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【オールカマー予想】本命はカレンブーケドール 「道悪」「クロノジェネシス不在」でチャンス到来

2020 9/25 17:35三木俊幸
2020年オールカマー馬場適性チャートⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

セントライト記念を勝利したバビットの上がりは37.0

秋の古馬中距離路線を歩む馬たちによって争われるオールカマー(GⅡ・芝2200m)。残念ながら天皇賞・春を連覇したフィエールマンは、熱発により出走回避。少頭数でやや寂しいメンバー構成となったが、馬券的には混戦模様になったと捉えたい。今回も馬場適性の観点から分析・予想していく。

先週末の中山芝コースクッション値ⒸSPAIA

まずは、先々週から公表されるようになったクッション値から見ていく。先週の週中は全く雨が降らなかったが、9月18日(金)の発表は10.3。雨上がりの前週の日曜日が10.1だったことを踏まえると、思ったよりは低い数値だった。

19日(土)は10.6、20日(日)は10.5という数値で推移したが、日曜日から月曜日の朝にかけて2.5mmの雨量が計測されており、セントライト記念が行われた21日(月)は良馬場ながら9.7という数値だった。

先週末の中山芝1800m以上 タイムと上がりⒸSPAIA

芝1800m以上で争われた9レースの結果を見ると、クッション値が最も高かった土曜日に行われた汐留特別(1勝クラス・2000m)では2:01.9という勝ちタイムだったが、月曜日に行われたテイエムオペラオーC(2勝クラス・2000m)は2:02.4と時計を要していた。

3日間を通じて全体的に上がりはかかっており、月曜日に行われたレースで3着以内に入った馬の上がりは35.5以上。Sペースだったにも関わらず、セントライト記念を勝利したバビットが使った上がりは37.0、2着サトノフラッグは36.5、3着ガロアクリークは37.0となっており、秋の中山開催としては異例と言ってもいいほど遅い上がりタイムだった。

先週末の中山芝1800m以上 通過順位ⒸSPAIA

開幕週は馬券圏内に好走した馬の51.9%が4角3番手以内だったが、先週末は33.3%。極端な前残り馬場ではなくなっているものの、85.2%が4角7番手以内となっていることからも、前を射程圏に入れたポジションにいる必要はあるだろう。

今週は台風12号の影響で、水曜日から週末にかけて連日雨予報となっている。良馬場でも時計がかかり、パワーが要求される馬場であるところに雨となれば、オールカマーはかなり重い馬場でのレースとなりそうだ。

上位には道悪巧者を推奨

ここからは注目馬の適性について馬場適性チャートを用いて詳しく見ていく。 縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

2020年オールカマー馬場適性チャートⒸSPAIA

【カレンブーケドール】
昨春のスイートピーS以来、勝ち星からは遠ざかっているものの、安定したレースを続けている。秋華賞、ジャパンC、京都記念はいずれも道悪で上がりのかかる馬場。そのうち2回の勝ち馬は宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスが得意とする舞台でのもの。加えて前走は、スタートでヨレて得意とは言えない差す競馬となったので、2着という結果は致し方ない。戦ってきた相手を考えれば、ここで久々の白星を掴みたいところだ。

【ミッキースワロー】
中山コースではセントライト記念と日経賞で重賞2勝をあげており、常に安定した成績を残している。以前は中山コースでも上がり勝負に強かったが、近2走は持続力勝負の展開でも好走するなど、脚質面でも幅が出てきている。ただ道悪は苦手で、稍重のAJCCは3着馬と僅差だったとはいえ、勝ち馬からは0.6秒差の4着。割り引いて考える必要がある。

【ステイフーリッシュ】
どんな条件でも安定感のある走りができるが、切れる脚が使えないので、好走するには上がりがかかる馬場という条件がつく。4走前のAJCCで2着、3走前の京都記念3着と道悪で好走実績もあるので、今回も積極的なレースで粘り込みに期待する。

【クレッシェンドラヴ】
昨年の七夕賞では稍重で2着、今年の七夕賞では重馬場で1着と道悪実績は十分だが、捲りが決まる展開にならないと厳しい馬でもある。実際Sペースとなった昨年のオールカマーでは、捲れずに勝負どころでモタモタしてポジションを悪くして5着、同じくSペースだった2走前の中山金杯では4角の通過順位は15番手で7着に敗れている。今回も少頭数でSペース濃厚なので、3角で自ら動いていく積極的な競馬をしてもらいたい。

【センテリュオ】
2000mでは直線一気の競馬しかできず、展開に注文がつくが、2200mでは中団で流れに乗ることができ【1-2-0-1】という成績。着外となったのはエリザベス女王杯の4着のみと安定した結果を残している。9走前に中山2200mで勝利した時は35.5、前走のマーメイドSで2着となった時は35.3と上がりのかかる馬場で結果を残しているので、今の馬場でも能力は発揮できるだろう。

▽オールカマー予想▽
◎カレンブーケドール
○ステイフーリッシュ
▲クレッシェンドラヴ
△センテリュオ
×ミッキースワロー

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。