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【秋華賞】デアリングタクト無敗の三冠に隙なし 「オークスから直行」「馬体重大幅増」でも大丈夫 当日まで覚えておきたいデータ

2020 10/11 17:30勝木淳
2020秋華賞データインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

当日プラス体重はむしろ吉兆

日本競馬史上どの馬も獲得していない、無敗の三冠牝馬という称号へデアリングタクトが挑戦する第25回秋華賞。前人未踏の記録を前にしたこの馬に果たして過去のデータが通用するか、考えものだ。

しかしながら馬券は3着以内まで。デアリングタクトに降参するか否かは人それぞれだろうが、馬券という意味では残るふた枠、データで検討する余地はある。なおデータは過去10年間のものを使用する。

馬体重別成績(過去10年)ⒸSPAIA

秋華賞出走馬のプロフィールから、データ面で傾向が出ているものが馬体重。480~498キロが【5-0-0-14】。過去10年の勝ち馬のうち半数が、3歳牝馬としては大型な部類の、このレンジに入る。かといって大型ならいいのかというと、500キロ以上は2着が1回のみでイマイチ。440~458キロ【2-5-2-48】、460~478キロ【1-3-5-14】と、平均的な馬体重ゾーンも複勝圏に多く来ている。

デアリングタクトはオークスで466キロ。大きく増えても減っても問題はなさそうだ。当日の馬体重次第だが、リアアメリアはローズS勝利時が488キロなので2人気候補をあと押しするデータだ。ただこれだけで逆転可能というのは現実的でない。

馬体重増減別成績(過去10年)ⒸSPAIA

これも当日発表の馬体重によって変わるが、馬体重の増減別成績を出すと、+10~19キロ【2-1-0-12】、+20キロ以上【1-0-0-1】など大きく増えた馬の好走率が高い。微増減、増減なし【4-5-5-67】、-9~-4キロのほどよく絞れた馬【3-1-3-20】も好走している。

これはオークス以来のデアリングタクトが大きく体重を増やしている可能性をにらみ、減点材料になるのではないかと調べてみたら、むしろ加点材料だったというネタ。思えば昨年のクロノジェネシスも同じローテ、+20キロで勝利。無敗の三冠をかけたレースで太めなんてことはないだろうが、もし大きな馬体増でも騒ぐことはない。

ローズS組、紫苑S組の取捨は

ではローテ別の成績はどうだろうか。

前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

アーモンドアイ、クロノジェネシスと2年連続で勝利しているオークス直行ローテ。勝ち馬はこの2頭のみだが、今さらケチのつけようはない。GⅠからGⅠへというローテはむしろ近年のトレンドであり歓迎だろう。

では残りふた枠を考えよう。注目は着度数別でトップのローズS【4-6-7-56】。今年も7頭が登録。勝率が5.5%と低調なのは頭数が多いゆえであり、10年で4勝なら見逃せない。複勝率23.3%も説得力十分。

ローズS組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

そこで、ローズSでの着順別に秋華賞での成績を調べると、本番の勝ち馬はローズS4着以内。6着以下だった馬は3着2回のみ。ローズS掲示板以上となると、リアアメリア、ムジカ、オーマイダーリン、クラヴァシュドールの4頭が該当。春の実績馬、上がり馬など多士済々なので悩みがいがありそうだ。

近年のトレンドというと16年の重賞格上げ以降毎年のように、好走馬を出す紫苑S組【2-2-0-15】だろう。馬券圏内にきた4頭は4、3、3、2人気で1人気はゼロ。上位人気を押さえればいいともいえるが、ちょっと角度を変えて調べる。

紫苑S(GⅢ)組の前走脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

紫苑Sの位置取り(脚質)が秋華賞の結果にどう及ぼすのかを調べると、先行【0-1-0-3】中団【2-1-0-7】に好走ゾーンがあることがわかる。

今年の1着マルターズディオサは番手から早め先頭という競馬だったので、先行ゾーン。昨年2着カレンブーケドールが該当するので消せはしない。強調したいのは中団から差して2着パラスアテナ。紫苑Sのパターンから面白そうだ。

今年もっとも注目を集める上がり馬はレイパパレ。前走2勝クラスは【0-2-0-18】、新潟だった馬は【1-0-0-6】。勝ったのは新潟の紫苑Sで、2着だった14年ショウナンパンドラ。レイパパレはデータ上ではややもの足りない。

数字だけで判断すれば

最後に秋華賞の決まり手、脚質別成績を出す。

脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

中団【9-5-7-65】勝率10.5%、複勝率24.4%が大勢を占める。京都の内回り2000mで行われる秋華賞は予想外にペースが上がることが多く、かつレースが早めに動くケースが見られる。直線が短いながら逃げ、先行より中団から差す組に分がある。

もっとも逃げ馬【0-2-0-8】複勝率20%。アーモンドアイの2着ミッキーチャーム(5人気)のように、強い差し馬がいるときには逃げ馬が残る目も想定しておきたい。

前走脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

秋華賞でどんな位置取りになるかは事前に確定しないので、前走脚質別成績をみる。先行【2-2-5-50】中団【7-6-4-61】あたりが理想。前走4角13番手だったデアリングタクトは数字上、一瞬不安になる。

しかしオークスを見直すと、向正面から3、4角で中団馬群の背後にはつけており、後方というほど後方にはいなかった。もちろん字面だけで判断すれば、【1-1-1-18】の前走後方ということになるわけだが……。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020秋華賞インフォグラフィック