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【スプリンターズS】春秋スプリント王者を狙うモズスーパーフレアの評価は?参考レースから読み解く各馬の「潜在能力」

2020 10/3 11:00坂上明大
2020年スプリンターズS インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

波乱の春短距離GⅠ

秋のGⅠシーズン第1戦、スプリンターズS。昨年の優勝馬が不在、かつ春の高松宮記念は1位入線馬が降着するアクシデント。さらには昨年の本レース後に芝短距離重賞を複数回制したのはダノンスマッシュの1頭のみ。群雄割拠の芝短距離路線を参考レースから読み解いていく。

2020年高松宮記念トラックバイアス


【高松宮記念】
前日夜から降った雨の影響で外伸びが目立ったが、徐々に回復を見せて、高松宮記念時には内目も回復傾向にあった。さらに逃げたモズアスコットでも34.2‐34.5の前傾0.3秒と過去10年で2番目に前傾度の低いペースだったが、2番手以降においては34.7‐34.0の後傾0.7秒という1200mのGⅠとしては超スローペースの流れ。先行馬有利とみて間違いない。

そんな中、グランアレグリアは大外一気で2着に。上がり3Fは11.1-10.9-11.1程度と個別ラップも申し分ない。パフォーマンスは最上位の評価が必要だ。ただ、ピュアスプリンターではないだけに中山替わりは……。

1着馬モズスーパーフレアは繰り上がりでの勝利であり、展開も向いたことは間違いない。ただ、本馬のベストペースはもっと速いはず。中山替わりもプラスだろう。

3着馬ダイアトニックは、ラチ沿いの4番手追走と展開ピッタリの競馬。ただ、直線でクリノガウディーから寄られる不利を受けた点は相当な痛手であり、それが無ければGⅠタイトルをつかんでいたかもしれない。

チャンピオンの貫禄

【北九州記念】
11時台の12.5mmの集中的な降雨以降、稍重に悪化したが、午後には速い時計が見られ、変動の大きい1日だった。本レースも平均的なタイムをマークしており、馬場による影響をあまり受けていない印象だ。

レースはモズスーパーフレアが32.4-35.4の超ハイペースで引っ張ったが、4番手以降は33.2-34.6とレースラップほど前傾ではない。ただ、直線追い風の影響も強く、北九州記念らしい差し有利の競馬であった。

1着馬レッドアンシェルはブリンカー効果か、以前と終いがまるで違った。ただ、ラチ沿いのインで脚をタメた競馬は展開がピッタリハマった感がある。

2着馬モズスーパーフレアは、14キロ増で過去最高馬体重。実質トップハンデを背負ったうえ、超ハイペースで逃げての粘り込み。さすがの一言だ。

素質馬同士のハイレベル戦

【キーンランドC】
午前に計49mmの雨が降って重馬場開催。内馬場の傷みが激しく、さらには南東からの風により外差しが顕著な1日となった。本レースも34.8-35.8の前傾1.0秒以上の厳しいペースとなり、上位3頭はすべて外差し。内の先行馬にはかなり厳しいレースであった。

1着馬エイティーンガールは自慢の末脚がようやくハマッた形。今回も展開さえ向けば、上位争いに加わっても何ら不思議ない一頭だ。

2着馬ライトオンキューは4角で内のフィアーノロマーノに張られた。さすがに距離ロスが大き過ぎたので、勝ちに等しい評価が必要だ。

15着馬ダイアトニックは最内枠の馬場状態が悪く、まったく行き脚がつかず。参考外。

新興勢力台頭の予感

【セントウルS】
例年と異なり、中京芝1200mでの施行。春の開催後の休養中に大幅な芝の張替作業を行い、芝が生え揃った綺麗な馬場だった。しかし、開催前にエアレーションとシャタリングの2種類による馬場更新作業を施したことで馬場が柔らかくなり、時計は平均的に落ち着く。内外には大きな馬場差が生まれず、1日通してどこからでも好走馬が生まれる状態だった。

1着馬ダノンスマッシュは仕上がりも良く、ポジションも絶好。さすがのレース巧者っぷりであった。

2着馬メイショウグロッケは上がり3F11.3-11.2-11.2の末脚を披露。1200mがベストだったのだろう。差しの利く馬場や展開では要注意。

3着馬ミスターメロディは左回りの分、手前を替えるのがスムーズ。不得手な右回りに替わってどうか。

5着馬ビアンフェは直線逆手前で粘り切れず。右回りに変わって巻き返しに期待。

春秋短距離GⅠ制覇へ

例年と異なり、重く、差しの決まる馬場である点は気になるが、それでも絶好枠を引いた◎モズスーパーフレアの春秋短距離GⅠ制覇に期待する。タワーオブロンドン不在のメンバーでは負けられない。ゴドルフィンの素質馬○ライトオンキューにも要注意。

◎モズスーパーフレア
○ライトオンキュー

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、操法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。