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【菊花賞】コントレイルは今後に向けても負けられない一戦 待ったをかけられるのはバビットだけ

2020 10/23 17:00坂上明大
2020年日本ダービートラックバイアス インフォグラフィック
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ⒸSPAIA

階級違いの二冠馬

先週、デアリングタクトが無敗での牝馬クラシック三冠を達成。今週の菊花賞(GⅠ・芝3000m)ではコントレイルが同じく無敗での牡馬クラシック三冠達成が期待される。それに待ったをかけるのは、春のライバル達か、それとも遅れてきた大物か。各馬の潜在能力を参考レースから読み解いていく。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

2020年日本ダービートラックバイアス インフォグラフィック


【日本ダービー】
Cコース初週。コースが替わったことで馬場の傷んだ内側が仮柵でカバーされ、内々を回った馬の好走が目立った。3レース頃に急に降り出したゲリラ豪雨が多少影響したせいか、平均タイムは前日よりも0.5秒程遅くなったが、それでも時計がかかった印象はなく良好な状態だったと言える。

1着馬コントレイルは先団のインで折り合いをつけ、直線では楽に先頭に並びかける。そこからは後続を突き放す一方で、上がり3Fは11.4-11.3-11.3程度。ゴール前はソラを使っており、階級が違ったと言っても過言ではない勝ち方であった。

3着馬ヴェルトライゼンデは上がり1Fで失速したが、これは直線を逆手前で走り切ったことが影響している。着順通り、コントレイル、サリオスに次ぐ3番手評価で問題ないだろう。

4着馬サトノインプレッサは最内枠からロスのない競馬。高い評価はできない。

5着馬ディープボンドは積極策から渋太く粘り込み。決め手に欠けるが、堅実なタイプだ。

6着馬ガロアクリークはトラックバイアスに反した大外からの差し。内で脚をタメて、持ち味の一瞬の切れ味を活かしたい。

遅れてきた大物の予感

【セントライト記念】
前日は好走馬の直線平均進路が6.3で開催最大数値を見せるも、馬場が回復したこの日は5.3に落ち着いた。トラックバイアスは「内外フラット」。レースは前半1000m62.6のスローペースで「前有利」。残り6Fからペースが上がり、持続力の活きる展開でもあった。

1着馬バビットは単騎逃げで展開利あり。ただ、終始手前変換にスムーズさを欠いたうえ、上がり1Fはメンバー中単独2位。サトノフラッグやガロアクリークには力差を見せつけた。

5着馬ヴァルコスは後方待機から差し遅れ。上がり1Fはメンバー中最速であり、距離延長も大歓迎だ。

貫禄を見せたダービー上位勢

【神戸新聞杯】
変則日程により中京芝2200mでの開催。野芝のみの開催に加え、2種の馬場更新作業の影響で開催が進むにつれて馬場が固まり、神戸新聞杯時には速めの馬場状態に。レースは前後半1000m59.9-60.3の後傾0.4秒、かつ差しの決まる馬場でもあり、先行勢には少々厳しい展開だったことからも「後有利」と言える。

1着馬コントレイルは直線もノーステッキで、残り100mは流してのゴールイン。素敵な夏休みを送れたようだ。

2着馬ヴェルトライゼンデはペースの助けがあったが、自身は仕掛け遅れての上がり3F12.0-11.7-11.7程度。3着以下には力差を見せつけた。

3着馬ロバートソンキーはインで脚をタメて、直線はコントレイルを追う最高の形。上がり3F11.9-11.8-12.0程度の個別ラップからも上位2頭には劣る内容であった。

4着馬ディープボンドは先行策から渋太い脚。悪くない内容であった。

ドリームレースへの前哨戦

◎コントレイルはこの後のドリームレースに向けて負けられない一戦。距離や馬場を言い訳にはしていられない。それに待ったをかけられるのは○バビットぐらいか。同世代上位馬▲ヴェルトライゼンデ、長距離適性の高い△ヴァルコスが相手候補。

◎コントレイル
○バビット
▲ヴェルトライゼンデ
△ヴァルコス

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、操法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。