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【新潟記念】本命サマー2000シリーズ女王を狙うサトノガーネット 3歳馬ワーケアの馬場適性は?

2020 9/4 06:00三木俊幸
2020年新潟記念馬場適性チャートⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

上がりがかかる年は先行馬が好走

早いもので夏競馬も今週末が最終週。新潟開催のラストを飾るのはサマー2000シリーズ最終戦の新潟記念(GⅢ・芝2000m)。ブラヴァス、アールスター、サトノガーネットなどシリーズ優勝を目指す馬たちに加えて、秋に向けての始動戦となる3歳馬ワーケアも出走し、楽しみなメンバー構成となった。

今週も馬場適性の観点からレースを分析していくにあたり、過去10年の新潟記念の傾向から見ていこう。

過去10年の新潟記念の結果ⒸSPAIA

良馬場で行われた8回のうち、5回が1分57秒台の決着となっている。外回りコースを使用するということで、32秒台の上がり決着となることもあるが、開催最終週というためか33秒後半〜34秒前半の上がり決着になることも多く、年によってばらつきが見られる。

馬券圏内に好走した馬の脚質は、逃げ2頭、先行12頭、差し10頭、追込6頭。直線が長いだけに差し・追込脚質の台頭も目立つが、上がりがかかる傾向にある年は先行馬が活躍している傾向にある。

上がり33秒台は1頭のみ

果たして、今年は速い上がりを要求されて差し馬有利の傾向にあるのか、それとも上がりがかかって先行馬の粘り込みも可能な馬場なのか、先週末の8月29日(土)と30日(日)に新潟競馬場の芝外回りコースで行われた7レースの結果を振り返ってみよう。

8/29・30 新潟芝外回り 勝ちタイムと上がりⒸSPAIA

両日ともに良馬場でレースが行われ、五頭連峰特別(2勝クラス)は1:33.9、新潟2歳Sは1:34.6で決着。開催終盤の差しかかっていることや開催序盤に雨の影響を受けたことを考えると、高速馬場とは言えないものの、例年と比べて極端に時計がかかっているわけではない。

しかし上がりタイムを見ると、33秒台の上がりを使ったのは3歳未勝利戦で3着となったロジマジェスティのみ。上がりはかかる傾向にあるので、長くいい脚を使うタイプでも好走可能な馬場となっている。

8/29・30 新潟芝外回り 通過順位ⒸSPAIA

脚質面では、47.6%にあたる10頭が逃げ・先行脚質となっている一方で、4角通過順が後方4番手以降だった馬も4頭が馬券圏内に入っており、直線一気の競馬でも好走可能な馬場だと言えるだろう。

開催前半に雨の影響を受け、早い段階から内の芝が痛んでいるように見えた夏の新潟開催。最後に馬券圏内に好走した馬たちは直線でどのコースを通ってきたのかについても調べてみた。

8/29・30 新潟芝外回り 直線で通ったコースⒸSPAIA

内ラチ沿いから3頭目以内を通った馬の好走はゼロ。1勝クラス以上のレースが続いた日曜日は、先行馬が内目を開けて走る傾向が目立ち、2000m戦の3歳以上1勝クラスは補正値が+5、1着馬は12頭目、2着馬は13頭目、3着馬は8頭目を通過していた。さらに新潟2歳Sでは補正値が+6で、1着馬は11頭目、2着馬は13頭目、3着馬は14頭目とかなり外を通っていることが見てとれる。この傾向は今週末も続くと考える。

これらを踏まえて今年の新潟記念では、「1分58秒台の決着」「上がりは33秒後半〜34秒前半」という条件下で好走できそうな馬を中心に予想していきたい。

穴は単騎逃げが可能なウインガナドル

ここからは注目馬の適性について馬場適性チャートを用いて詳しく見ていく。縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計の掛かる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりの掛かる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

2020年新潟記念馬場適性チャート

ⒸSPAIA

【ワーケア】
新馬戦は33.2、アイビーSは33.3と速い上がり決着で勝利している一方、ホープフルS3着、弥生賞ディープインパクト記念2着と中山の力のいる馬場で行われた重賞でも好走している。これは能力が高いがゆえに、対応できたものであり、本来は広いコース向き。超高速馬場になった場合はどうかと思っていたが、今の新潟なら馬券圏内への好走は可能。ここで好走できないようなら、秋に一線級と戦っても通用しないだろう。

【ブラヴァス】
前走の七夕賞では道悪馬場が合わないのではないかと不安視していたが、全く問題にせず強いレースをしたという印象を持った。新潟2000mは、2走前に同条件の新潟大賞典で4着。当時よりは速い馬場になるが、乗り方一つで馬券圏内への好走は十分可能だ。

【カデナ】
今春は小倉大賞典で復活の勝利を挙げ、その後は大阪杯でも4着と好走している。昨年の新潟記念3着という実績もあるが、どちらかといえばコーナーを上手く生かすタイプで直線の短いコース向きだと考える。加えて、GⅠとはいえ過去に58kgを背負った天皇賞・秋では勝ち馬から2.2秒差、宝塚記念では3.3秒差といずれも大差で敗れているので、斤量面においても、割り引きが必要だ。

【ジナンボー】
前走の七夕賞は1番人気に支持されたものの、9着に敗れている。しかし敗因は、出遅れとタフな馬場と明らかなので、気にする必要はない。昨年2着と好走している新潟2000mに変わることと、結果を残しているデムーロ騎手に乗り替わるという点はプラス材料。瞬発力勝負になると分が悪いので、直線に向いて早めに仕掛ける形に持ち込みたい。

【ピースワンパラディ】
唯一馬券圏外となった前走のエプソムCは、かなりの道悪馬場。過去に不良馬場で好走しているとはいえ、瞬発力が持ち味の同馬には向いていなかった。ワーケアと同様に持ち時計がないので、今の新潟の馬場は味方しそう。巻き返しに期待したい。

【サトノガーネット】
前走の小倉記念は後方2番手を追走、直線では大外を回って2着に追い込んできた。展開が向いたということも少なからずあるが、中日新聞杯を勝利しているように小回りコースよりは広いコースが向いているタイプ。1勝クラス、2勝クラスと下級条件ではあるものの、多少上がりのかかる馬場だった阪神外回りコースで勝利しているので、今の新潟の馬場は間違いなく向いていると考える。

【ウインガナドル】
昨年の新潟記念と同日に行われた弥彦特別(2勝クラス)では、荒れた内を避けながら逃げ切り勝ち。加えて新潟外回りコースでは5走して4着以下なしとコース適性は高い。逃げ馬有利の馬場とは言えないが、他に何がなんでも逃げたい馬は見当たらないので、展開は向きそう。穴馬として取り上げる。

▽新潟記念予想▽
◎サトノガーネット
○ジナンボー
▲ワーケア
△ブラヴァス
×ピースワンパラディ
☆ウインガナドル

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。