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【武蔵野S】崩れず走るベテランに脱帽 サンライズノヴァの勝因とは

2020 11/16 11:44勝木淳
2020年武蔵野Sレース展開インフォグラフィックⒸSPAIA
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サンライズノヴァの勝因は

東京競馬場という日本競馬の王道たる競馬場にある異界、それがダート1600m。JRA唯一のダートマイル戦は芝スタート、コーナー2回、長い直線と固有なレイアウトを描き、独特な適性が求められる。それゆえに12月のチャンピオンズCではなく、その先にある翌年2月のフェブラリーSに直結することがある。

今年このレースを勝ったサンライズノヴァは2年前の勝ち馬、前年覇者ワンダーリーデルが昨年の再現を試みて4着。いずれも6歳秋の好走でこれには頭が下がる。分厚い層のダート戦線、6歳だからと簡単に衰えるようなことはない。この2頭はいずれも常に自分の力を発揮するから恐れ入る。自分のペースで走り、安定した末脚を繰り出し、自分の持ち時計で必ず走る。これも東京ダート1600mという独特な舞台だからこそだろう。ほかで負けてもこの舞台であれば走る、2頭にはそういった特性があった。

レースはメイショウワザシがすんなり先手をとり、外からオメガレインボーが番手につけ、先行集団のレピアーウィット、デュードヴァン、ケンシンコウあたりも離されずに追走してきた。そのため逃げ馬はペースを落とせず、12.2-10.8-11.2-11.9と進み、前半800m46秒1を記録。3、4角でようやく後続のプレッシャーが和らぎ、12秒5とペースダウンしたが、この緩んだラップが勝ち馬サンライズノヴァに味方した。

後方に待機していた同馬はこの地点で前との間合いを急かさず無理せず詰めることができた。直線まで待たずに4角手前でタイミングよく仕掛けたことが復活勝利に導いたポイントだろう。4着ワンダーリーデルは直線まで待ってから仕掛けた。結果を考えれば、サンライズノヴァが動いたのは正解だろう。変則ながら武蔵野S2勝は2100m時代のエムアイブラン以来の記録。独特な舞台だけにリピーターレースであることは確かだが、息が長いダートのトップクラスとはいえ、スピードトラックのこのレースを2回勝つのは容易ではない。

フェブラリーSまで忘れてはいけない馬

2着ソリストサンダーは東京ダートの勝ち鞍がなく、小回り1700m向きだと思っていただけに驚かされた。ダート界の夏の上がり馬で、昇級緒戦のオープン特別3着からも充実期に入ったということだろうか。中団より後ろ、同枠のタイムフライヤーの動きに合わせてその背後をスムーズにとり、揉まれずに進めたことで好走したわけだが、東京ダート1600mの猛者を相手に堂々たる競馬を披露。ソリストサンダーは翌年以降もこのコースでマークしてみたい。

3着エアスピネルは初ダートだったプロキオンS2着以来の好走だった。メイショウワザシを追った先行集団が直線に入って早めに脱落したことで早々に先頭に立たされたのは痛かったか。結果的に1、2着馬の目標になってしまったが、芝で活躍した馬だけにスピード志向の東京ダートは適条件であることがはっきりした。7歳とベテランではあるもののダート転向からはまだ3戦とキャリアは浅い。

フェブラリーS勝ち、前走マイルCS南部杯2着のモズアスコットは7着と凡走。ベスト条件ながら斤量59キロと前走の高速決着が響いたのか、この日はらしさがなかった。チャンピオンズC前のひと叩きというより、それこそ翌年のフェブラリーS連覇を視野に入れた戦略のような気もする。休むよりは適度に使った方が調子をあげるタイプだけに今後のローテに注目しよう。

武蔵野Sレース展開


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。


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