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【京都大賞典】キセキ参戦予定 「距離延長9勝」「1・2枠5勝」など 当日まで覚えておきたいデータ

2020 10/4 17:00勝木淳
2020京都大賞典インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

内枠が断然有利

今週から4回京都開催がはじまる。この開催終了をもって京都競馬場は改修工事に入り、しばしの別れとなる。果たして無敗の三冠馬が牡牝ともに誕生となるだろうか。

と、その前にまずは開幕を告げる京都大賞典がある。東の毎日王冠とならぶ伝統のGⅡ。秋の古馬中距離路線、その入り口にあたる。以前は波乱が少ない堅実なレースだったが、昨年は先日この世を去ったドレッドノータスが11人気1着、2着6人気ダンビュライト、3着5人気シルヴァンシャーで3連単は181万円を超えたように、波乱もしばしば起こるようになった。さてその傾向はどんなものか。いつものよう過去10年間分のデータを使用して傾向を調べる。

年齢別



翌週に秋華賞、その次週に菊花賞というスケジュールと、2400mという長めの距離が影響しているのか、同週の毎日王冠とは対照的に3歳馬の出走は10年でだった1頭。ここは3歳ではなく4、5歳に注目。勝率では5歳【5-4-3-23】勝率14.3%、複勝率34.3%が上位。4歳は【3-5-2-17】勝率11.1%、複勝率37%で馬券圏内にくる確率は5歳を上回るものの、単勝回収値は4歳32%に対して5歳が552%と圧倒している。4歳は人気どころを押さえつつ、穴は5歳といったところか。

5歳の1着馬は2、5、11、1、2人気。13年ヒットザターゲットが釣り上げた結果の単回収率だが、2着も昨年ダンビュライトを含む1、6、6、6人気と中位人気が多い。また、昨年1着ドレッドノータスや17年スマートレイアーなど6、7歳からも勝ち馬が出ており、ベテランだからと見限れない。

枠順別成績



続いて枠順別成績。毎日王冠は開幕週ながら外枠優勢というデータが出ているのだが、東京よりメンテナンス期間が長い京都の芝も秋は絶好の状態。枠番別成績はそれをストレートに反映して、1枠【2-1-0-8】勝率18.2%、複勝率27.3%、2枠【3-0-2-7】勝率25%、複勝率41.7%と内枠優位は一目瞭然。複勝率でみれば枠番の偏りは少ないが、単勝、アタマ狙いを考えるのであれば外枠は控えたいところだ。

宝塚記念組が最有力

今年は例年以上にメンバーがそろう想定の京都大賞典。伝統のGⅡらしく格を重視した方がいいのだろうか。前走クラス別成績を見ていく。

前走クラス別



前走GⅠ組【5-5-8-23】勝率12.2%、複勝率43.9%が頭数と確率を考慮すれば最有力。3勝クラス【0-1-1-2】は18年2着レッドジェノヴァ、19年3着シルヴァンシャーと2年連続の馬券圏内で気になる。ただ、近2年は京都大賞典の出走馬レベルがやや落ちていたなかでの好走。今年の想定には複数のGⅠ馬の名前があり、レベルの低い一戦にはならないだろう。博多S1着カセドラルベルは気になるが…。

前走レース別GⅠ



前走GⅠ組の内訳を見ると、宝塚記念組が【5-1-5-11】勝率22.7%、複勝率50%と抜けている。前走GⅠ組の5勝はすべてこの組になる。想定馬ではキセキ、グローリーヴェイズ、ダンビュライトが該当する。

前走宝塚記念着順別

では宝塚記念で何着だった馬が“買い”なのだろうか。正直にいうと傾向はあまりなく、宝塚記念の着順問わず京都大賞典好走馬は出ている。キセキは宝塚記念2着だが、2着馬の出走は過去10年でゼロ。とはいえ、1、3着馬の数字を見る限り、2着馬の好走は十分ありえる。6~9着は【1-0-1-3】なので9着ダンビュライトの巻き返しも考えられるし、10着以下【1-1-2-6】で17着グローリーヴェイズも見限れない。

気をつけたいのは、今年の宝塚記念は欧州並みの重い馬場で行われたタフな競馬だったこと。ダメージの心配もしたいところ。さらに言えば、開幕週の京都では問われる適性があまりに違う点も留意したい。キセキは実績的に抜けており、最有力には変わりないものの、宝塚記念のようなレースと比べると適性的に劣る。この判断は慎重にしたい。

穴ならパフォーマプロミス

宝塚記念組のダメージを考慮して、他の組もしっかり検討したい。【3-1-1-23】のGⅢ組がどんなレースを経由してきたのを調べる。

前走レース別GⅢ



レース別では新潟記念【2-1-0-8】が複数の勝利を挙げている。今年は16着アイスバブルが参戦予定だが、新潟記念10着以下は【0-0-0-3】。新潟記念での好走馬が京都大賞典で走る傾向にあり、やや苦しいところ。

他では鳴尾記念【1-0-0-1】。2頭なのでデータ的には微妙ではあるが、今年は勝ち馬パフォーマプロミスが出走予定なので取り上げておく。17年には鳴尾記念2着スマートレイアーが京都大賞典1着、14年には鳴尾記念12着トゥザグローリーが京都大賞典5着と着順を上げている。日経新春杯勝ち、天皇賞(春)3着の実績など京都巧者のパフォーマプロミスは面白い存在になりそうだ。

前走距離別



そのほかで気になるデータに前走距離別の成績がある。前走2400mだった馬は【0-1-1-5】、前走が2500m以上だった今回短縮組は【1-4-2-29】。これに対して今回延長組は【9-5-7-55】と圧倒的な数字。前走で目黒記念を勝ったキングオブコージにはやや不吉なデータ。なお、前走・目黒記念組は過去10年で【0-0-0-8】と好走例がない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。



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