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【セントライト記念予想】馬場状態悪化で上がり馬にもチャンスあり ココロノトウダイの雪辱に期待

2020年セントライト記念 4角通過順位インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

前走ダービー組で決まり?

9月21日(月・祝)に中山競馬場で行われるセントライト記念(GⅡ・芝2200m)。上位3頭にクラシック最終戦・菊花賞の優先出走権が与えられる一戦に12頭が集結した。

ダービー以来のレースとなるサトノフラッグ、ガロアクリーク、ヴァルコスらが人気の中心と目されるなか、ここを制して菊花賞へ弾みをつけるのは果たしてどの馬か。また、ここでこそ狙いたい穴馬はどれか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

セントライト記念・過去10年のタイム/4角位置別成績ⒸSPAIA

近年は前半5Fが60~62秒程度で流れており、傾向としてはスローペース。やはり菊花賞の3000mという距離を見据えて折り合い重視で運ぶ馬が多いということだろう。小回りの舞台ということもあって、4角10番手以下から連対したのは10年のクォークスター(1着)のみと後方待機勢は苦戦を強いられている。今年は12頭と頭数は少なめであるが、中団よりも前目で運べる馬に利があると考えたい。

過去10年で前走・ダービー組が【7-5-4-19】、複勝率45.7%というデータを見せられると、今年も該当の3頭で堅く収まってしまうと思いたくもなるが、そう断じるのは早計だろう。夏競馬期間の古馬混合重賞において3歳馬が不振だったということを鑑みても、春の時点の序列を必ずしも絶対視する必要はないはず。あくまでも前哨戦ということを踏まえ、今回は成長著しい上がり馬を積極的に狙ってみたい。

荒れ馬場で紛れも

過去3年の中山芝2200m枠番別成績ⒸSPAIA

過去3年の枠番別成績を確認してみると、勝率では1枠、連対率・複勝率では3枠がトップ。全体的に真ん中より内目の枠の成績が安定しており、直観に違わず内でロスなく立ち回れる馬が優位と考えたい。

先週の土曜メイン・紫苑Sは稍重のスローペースながら、上がりが35.9というタフなレースとなった。例年と比較して今年は明らかに時計がかかる馬場状態と言えるだろう。記事執筆時点で今週末の天気も雨予報であり、おまけに本レースは3日間開催の最終日。降雨量によっては馬場コンディションが相当に悪化する可能性があるだろう。荒れ馬場のタフな条件に対応できそうな馬がここでの狙い目だ。

春の雪辱へ

これらのデータを踏まえた結果、ココロノトウダイの逆転に期待したい。2走前のスプリングSでは7着に敗れ、クラシック出走はかなわなかったが、上がり勝負の展開が向かなかったことやレース後に骨折が判明したことを考慮すると酌量の余地は十分にある。

骨折明けの前走は、稍重の福島コースで古馬2勝クラスを相手に勝利を挙げており、小回りで上がりのかかるタフなレースになれば台頭のチャンスはあるはずだ。キレるというよりも先行してしぶとく粘るタイプのこの馬にとって、馬場状態の悪化は大きな後押しとなるだろう。外枠に入ってしまったのは厳しいが、それでも狙ってみたい。

対抗にはガロアクリーク。キンシャサノキセキ産駒という血統背景から、何度も距離不安がささやかれ続けてきた本馬だが、ダービーでは3着から0秒1差の6着と上位と差のない競馬をしている。距離は少し長いかもしれないが、このメンバーなら地力は上位とみる。

3番手にはバビットを推したい。ラジオNIKKEI賞では最内枠から積極的にハナを奪い、稍重ながら内が伸びる馬場状態も相まって0秒8差の圧勝を収めた。展開的に楽に運べたのは否めないが、それでもパフォーマンスは非凡。今回もハナ候補の筆頭であり、自分のペースに持ち込めれば再びの逃げ切りも十分に考えうるだろう。

4番手にフィリオアレグロ。青葉賞では3着に敗れて惜しくもダービーへの切符を逃したが、上がり最速で追い込むなど見せ場は作った。血統的に仕上がり早のタイプではなさそうなので、ひと夏を越しての成長に期待してよいだろう。管理する堀調教師は先週までの調教師リーディングで唯一複勝率40%超を達成しており、仕上がり万全で出てくるとみたい。

以下、相手には弥生賞馬サトノフラッグと前走重馬場で勝利を挙げたリスペクトの2頭まで押さえておくことにする。前走ダービー組で人気が予想されるヴァルコスについては小回りの適性の点で疑問視したいところ。レースレコードを記録した2走前の青葉賞(2着)は確かに強い内容であったが、今回はそれと全く異質な条件のレース。菊花賞に向けて注目の一戦となるが、印は回さないでおくことにする。

▽セントライト記念予想▽
◎ココロノトウダイ
○ガロアクリーク
▲バビット
△フィリオアレグロ
×サトノフラッグ
×リスペクト

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。