京都・阪神とのリンクから考えてみたい。

東京・阪神・京都芝1600mの連対馬成績比較ⒸSPAIA


コースの特徴という視点では3コーナーからの下り坂がある京都が最もトリッキーで、ほかの2場のほうが実力を発揮しやすいという見方が一般的だろう。

しかしデータ上では、東京での好走馬は京都でも堅実に走っており、むしろ京都では他場で結果を出している馬が順当に走っている傾向がある。さらに、阪神で好走している馬でも東京では比較的に成績を落としているということも指摘できる。以上のデータを踏まえると東京と阪神のリンクは、東京と京都のそれと比較して弱いということ。

ハイレベルだった安田記念を思い出すとやはり上位の馬は力が違うような気もするが、阪神で行われる今年は安田記念と異なる結果が出る、つまり紛れる余地が多少なりとも増えたと考えてよいだろう。

外枠はやや低調

過去3年の阪神芝1600m枠番別成績ⒸSPAIA


続いて過去3年の枠番別成績をチェック。そこまで大きな偏りではないが、成績の上では1枠が頭一つ抜けている。一方で外目の7、8枠はやや低調であり、やや減点が必要だろう。

先週のエリザベス女王杯ではコースレコードに0秒2差という好タイムが記録されたように、直近の阪神芝コースはかなり速い時計が出ている。京都で施行された近4年はいずれも1分33秒台で決着しており、この時期の京都の荒れ馬場を苦にしないタイプが台頭していたわけだが、今年はむしろ高速決着への対応が最も重視すべきポイントと言える。

メンバー的にも実力馬が揃っており、ペースが上がっても簡単な前崩れにはならないとみる。内目の枠、中団よりも前目の位置を取れる馬を中心に馬券を組み立てたい。

雪辱の期は熟した

本命はアドマイヤマーズとする。安田記念ではグランアレグリアらの後塵を拝したが、差し有利の展開だったことを踏まえれば6着という結果は悲観すべきものではない。

前走のスワンSは3着だが、休み明けで一頭だけ別定58kgだったということを考えれば上出来と言えるだろう。昨年も富士Sで9着に敗れてから香港マイルを制しており、叩いたぶん確実に良化が見込める。前が止まりにくい高速馬場も歓迎材料だし、春の雪辱に期待したい。

対抗はレシステンシア。2歳時の阪神JFやNHKマイルCのパフォーマンスから分かるように、気分良く逃げられれば捕まえるのは容易ではない。今回は斤量54kgに高速馬場という条件に加えて、枠順も1枠2番という絶好枠。古馬が相手でも先手を取って粘りきる可能性は十分にあるはずだ。

グランアレグリアは3番手評価とする。阪神マイルは桜花賞を制した舞台でもあり、一見して春秋マイルGⅠ連覇に向けて死角は見当たらない。一方で安田記念、スプリンターズSのド派手なパフォーマンスはいずれも馬場や展開が見事にハマっての圧勝劇という感も否めない。もちろん実力がトップクラスなのは確かだが、人気ほどの信頼感はないと思われる。

4番手にサリオス。クラシックはコントレイルに及ばなかったものの、ハイペースを先行抜け出しで圧勝した朝日杯FSを筆頭に、世代でも屈指の能力を見せてきた。程よいレース間隔を確保できている点や高速決着への適性は特に評価できるポイントだ。ただし大外8枠17番に入ったのはやはり懸念材料であり、軸にはしづらいというのが正直なところではある。

有力馬はいずれも甲乙つけがたいところだが、昨年の覇者インディチャンプはこれまで、一度叩いてからきっちり結果を残してきただけに、安田記念からの直行というローテには少し疑問符がつくところ。ここは相手評価にとどめたい。そのほか、叩き2戦目で上昇が見込めそうなラウダシオンまで押さえておく。

▽マイルCS予想▽
◎アドマイヤマーズ
○レシステンシア
▲グランアレグリア
△サリオス
×インディチャンプ
×ラウダシオン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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