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【アルゼンチン共和国杯】「距離延長組+前走上がり3位以内」が好成績 ユーキャンスマイルより狙ってみたい1頭とは?

過去10年のアルゼンチン共和国杯 4角位置別成績インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

今年もスローか

11月8日(日)に東京競馬場で行われるアルゼンチン共和国杯 (GⅡ・芝2500m)。伝統のハンデ重賞に大舞台での飛躍を誓う18頭が集結した。

悲願のGⅠ制覇を狙う重賞3勝馬ユーキャンスマイルの始動戦として注目が集まる一方で、3歳勢からは青葉賞を好時計で勝利した矢先の骨折でダービー出走が叶わなかった素質馬オーソリティが出走するなど、例年に増して濃いメンバーがそろった印象だ。ここを勝ってGⅠ戦線に歩を進めるのは果たしてどの馬か。

また、馬券的においしい穴馬はどれか。今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

過去10年アルゼンチン共和国杯のタイムⒸSPAIA
4角位置別成績ⒸSPAIA


2010年、2012年、2014年と前半5Fが60秒を切った年は3回のみであり、前半は基本的にスローと考えて問題はなさそうだ。近2年のレース上がりは33秒3、34秒1と速い時計を記録しており、最近は特に上がり勝負の傾向が強くなっている。条件的に長距離を主戦場としている馬の出走が多いレースであるが、スローになればスタミナよりもキレる脚が使えるかが重要となりそうだ。

また、スローになりやすいこともあり、追い込み馬があと一歩というところで差し損ねる場面もしばしば見られている。4角10番手以下から馬券になった5頭のうち、昨年のタイセイトレイル(5番人気2着)以外はみな3番人気以内に支持されていた馬であり、馬券的な妙味には乏しい。穴馬の激走があるとすれば、少なくとも好位から中団でスムーズに運べることが必要条件だろう。

距離延長勢の台頭に注意

過去10年アルゼンチン共和国杯の前走距離別成績ⒸSPAIA


続いて、過去10年の前走距離別成績を確認してみると、距離短縮組は【0-2-0-28】と不振。各馬の平均人気は11.5という値だったことからも、単に力が足りなかったと考えるべきかもしれないが、いずれにしてもキレ味勝負への対応という点で長距離を使ってきた馬は劣る場合が多いということだろう。

対照的に過去10年で9勝の距離延長組。そのなかでも、前走の上がりタイムが全体3位以内の馬は特に狙い目であり、【5-4-8-19】で複勝回収率134%を記録している。馬券になった17頭のうち実に15頭が4角9番手の位置を取っていたことも踏まえると、「距離延長で楽に位置を取れるようになった馬が、息の入りやすい展開の恩恵を受けて末脚比べで有利に立つ」という好走パターンが浮かび上がってくる。

今年はメンバー的にも逃げ馬が不在ということで例年どおりスローペースが濃厚であるし、このパターンに該当する馬を積極的に狙ってみたいところだ。

3戦連続の本命

本命は、前々走の新潟記念、前走の毎日王冠に引き続き、サンレイポケット。毎日王冠はこの馬にとって明らかに短い1800mという距離ながら3着に好走。積極的に位置を取りに行って力のある所を見せつけたが、直線でやや加速に時間を要したように、長い距離が向いているのは明らかだ。近年の好走パターンにも合致しているし、コンスタントに使われているのも充実ぶりの証。好勝負に期待したい。

対抗はユーキャンスマイル。メンバー最多の重賞3勝を挙げるなど、実績は頭一つ抜けている。実績のある左回りということを考えれば、GⅠ前のひと叩きの一戦だとしても凡走はなさそうだ。トップハンデ58kgもこのメンバーなら心配には及ばないだろう。

3番手にはラストドラフト。前走のケフェウスSは8着に敗れたが、半年ぶりのレースでトップハンデ57kgという条件を考えれば酌量の余地はある。もちろん1800~2000mしか経験がないため未知の部分は多いのだが、好位で脚を溜められれば台頭の余地はあるはず。変わり身に期待したい。

4番手にアイスバブル。同コースのGⅡ・目黒記念で2年連続2着という実績がある点が何より強調できるポイント。昨年のこのレースで11着に敗れたように、どちらかといえばある程度ペースが流れてくれたほうがいいタイプではあるのだが、前走の京都大賞典では全体2位の上がりを使って0秒5差と調子は上向いている。叩いたぶんの上積みにも期待する。

オーソリティは青葉賞を好タイムで勝利した際のパフォーマンスが印象的ではあるが、古馬混合重賞での3歳勢の不振ならびに骨折休養明けという事情、さらに大外枠という条件を考えれば、相手評価が妥当とみる。そのほか、相手には昨年2着の実績があるタイセイトレイル、瞬発力勝負での強さが光るバレリオまで押さえておきたい。

▽アルゼンチン共和国杯予想▽
◎サンレイポケット
○ユーキャンスマイル
▲ラストドラフト
△アイスバブル
×オーソリティ
×タイセイトレイル
☆バレリオ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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