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ルメールvs川田騎手のリーディング争いは11勝差に広がる 3位争いは夏男・福永騎手の猛攻で大激戦に【2回新潟・1回札幌開催終了時の騎手リーディング】

2020 8/12 06:00三木俊幸
2020年騎手リーディング争いインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

最終週だけで7勝の大活躍

2020年騎手リーディング争いインフォグラフィックⒸSPAIA


今夏は東京オリンピックが開催予定だったことに加え、暑さ対策も兼ねてJRAでは7月25日から8月9日までの期間、2回新潟と1回札幌のみの変則開催となった。馬にとっても出走へのハードルが高くなったが、騎手にとってもし烈な争いが繰り広げられた。騎手リーディング上位の顔ぶれに変化はあったのか、また各競馬場の開催リーディングの結果はどうだったのか振り返る。

前開催を終えた時点の全体の騎手リーディングは、ルメール騎手が104勝、川田騎手が102勝と接戦だった。ルメール騎手は札幌競馬場を、川田騎手は新潟競馬場を拠点にそれぞれ騎乗していたが、結果はルメール騎手が14勝を積み重ね118勝、対する川田騎手は5勝しか上積みできず、107勝止まり。その差は11勝差となった。

2週目を終えた時点で、ルメール騎手と川田騎手の差は4勝とそこまで広がってはいなかったが、ルメール騎手は最終週の土曜日に3勝、日曜日に4勝、合計7勝の大活躍。川田騎手が一つも勝てずに終わったことで、一気に差が広がってしまった。今週からは小倉開催がスタートするので、地元九州での巻き返しに期待したい。

見応えのあった3位争い

今開催で最も白熱したのは、3位争い。前開催終了時点では3位武豊騎手と4位松山騎手は、ともに65勝で並んでおり、5位福永騎手も3勝差にまで接近していた。週ごとの順位変動について、詳しく見ていこう。

1週目を終わった時点では、松山騎手は3勝を上積みして68勝で3位に浮上。翌週から騎乗停止となるため、一つでも多く勝利を積み重ねておきたいという思いが伝わる騎乗だった。4位はプラス1勝で66勝とした武豊騎手、5位福永騎手は3勝を挙げて65勝とした。

2週目、福永騎手は更なる活躍を見せる。土曜日の新潟2Rで勝利すると、その後5、6、10Rでも1着となり4勝の固め打ち。武豊騎手も負けじと札幌9、10Rで連勝したものの、土曜日終了時点では福永騎手が69勝で3位に浮上した。両騎手とも札幌競馬場で騎乗した日曜日は、メインレースを終えた時点で両者とも未勝利。このまま終わるかと思ったが、武豊騎手が12Rで勝利し、2着の回数差で再び3位争いは逆転した。

迎えた最終週、新潟1Rでいきなり福永騎手が勝利して70勝に到達するが、武豊騎手もすぐさま札幌4Rで1着となり追いつく。だがそれも束の間、約1時間後の新潟5Rで福永騎手が71勝目を挙げて、3位争いはまたまた逆転して、土曜日の競馬を終えた。

最終日の日曜日、福永騎手は新潟で8鞍に騎乗したが、最高着順は3着と勝利を挙げることができず、71勝止まり。対する武豊騎手は、札幌で5鞍に騎乗。7Rでドゥラモットに騎乗して見事に勝利し、同じく71勝となり、2着の回数の多かった武豊騎手が3位という結果に終わった。今週末から松山騎手も復帰するので、さらに激しい争いが繰り広げられるだろう。

9勝中6レースが単勝配当580円以上

ここからは、競馬場ごとの開催リーディングについて振り返っていく。2回新潟開催は、9勝をあげた福永騎手がリーディングを獲得。その内訳を見ると、1番人気が3勝、2番人気が1勝、3番人気が3勝、5番人気と6番人気がそれぞれ1勝ずつとなっていた。単勝配当も6レースが580円以上、有力騎手が多く集まっていた影響なのか、配当面でもお得感があった。過去2回、サマージョッキーシリーズのチャンピオンに輝くなど、夏場に強いイメージがある騎手なだけに、この先の夏競馬でも引き続き活躍が期待できそうだ。

以下、5勝で幸騎手と川田騎手が続いており、関西の騎手が上位を独占した。関東所属の騎手では柴田大騎手の4勝が最多。4勝全てがビッグレッドグループの所有馬によるものだった。その他、若手騎手では斎藤騎手と西村淳騎手が3勝をマークしている。

武豊騎手がJRA通算4200勝達成

1回札幌開催は、ルメール騎手が14勝で最多勝利だった。今年の北海道開催では、函館記念が2番人気11着、クイーンSが3番人気10着と思ったような結果が残せていなかったが、8月9日に行われたエルムSでは、タイムフライヤーに騎乗して見事に重賞勝利を果たしている。一度勢いに乗ると、手がつけられないほど活躍するルメール騎手、2回札幌開催では何勝を挙げるのか注目が集まる。

2位は6勝を挙げた武豊騎手。芝のレースでは馬群をうまくさばき、見る人を唸らせるレースも多かった。ハイライトは最終日の札幌7R、ドゥラモットに騎乗して1着となり、JRA通算4200勝を達成。4100勝を達成してから約11か月で、また新たな金字塔を打ち立てた。

同じく6勝だったのは、横山武騎手。騎乗機会53回は開催を通じて最も多く、舞台が札幌に変わっても安定した活躍を続けている。その活躍に刺激を受けたのか、兄の横山和騎手も4勝をマーク。そのうち3勝がダート1700m戦で、【3,2,3,8】複勝率50.0%という成績を残している。馬券圏内に入った8回のうち、5回が5番人気以下の馬とのコンビによるもの。高配当をもたらしてくれることも多いので、今後馬券を買う上でも注目したい存在だ。

ライタープロフィール
三木俊幸
SPAIA編集部に在籍し、競馬部門の立ち上げ・拡大に携わる。現在はフリーランスの競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRA(コロナウイルスの感染拡大防止のため活動休止中)や地方競馬に加えて、香港競馬など海外の競馬場にも赴いて撮影を行っている。