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【レパードS】先週末の1800m戦は「差し馬の83.3%が4角4番手以内」 本命は平坦巧者で馬場適性も高い穴馬

2020 8/7 17:00三木俊幸
2020年レパードS馬場分布図ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

過去10年、差し馬の42.9%が4角5番手以内

8月に入って関東甲信越地方もようやく長い梅雨が明け、本格的な夏の訪れを感じる日々が続いている。今週末、8月9日(日)に新潟競馬場では3歳限定のダート重賞、レパードS(GⅢ・ダート1800m)が行われる。

馬場適性の観点から分析・予想を行うにあたり、まずは過去10年のレパードSの結果から振り返っていく。

過去10年のレパードSの結果ⒸSPAIA



良が7回、稍重が3回という内訳となっており、良馬場であれば1分51秒から52秒という平均的なタイムでの決着となることが多い傾向にある。また37秒台の上がり決着になることが多く、極端に速い上がりを要求されることは少ないと言えるだろう。

脚質面では逃げ1勝、先行5勝、差し4勝という内訳。2着、3着に目を向けてみても、逃げ4頭、先行4頭、差し10頭、追込2頭となっており、一見すると差し馬が抜けて多いようにも見えるが、逃げ・先行8頭、差し10頭という分け方にすると、ほぼ互角だった。しかし、差し馬14頭中42.9%にあたる6頭が4角5番手以内というデータも残っており、道中である程度のポジションまで押し上げることができる自在性も求められている。

小回りで直線が短いというイメージもある新潟競馬場のダートコースではあるが、直線は353.9mもあり、同じく直線が平坦の京都競馬場よりも長い。そうしたことが差し馬も多く台頭できる要因なのではないだろうか。

今週末は雨予報

先週末、8月1日(土)と2日(日)に新潟競馬場で行われたダート1800m戦、5レースの結果についても見ていこう。

8/1・2 新潟ダートコースの勝ちタイムと上がりⒸSPAIA



前日の7月31日(金)に100.5mmの雨量を観測。重からスタートとなったが、気温が上がり天候にも恵まれたこともあり、土曜日後半には稍重に、日曜日は良まで回復した。日曜日の10Rに行われた柳都S(3勝クラス)では1:50.7というタイムでの決着。前半1000mの通過が1:00.9とハイペースのレースでありながら、1着〜3着馬が使った上がりはいずれも37.3が計測されており、時計はやや速めで上がりは平均的な馬場コンディションだった。

8/1・2 新潟ダートコースの通過順位ⒸSPAIA



1800m戦、5レースで馬券圏内に好走した馬たちの脚質を見ると、先行馬が9頭、差し馬が6頭という内訳となっていたが、過去10年のデータで見られた傾向と同様に、差し馬6頭中5頭が4角4番手以内、残る一頭も4角6番手と前を射程圏に入れられるポジションまで押し上げていたことが見てとれる。もちろん先週末と今週末では馬場コンディションは変化するので一概にはこのデータが通用するとは言えないが、参考データとして頭の片隅には置いておきたい。

今週は週の前半から30℃を超える暑い日が続いているものの、執筆している時点での天気予報では、金曜日から日曜日にかけて雨予報となっている。雨が早く上がれば先週末と同程度、レース直前まで降り続いた場合は少し速い馬場コンディションになると予想する。そうした点も踏まえつつ、予想していきたいところだ。

過去10年の京都ダート1900m・未勝利戦で最速タイムをマーク

ここからは馬場適性分布図をもとに、注目出走馬の適性について見ていく。分布図の縦軸は高速馬場に強いスピード型か時計のかかる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場を得意とする瞬発力タイプか上がりのかかる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

なお、各馬の配置はベストパフォーマンスを発揮できる舞台設定を表したものである。

2020年レパードS馬場分布図ⒸSPAIA



【デュードヴァン】
ダート4戦は全て東京1600mを使われ、3勝、2着1回とパーフェクト連対。前走はスタート後にズルズルと位置どりを悪くして14番手からのレースとなったが、今回同じレースをした場合、差し届かないのは川田騎手も承知しているはず。それだけに好位から中団でレースを進めることとなるだろう。その他、特にマイナス材料は見当たらず、能力も上位なので好走が期待できる。

【ミヤジコクオウ】
前走のジャパンダートダービーでは4番手追走も、勝ち馬ダノンファラオから2.1秒差の5着。しかしスタミナを要求されるレースとなり、最後は脚が上がってしまう形となった。今回は1800mへの距離短縮に加えて、地方よりも軽いダートコースに変わることはプラス材料。2走前の鳳雛Sでは1:51.0というタイムで勝利していることも評価できるので、巻き返してくるだろう。

【ライトウォーリア】
2走前の伏竜Sでは、砂を被るのを嫌がったのか、早々と失速して12着に敗れている。しかし、それ以外のダートのレースでは全て勝利しており、能力は高い。いかに気分良く走れるかという点がポイントとなるが、今回も3勝全てで手綱を取っていた岩田望騎手が継続騎乗できるので、心配する必要はないだろう。

【バンクオブクラウズ】
前走のインディアTでは1番人気に支持されたものの、ライトウォーリアから0.7秒差の4着に敗れた。しかし2走前の鳳雛Sでは、中団追走からしぶとく伸びて3着と好メンバー相手でも好走している。注目したいのは、コース実績。馬券圏内に好走しているのは全て京都コースで、馬券圏外となっているのは阪神コースとなっており、典型的な平坦巧者だと言える。また想定以上に渋った馬場になったとしても、京都のダート1900mで未勝利戦を勝った時のタイムは1:58.2と2010年以降に行われた未勝利戦30レースの中で最も速いタイムをマークした実績があるので、全く問題なし。勝負どころではある程度自分から動くことも可能なので、注目馬として取り上げたい。

【ダンツエリーゼ】
前走は、直線で体勢が決したと思われたところから、大外から豪快に差し切って勝利。4角12番手の通過だったが、スタートの出が悪かったうえに、スタート直後にごちゃついた影響もあったので、もう少し流れに乗ってレースを進めることは可能だと考える。今回もハイペースとなりそうなので、展開が向けば牡馬相手の重賞において再現があっても不思議ではない。

【ラインベック】
父ディープインパクト、母アパパネという超良血馬。芝でデビューして重賞レースでも3着という成績を残していたが、GⅠ戦線では結果が残せなかったことから、前走でダートに矛先を向けられると見事に逃げ切り勝ち。ダート適性と能力の高さを示した。砂を被ったり、もまれたりした場合の不安が残るが、逃げ候補だった馬が抽選で除外になったので、押さえに入れておく。

▽レパードS予想▽
◎バンクオブクラウズ
○ミヤジコクオウ
▲デュードヴァン
△ライトウォーリア
×ダンツエリーゼ
×ラインベック

ライタープロフィール
三木俊幸
現在はフリーランスの競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRA(コロナウイルスの感染拡大防止のため活動休止中)や地方競馬に加えて、香港競馬など海外の競馬場にも赴いて撮影を行っている。