着差をつけることの価値
9月6日には小倉2歳S(GⅢ・芝1200m)が行われる。1200mの2歳重賞ということもあってGⅠには繋がりにくいイメージがあるが、去年のこのレースの3着馬ラウダシオンは後にNHKマイルCを制しており、軽視できない一戦である。今年は台風10号が接近しており無事に開催されるか不安だが、予想をしていきたいと思う。
前走1.7秒差の圧勝劇を繰り広げたモントライゼが出走することもあり、過去10年の芝1200m戦において1秒以上着差をつけた馬の次走成績を調べてみた。
1秒以上着差をつけた馬の次走の成績は、勝率が19.0%、連対率が47.6%、複勝率は66.7%という数字だった。この数字を読者の方はどう捉えるだろうか。
確かに複勝率では2回に1回以上は馬券内に来るということだが、勝率は5回に1回しか勝てないというデータ。モントライゼは前走の大差勝ちで人気することは間違いないが、その割には単系の妙味には欠けると言える。
もちろん今回は出走頭数も多くないので馬券から外すことはしないが、わざわざ1番人気から頭で買うのは得策ではないだろう。
2歳のスプリント戦はきちんと馬体重が備わっている馬を買うべし
続いて馬体重に着目してみると、小倉2歳Sは馬格があった方が良いレースであるというデータが見られた。過去5年の小倉2歳Sにおける440キロ未満の馬の勝率は0%、連対率は10.0%、複勝率は15.0%と著しく低くなっている。理由は、2歳戦では完成度に差があり、短距離戦はスタートからスピードに乗らなければいけないためパワーが必要になるからだ。
馬体を増やして出走してくる可能性もあるが、参考までに前走の馬体重が430キロ以下だった馬は、セレッソフレイム、フォドラ、リサコーハク、ルクシオンの4頭。ある程度人気になりそうなフォドラやルクシオンあたりも含まれている。人気になるのであれば、このデータを信用して消したいところだ。
フォドラは2走とも逃げて競馬をしており、函館2歳S(4着)は先行馬有利の決着を逃げたものなので、過大評価はしたくない。ルクシオンに関しては新馬戦で戦った相手が九州産馬だったので、相手が大幅に強化する今回は厳しいとみる。
前走は持ったまま圧勝。底知れない力に期待
◎メイケイエール
本命はメイケイエールにした。新馬戦は5馬身差の圧勝。その時のラップは、11.9 - 10.5 - 11.5 - 11.8 - 11.8 - 11.9 (33.9-35.5)と、初戦にしてはハイペースだった中、すんなりと3番手で競馬をしての完勝。ラストが11.8‐11.9と大きく減速せずに、持ったままだったので非常に余力があったと考えられる。また注目したいのは、このレースで1、2番手だった先行馬はどちらも馬券外になっており、2、3着が10番手以降の馬だったという点。差し有利な展開の中、先行して圧倒的なスピードの違いを見せつけた底知れない力に期待したい。
○モントライゼ
前走の1.7秒差の大差勝ちは見事だったが、懸念材料も数点挙げておく。新馬戦で勝ちを許したヨカヨカが先日のひまわり賞を圧勝したことで相対的にこの馬の評価も上がりそうだが、ヨカヨカが倒した相手は九州産馬ということもあり、まだ半信半疑。また、過去2戦の最初の2Fを見ると、未勝利戦が23.6で、新馬戦が23.5と遅めで、テンのスピードがあるかどうかは疑問だ。
少なくともメイケイエールやフリードよりはスタートしてからのスピードが遅いので、序盤で後手を踏むことになるかもしれないという点は不安である。しかし今週末は雨予報で、ダイワメジャー産駒のキレず、バテずというタフさが活きる可能性は十分にあるので2番手とした。
▲フリード
2走前の新馬戦(8着)は、阪神開催終盤で馬場も悪く、外差しが決まる馬場だった。そこで先行し、刻んだラップは12.3 - 10.9 - 11.9 - 12.4 - 12.2 - 12.4 - 12.5(35.1-37.1)。前傾ラップで上がりが掛かっていて、先行馬には厳しい展開だったと言えるだろう。前走は距離短縮して前半3Fを32秒台で通過、ハナをきっての完勝だった。スピード能力は十分あるとみて3番手評価とする。
基本はこの3頭のみにしておきたい。買い方は◎のメイケイエールを頭固定にして、印2頭に流した馬券のみを買いたい。
▽小倉2歳S予想▽
◎メイケイエール
○モントライゼ
▲フリード
・推奨買目
馬単◎→○▲
3連単◎→○→▲
(文:ケータロー)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。