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【アルテミスS】「8枠4勝」「キャリア2戦以内7勝」など 当日まで覚えておきたいデータ

2020 10/25 17:20勝木淳
2020年アルテミスSインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

8枠4勝の理由とは

12年創設以来阪神JFへの主要ステップとして地位を向上させてきたアルテミスS。過去8年アルテミスS組は阪神JFで【2-3-2-14】。19年は壊滅だったが、レッツゴードンキ、メジャーエンブレム、リスグラシュー、ラッキーライラックなど翌年の桜花賞主役クラスがたどったローテ。

暮れのGⅠ、さらに翌年の桜戦線に向けて注目の一戦。その傾向をデータで紐解いていく。なおデータは過去8年間のものを使用する。

枠番別成績(過去8年)ⒸSPAIA

過去8年フルゲートが半数の4回、15頭立て3回、9頭立て1回と、2歳重賞としては比較的頭数が集まりやすいアルテミスSだが、枠番別成績に偏りがみられる。

1~3枠【3-2-3-34】に対して8枠は【4-2-0-14】勝率20%、複勝率30%。半数の勝ち馬が8枠から出ている点は見逃せない。キャリアが浅い2歳牝馬のレースだけに馬群に入る競馬でモロさを露呈するリスクが少ないという理由がひとつ。

また、前半800mは過去8回46秒6、47秒7、47秒6、47秒3、48秒8、47秒5、46秒2、48秒4とスローペースの競馬が多く、タテ長になりにくく馬群が形成されやすいことも8枠優位の要因だろう。

8枠は前に壁を作ることができないリスクもあるが、その点をクリアすればストレスは少ない。キャリアが浅いゆえにストレスフリーは大事な要素になるだろう。

間隔とキャリアを重視せよ

経験の浅さがポイントになるアルテミスSにおいて、出走間隔も大事なファクターとなる。

間隔別成績(過去8年)ⒸSPAIA

15年12人気1着デンコウアンジュによって中1週が【1-0-0-2】と確率で目立つが、好走パターンは中4~8週【3-4-3-40】、中9~24週【3-1-1-26】だろう。

夏競馬期間中に勝ちあがり、アルテミスSを次走に定めて調整された、いわば計画的ローテの馬が強い。秋に勝ちあがった勢いで重賞挑戦、またはオープン転戦からの重賞挑戦はやや厳しい情勢。

キャリア別成績(過去8年)ⒸSPAIA

続いてレースまでに消化した戦数。こちらも計画的ローテ優位を物語る。キャリア1戦【2-3-1-28】、2戦【5-3-4-38】、3戦【1-1-0-21】あたりが好走パターン。4戦以上は【0-1-3-14】。複勝圏内にはチラホラ来ているので、豊富なキャリアがアダとなるわけではないが、ここに狙いを定めたキャリアの浅い組が優位ではある。

想定からはソダシ、ウインアグライア、ユーバーレーベン、クールキャットなど有力勢が該当する。

ソダシ、ユーバーレーベンよりも狙いたい馬とは

キャリアや間隔の傾向はわかったが、もう少し好走パターンを掘り下げていく。

前走クラス別成績(過去8年)ⒸSPAIA

新馬【2-3-1-28】勝率5.9%、複勝率17.6%、未勝利【4-1-3-16】勝率16.7%、複勝率33.3%と1勝目をあげた直後の馬が好走しやすい。

新馬が数字としては低く、新馬勝ち直後より未勝利勝ち直後を評価すべきだろう。ただし想定馬には新馬直後の馬が多く、未勝利勝ち直後というローテはモリノカンナチャン、ククナ、ヴァーチャリティなど人気薄ばかり。ちょっと気になる。

一方、ソダシやユーバーレーベンのGⅢ組は【0-1-1-14】とデータ上は?マーク。しかし、GⅢ組のアルテミスS好走馬はすべて札幌2歳S(14年レッツゴードンキ、15年クロコスミア)なので割り引く必要はなさそうだ。

未勝利戦組の前走との距離比較別成績(過去8年)ⒸSPAIA

さきほどちょっと気になった未勝利戦組について。前走との距離を比較したデータだが、前走が1600mより長い組、つまり短縮組は【3-0-1-2】、1600mだった馬【1-1-2-10】、1600mより短い、延長組【0-0-0-4】。

データから前走未勝利戦が芝1500mだったククナより芝1600mだったヴァーチャリティ、芝1800mだったモリノカンナチャンを評価したい。いずれも上位人気にならない予想なので、密かに狙ってみたい。

アルテミスSデータ

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。