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【エルムS】「脚質」「年齢」「前走着順」に注目 本命は唯一58キロを背負う実績馬

2020 8/6 17:00門田光生
2020年エルムステークスインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

WINSとJ-PLACE

無観客レースが続いていた中央競馬だが、いよいよ8月15日から新潟競馬場でファンを入れての再開が決定。地域限定という条件付きながら、ようやく日常への一歩を踏み出した。それに先立ってWINSやJ-PLACEでも時間限定で営業が再開されており、次いで函館、福島の両競馬場(パークウインズ)でも馬券発売が始まっている。

パークウインズというのは「競馬開催を行っていない競馬場での場外発売について、より親しみやすくするために、2001年(平成13年)9月から名付けられた愛称。緑豊かな広い空間である公園のイメージをこめて命名された」と、JRAのホームページに書いてある。

WINSは昔でいう場外勝馬投票券発売所のことだが、J-PLACEとの違いは何か。これもJRAのホームページから引用すると「J-PLACEとは地方競馬が共同で構築した<地方競馬共同トータリゼータシステム>により、JRAの勝馬投票券の発売・払戻を実施する地方競馬施設のこと。地方競馬施設であっても、JRAの発売システムを利用した発売を<WINS>、地方競馬共同トータリゼータシステム経由の発売を<J-PLACE>と呼ぶ。平成25年3月に北海道地区で初めて発売を開始。

なお<JRAの競馬場・WINS等>と<J-PLACE>の相互払戻・返還はできないが、J-PLACE間での払戻は可能である」とある。 いつも利用している施設が地元のJ-PLACEの場合、JRAの競馬場に行った時に馬券を買ってそのまま帰ってしまうと、地元で的中馬券が換金できないということになる。

といっても、これは全ての競馬場でレースが見られる日常が戻ってからの話。2020年8月9日に札幌競馬場で行われる第25回エルムSも無観客。夏競馬が終わって中央場所に戻った時、少しでも感染が収まっていることを祈るばかりだ。

美浦所属馬に注目

エルムS出走馬の脚質ⒸSPAIA

エルムSは2013年に函館競馬場で行われており、今回はそれを除いた2010~2019年の過去9回のデータを参考にしている。札幌競馬場は函館競馬場に比べると時計が速く、より先行有利の印象が強い。エルムSも例にもれず、先行脚質の成績は<6-8-1-11>と抜群の成績。中団待機馬が上位を占めた昨年は例外と考えていいだろう。

2020年エルムステークスインフォグラフィックⒸSPAIA

続いて年齢。3歳馬は出走していないのでそれ以外の年齢を比較してみると、4、5歳がほかを圧倒していることが分かる。ともに連対率25%という数字からも、この世代が中心と考えて間違いないだろう。逆に高齢馬の成績がひと息で、7歳馬は勝ち馬が、8歳以上となると連対した馬すらいない。人気が予想される8歳馬ウェスタールンドには嫌なデータだ。

エルムS出走馬の性別ⒸSPAIA

最も極端なデータが出ているのは性別。馬券に絡んでいる27頭全てが牡馬かセン馬だった。そもそも牝馬は出走頭数が極端に少ないし、今年に至っては0頭。このレースの前後にスパーキングレディーカップ(川崎)、ブリーダーズゴールドカップ(門別)という2つの中距離牝馬交流重賞が行われる影響だろうが、少数精鋭だったプロキオンSとは様子が違うようだ。

エルムS出走馬の前走着順ⒸSPAIA
エルムS出走馬の前走人気ⒸSPAIA

前走着順、前走人気に関しては、当然というか3着、または3番人気以内だった馬の成績がいい。特に美浦所属馬にその傾向が強く、美浦所属馬+前走3着以内だと勝率、連対率とも35%を超えており、美浦所属馬+前走3番人気以内も連対率が35%以上ある。これだけ強いデータなら決め手になるかもしれない。

エルムS出走馬の斤量ⒸSPAIA

最後に斤量を。58キロ以上を背負った馬は過去に8頭出走していて連対率5割の好成績。斤量が重くても割り引く必要はなく、むしろ実績を素直に評価すべきだろう。

今回はどれも一長一短だが……

エルムSで勝ち馬にふさわしいのは「先行脚質」「4or5歳」「前走3着以内かつ3番人気以内の美浦所属馬」そして「斤量58キロ以上」となる。

分かりやすいところでいうと、58キロ以上を背負っているのはアナザートゥルースだけ。脚質も合うし前走3着以内の美浦所属馬だが、3番人気以内ではなく、また年齢も6歳と好走範囲から外れている。さて、どうするか。

前走が3着以内、かつ前走3番人気以内の美浦所属馬を探してみると、上記の条件に該当するのはサトノティターン、バスカヴィル。前走3着以内+美浦所属馬というデータがかなり強いので、ハイランドピークも加えていいだろう。この馬は2年連続で連対しており、リピーターが多いこのレースの傾向にもマッチしている。

ところで、このエルムSというレースは施行時期がコロコロ変わっていて、現在の8月上~中旬に定着したのは2015年から。それ以降のステップレースを見ると、勝ち馬が出ているのはマリーンS(OP)、平安S(GⅢ)、そして安達太良S(1600万下、現3勝クラス)。特にマリーンS組は5年間で3勝しており、最有力のステップレースとなっている。また、プロキオンS(GⅢ)と大沼S(OP)からも連対馬が出ている。しかし、サトノティターン、ハイランドピーク、バスカヴィルは勝ち馬の出ているレースを経由しておらず、中心視するには決め手にかける。

ならば、連対率5割の「58キロ以上」かつ勝率35%以上の「前走3着以内+美浦所属馬」という、強いデータの両方を満たしているアナザートゥルースが中心でいいだろう。セン馬といえば2016年にリッカルドが優勝しているが、両馬とも岡田スタッドの生産馬という共通点がある。

相手は上記でピックアップした美浦所属馬といきたいところだが、美浦所属馬同士の決着は9年前までさかのぼらなければいけない。対して、美浦所属-栗東所属で決まったのは4回。美浦所属馬同士で決着する可能性が全くないわけではないが、美浦所属馬を軸にしている関係上、相手に栗東所属馬がくる確率は十分にある。

その栗東所属馬で気になるのはエアスピネルとタイムフライヤー。ともに前走が3着以内で、プロキオンS、マリーンSという相性のいいレースを経由している。この2頭の比較だと、好走馬が多い5歳のタイムフライヤーを上に取りたい。

点数をもう少し絞るために、脚質と年齢がこのレースと合っていないサトノティターンには消えてもらう。

◎アナザートゥルース
〇タイムフライヤー
▲エアスピネル
△バスカヴィル
×ハイランドピーク

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。感染者数がずっと少ない新潟は一般入場(指定席)が解禁されましたが、小倉競馬場の所在地は100人を超す感染者が出た福岡県。札幌とともに今年は無観客が決定したようです。残念。