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【秋華賞】デアリングタクトにとって心配なデータ発見 狙うは末脚の持続力に長けたミヤマザクラ

秋華賞4角位置別成績インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

展開がカギ

10月18日(日)に京都競馬場で行われる秋華賞(GⅠ・芝2000m)。最後の一冠を狙う3歳牝馬18頭が淀のターフに集結した。何と言っても史上初・無敗の牝馬三冠を目指すデアリングタクトに注目が集まるが、それ以外のクラシック出走馬や夏を越して頭角を現してきた新興勢力も逆転を狙い虎視眈々だ。

果たして同馬の快挙達成は確実視すべきなのか。また、馬券的に狙いたい穴馬はどれか。今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

秋華賞・過去10年のタイムⒸSPAIA
4角位置別成績ⒸSPAIA


前半が60秒以上かかったのは2012年の1回のみであり、全体的にペースが上がりやすい。ただレースの質は年によって大きなバラつきがあり、昨年は稍重で前半58秒3というペースで流れ、勝ち馬クロノジェネシスの上がりが36秒1というタフなレースになったが、一昨年はアーモンドアイが後方から上がり33秒6の脚を繰り出して三冠制覇を達成している。馬場と展開を読むのがカギとなりそうだ。

内回りコース使用で先行馬有利と考えたくなるが、脚質的には4角5~9番手の馬が8勝を占めるなど中団以降で運んだ差し馬が複勝率27.5%と活躍。直線の短い舞台ということでどうしても仕掛けが早くなりやすく、コーナーで長く脚を使えるかどうかが勝負の分かれ目になると言えるだろう。

真ん中から外が狙い目

過去3年の京都芝2000m枠番別成績ⒸSPAIA


続いて過去3年の枠番別成績をチェック。勝率・連対率・複勝率すべてで4枠がトップだが、そこまで大きな偏りはない。全体的な傾向としては真ん中から外目の枠が比較的に好調のようだ。レース傾向的に差し馬の台頭が目立っており、多少の距離ロスがあっても、立ち回りに幅が出るぶん、内目よりも競馬がしやすいものと捉えたい。

本レースは脚質的にアブレイズ、ウインマリリンあたりが先手を主張しそうだが、いずれも外枠に入ったことで隊列はなかなか読みにくい。一方で、大本命のデアリングタクトが後ろからの脚質ということ、前哨戦ではマルターズディオサ、リアアメリアがともに先行して勝利を挙げていることを踏まえれば、ポジション争いは相応に激しくなるだろう。ここは多少ペースが上がっても崩れない、末脚の持続力に長けたタイプを狙ってみたい。

成長に期待して

本命にはミヤマザクラを推奨したい。桜花賞から距離が伸びて良いと思われたオークスでは、7着と思うような結果を残せなかったが、スローペースの末脚比べでは分が悪かっただけでさほど悲観するものではない。

未勝利戦や京都2歳Sの競馬から考えるに、コーナーで進出する脚が求められる今回の舞台はこの馬向きのはず。また血統的には、全兄ポポカテペトルが菊花賞で穴を空けており、夏を超えて上昇してくる可能性も大いに感じさせる。最内枠に入ったことで立ち回りは少し難しくなってしまったが、そこはベテランの福永騎手に望みを託したいところだ。

対抗はデアリングタクト。春二冠はいずれ異なる条件で高いパフォーマンスを披露しており、無敗の牝馬三冠が確実視されるのも無理はない。枠順的にも外目からスムーズに運べそうなので当然軽視はできないが、京都内回りで前走のような後方から追い込む競馬だと取りこぼす危険もあるだろう。こういう馬はどうしても粗探しをしたくなるが、鞍上の松山騎手は過去5年の当該コース【2-9-4-100】と非常に心もとない。過信は禁物だろう。

3番手にはウインマイティー。紫苑Sは6着に終わったが、スタートの出遅れや休み明けだったことなど酌量の余地は十分にある。叩いての上積みが期待できるので、人気が落ちるようであればここが狙い目だろう。

4番手にマジックキャッスル。紫苑Sは、直線で狭くなるところがありながら4着という結果であり、ワンパンチ足りない面はあるがまだ見限れない。外目からスムーズに運べれば、展開次第で差しが届くチャンスもあるとみる。

以下、実績馬のマルターズディオサ、リアアメリア、ウインマリリンまで押さえておく。

▽秋華賞予想▽
◎ミヤマザクラ
○デアリングタクト
▲ウインマイティー
△マジックキャッスル
×リアアメリア
×マルターズディオサ
×ウインマリリン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。