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【紫苑S予想】オークス3着馬ウインマイティーの馬場適性は?本命は池添騎手を迎えたホウオウピースフル

2020 9/11 17:00三木俊幸
2020年紫苑S馬場適性チャート
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ⒸSPAIA

近3年はSペース、勝ち馬は33秒後半の上がり

先週末の新潟記念はサトノガーネットを本命にしたものの4着。前週までの馬場状態を踏まえ、例年より上がりがかかると想定したが、蓋を開けてみれば上がり32秒台がマークされる馬場に一変。その中でサトノガーネットは上がり31.9を使っており、届かなかったのは致しかたない。

今週から芝コースのクッション値が公表される。新潟2歳Sの週と新潟記念の週で数値にどれくらいの差があったのか知りたいところだが、そうした点を分析する術としても今後は継続的にクッション値を活用していけたらと考えている。

さて、秋競馬がスタートする9月12日(土)に中山競馬場では3歳牝馬による秋華賞トライアル、紫苑S(GⅢ・芝2000m)が行われる。重賞に格上げされて以降、ヴィブロスやディアドラ、カレンブーケドールなど好走馬が本番でも結果を残す傾向にあり、目が離せない一戦となっている。

過去の傾向をもとに、どのような適性を持つ馬が好走しているのか分析し、予想を行っていきたい。

紫苑S過去10年結果



過去10年の結果を振り返ると、2014年の新潟開催(不良)を除き、全て良馬場でのレースとなっている。勝ちタイムは概ね1分58秒〜59秒台で、オープン特別だった時代と2016年に重賞に格上げされて以降で大きな差は見られなかった。しかし上がりタイムは、オープン特別の時は34秒以上かかることが多かったのに対し、近3年の勝ち馬はいずれも上がり33秒台を使って勝利。脚質別では開催初日にも関わらず差し馬が5勝、2着6回、3着4回と活躍を見せている(14年の新潟開催は除く)。

紫苑S過去10年ペース

続いて過去10年の前半1000mの通過タイムを調べてみると、2010年〜2013年までは60秒を切る速いペースで通過。秋華賞出走に向けての2枚の切符を巡って、各馬が積極的にレースを進めることが多かった。しかし2016年に重賞となって以降は優先出走権が3着までに拡大。春の実績馬が出走することも増えたためなのか、トライアルレースらしくSペースになることも増え、以前よりは瞬発力のある馬が台頭する傾向にシフトしつつある。

そうしたことを踏まえ、「好位~中団からレースを進められる」「33秒後半〜34秒前半の上がりでの好走実績」という点に当てはまる馬を狙いたいところだが、レース当日は雨予報。それなりの雨量も計測されそうなので、プラス「道悪適性」も考慮する必要がありそうだ。

本命の決め手は「不安<期待」

ここからは注目馬の適性について馬場適性チャートを用いて詳しく見ていく。縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計の掛かる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりの掛かる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

紫苑S馬場適性チャート

【ウインマイティー】
前走のオークスでは早め先頭に立ったが、ゴール前でデアリングタクト、ウインマリリンに交わされて3着と惜しい競馬だった。2走前の忘れな草賞は稍重で時計のかかる中での勝利、3走前のデイジー賞では中山コースで勝利していることからも、中山コース、道悪ともに味方しそうだ。

【スカイグルーヴ】
前走のフローラSは1番人気に推されたが、5着と期待を裏切る結果となった。しかし、馬体重が−14kgと大幅減だったのに加え、当日の東京競馬場は直線でダートコースの砂が舞い上がり、視界が霞むほどの強風が吹きつけた。その中で前に壁を作れず、まともに風を受けてしまってのものなので度外視したい。

良馬場、東京コースのほうがいいタイプだが、2走前には中山の稍重で行われた京成杯で2着となっていることからも多少の道悪なら能力でこなせるだろう。ただ人気馬でもあるので、雨量次第では思い切って馬券から外すという手もありだ。

【シーズンズギフト】
中山コースでは前走のニュージーランドT2着、2走前のフラワーC3着と重賞でも安定した結果を残している。これまでに使った上がりは最速34.5と切れる脚はないタイプなので瞬発力勝負だと厳しいが、上がりがかかる馬場になればチャンスが広がる。スカイグルーヴにも騎乗できたであろうルメール騎手がこちらを選択したという点も不気味だ。

【ホウオウピースフル】
4走前の百日草特別では上がり33.6で勝利、2走前のフローラSは直線で追い出しが遅れたものの2着好走と東京コースで結果を残している。しかし同馬は、広いコースでの瞬発力勝負に強いタイプというよりは、コーナーをうまく利して直線で一瞬の脚にかけるタイプだと考える。

左回りではモタれる面もあるので、右回りになること、2000mへの距離短縮、コーナーを器用に立ち回る馬との相性がいい池添騎手への乗り替わりという3点はプラス材料。道悪馬場に対応できるかという不安もあるが、期待のほうが大きいので狙ってみたい。

【マルターズディオサ】
春はチューリップ賞を勝利したものの、桜花賞では馬場に泣き8着、オークスは10着に終わった。この2戦を除けば連対を外していないことからも、能力は認める。ただ、マイル前後のワンターンの競馬がベストと考えるので、道悪の2000mという条件では最後失速する可能性が高い。

【チェーンオブラブ】
前走のオークスでは出遅れて最後方追走。そこから上がり33.4で0.5秒差の6着まで差を詰めた。中山1600mのフェアリーSでは2着という実績があるが、距離は2000m以上があっていると言えるだろう。道悪については何とも言えないが、能力は十分通用する。スタートを決めて、ある程度流れに乗ってレースを進めたい。

【レッドルレーヴ】
昨年10月19日の東京2000mの新馬戦はメンバーレベルが高く、重馬場でメンバー中最速の上がり34.2をマークして2着となっている。2戦目で未勝利を勝ち上がり、フラワーSでも2着。上がりのかかる冬〜春の中山開催でも好走できているが本来はもう少し速い馬場向きなので、秋の中山開幕週の馬場は合っているはず。雨についても、よほどパワーを必要とする馬場にならない限り対応可能だと見た。

▽紫苑S予想▽
◎ホウオウピースフル
○ウインマイティー
▲レッドルレーヴ
△シーズンズギフト
×チェーンオブラブ
×スカイグルーヴ

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。