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【京都大賞典】「13頭立て以上」の今年は100万馬券のチャンス 「5歳」「栗東所属」の伏兵が本命

2020 10/8 06:00門田光生
2020京都大賞典データ予想インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

待望の入場再開

待ちに待った秋の京都開催だ。京都競馬場は今後に大規模な改修工事が控えているため、このひと開催のみで阪神へとバトンタッチ。旧スタンドで行われる最後の開催に何とか間に合い、限定ながら観客を入れて行われる。

この京都大賞典だけでなく、順調なら牡牝三冠がかかった一戦も控えている注目の1か月でもある。もしその偉業が達成された時、静寂の中より大歓声に包まれた方が感動的なのは間違いない。

さて、開幕週を飾る第55回京都大賞典は10月11日(日)に行われる。過去にはスーパークリークやメジロマックイーンが連覇を果たした、ステイヤー御用達のレースだが、今は長距離馬受難といわれる時代。

また、有力馬のGI直行が当たり前となった今、前哨戦の価値が以前より低くなってしまったのは致し方ないところか。とはいえ、伝統のGⅡ看板を背負った京都を代表するレース。今年も熱戦が繰り広げられることを期待しよう。今回も2010~2019年の過去10年のデータを参考に検証していく。

4・5歳が中心

年齢


まずはいつも通り年齢から。目立つのは4、5歳馬で、計8勝、2着も9回記録している。中心となるのはこの2世代と考えていいだろう。3歳馬に関しては、有力馬はセントライト記念か神戸新聞杯を選択するケースがほとんど。ここ10年で出走したのは1頭だけで、今年も登録なし。

性別


続いて性別。牡馬・セン馬が17連対に対して牝馬は3連対。出走頭数自体が牡馬・セン馬の方が圧倒的に多いための結果で、勝率、連対率は牝馬の方が上。エリザベス女王杯を狙う有力牝馬は翌週の府中牝馬に回ることが多いが、牡馬相手にぶつけてきた馬には、それだけの自信があるケースが多いのかもしれない。なお、牝馬でこのレースを勝った2010年メイショウベルーガ、2017年スマートレイアーは、それまでに牡馬相手に重賞勝ちの実績があった。

関西馬、宝塚記念組に好走多し

所属


次に東西比較。同じ週に東京競馬場では毎日王冠が行われる。京都大賞典よりさらに歴史が古い一戦だ。距離が違うので、美浦所属馬だからと毎日王冠に集中して出走することはないはずだが、京都大賞典に出走する美浦所属馬は苦戦の傾向。ここ10年で17頭が出走して2着が1回だけしかない。ちなみに毎日王冠の方はというと、ここ10年で美浦、栗東所属馬とも5勝ずつで互角の勝負となっている。

前走クラス

前走レース名


目玉的存在が毎年のように出走していた頃に比べると層が薄くなったとはいえ、そこはGⅡ戦。オープンや条件戦を使って挑んできた馬には壁があるようで【1-2-1-20】と苦戦の傾向となる。前走で重賞を使った馬の方が有利なのは間違いない。

重賞の内訳だが、GIを使ってきた馬が5勝、2着5回と貫禄を見せている。この5勝はいずれも前走で宝塚記念を走っていた馬。同じくGIである天皇賞・春はというと、11頭が出走して2着が2頭。連対率は悪くないが、勝ち馬は1頭も出ていない。

今年は大荒れ?

ここで今回の本題だが、このレースは年によって出走頭数にバラつきがある。過去10年、12頭以下で行われたのが2010、11、14、15、16、18年で、この6回の平均馬連配当は約1300円、3連単は1万円を下回っている。どちらかといえば人気馬同士で決着していることが多い。

これに対して、13頭立て以上で行われた12、13、17、19年の4回はというと、馬連は平均4万円以上、3連単に至っては2013年の300万円越えが利いて、平均100万円を超えている。頭数が多くなれば平均配当が高くなるのは当たり前とはいえ、この差は特筆すべきものだろう。今年の出走頭数は13頭を超えており、となれば狙うはやはり帯封(100万馬券)だ。多頭数で荒れた4年の、馬券に絡んだ馬の人気は⑤⑦②、⑪⑦②、④⑥①、⑪⑥⑤。3着に人気馬が来ているが、1、2着馬は全て4番人気以下。軸は4番人気以下が予想される馬を指名したい。

データでの推奨馬は「4、5歳」「牝馬」「栗東所属」、「前走がGI、特に宝塚記念は好相性」、そして荒れる前提で「4番人気以下が予想される馬」となる。

まずは牝馬だが、メイショウベルーガやスマートレイアーのように、牡馬相手に重賞勝ちをしている馬はいない。ただ、2018年の2着馬レッドジェノヴァは1600万(現3勝クラス)勝ちからの挑戦で、これは今回出走しているカセドラルベルと同じ。直近の成績が4戦3勝で勢いがあったというところも同様だ。これは有力候補の1頭に挙げられるだろう。

続いて宝塚記念を使って挑んできたキセキ、グローリーヴェイズ、ダンビュライトの3頭だが、キセキとダンビュライトは年齢が、グローリーヴェイズは所属で減点対象となっている。またキセキとグローリーヴェイズに関しては3番人気以内に入る可能性が高いので、ここではダンビュライトを最優先することにする。

好走率の高い4、5歳馬、栗東所属で、前走を重賞にまで範囲を広げると、クリアするのはアイスバブル、キングオブコージ、シルヴァンシャー、ステイフーリッシュ、バイオスパーク。これらの前走を詳しく分析すると、キングオブコージの目黒記念は【0-0-0-8】、バイオスパークの函館記念は【0-0-0-3】と実績がなく、この2頭は切っていいだろう。

残る3頭に狙える馬がいるかどうか。アイスバブルの新潟記念は【2-1-0-8】で、実は宝塚記念に次いで実績を残しているステップレース。アイスバブル自体、人気薄が予想されるので絶好に見えるが、過去に新潟記念を経由して連対した3頭とも、同レースである程度の人気をしていた。アイスバブルは人気、さらにいえば着順も3頭には遠く及ばず軸としては押しづらい。

続いてはシルヴァンシャー。【0-2-2-7】の天皇賞・春組で、ここを経由して馬券に絡んだ4頭の、天皇賞での着順は10、5、9、9着。シルヴァンシャーの前走14着は問題ないといえるだろう。最後の1頭、ステイフーリッシュが走ったオールカマー組は【1-0-0-4】だが、唯一の勝ち馬は3連単で10万馬券が出た2012年の勝ち馬メイショウカンパクである。

狙えそうなのはシルヴァンシャーかステイフーリッシュ、そして牝馬代表のカセドラルベル。どれを軸に取るかだが、3連単として考えるなら、3割6分の確率で馬券に絡んでいる天皇賞・春組のシルヴァンシャーが妥当か。この馬自身、昨年の「帯封馬券」に絡んでいる馬でもあり、ぜひ「おかわり」といきたいところだ。

次位としたステイフーリッシュも魅力的。京都の重賞を4回走って【1-1-1-1】。菊花賞以外は全て馬券に絡んでおり、その3レースともGⅡだった。ステイゴールド産駒ながら外回りを苦にしないところもポイントといえる。100万馬券が出た時は2回とも牡馬同士で決着、ということで牝馬のカセドラルベルは3番手にしたが、上記で書いたように2018年の2着馬とパターンが酷似しているだけに期待は高まる。

アイスバブルはデータを満たしているうえに相性のいい新潟記念を経由。人気を考えても100万馬券を狙うなら外せない存在。ダンビュライトは年齢で外れているものの、そのほかはクリア。◎のシルヴァンシャーと同様、大波乱となった昨年の立役者でもある。同様にベストローテーションである宝塚記念から出走のキセキ、グローリーヴェイズをどうするか。波乱となった時でも3着に人気馬が絡んだケースがあったが、100万馬券には届いていない。というわけで、今回の狙いにそぐわないので消し。

シルヴァンシャー1頭軸の3連単4頭マルチが本線だが、懐に余裕があれば3連単BOXも視野に入れたいところ。

◎シルヴァンシャー
〇ステイフーリッシュ
▲カセドラルベル
△アイスバブル
×ダンビュライト

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
今年の凱旋門賞を見て、ゲートに入って無事完走するまでが競馬、ということを思い知らされました。「家に帰るまでが遠足」の言葉を思い出したのは私だけでしょうか?