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【プロキオンS】今年は阪神開催!10年前の再現を!データに後押しされた逃げ馬とは?

2020 7/10 06:00門田光生
2020年プロキオンSデータインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

実績牝馬に注意

星や星座の名前がついたレース名はJRAにたくさん存在する。「カペラS(ぎょしゃ座)」「アンタレスS(さそり座)」などがそれで、主にダートのレース名として使われている。今回のプロキオンはこいぬ座の一等星の名前で、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のベテルギウスとともに「冬の大三角形」を形成する有名な星だ。

冬にプラネタリウムを見に行くと、ほぼ間違いなく解説が入る鉄板ネタでもある。冬の大三角形の「シリウス」「ベテルギウス」も同様に名の付いたレースがあり、昨年でいえばシリウスSは9月末、ベテルギウスSは12月の阪神開催に行われていた。一方のプロキオンSはというと、1990年代前半には2月に行われていたようだが、現在は7月で定着している。

冬の大三角形がバラバラの時期に行われているというのは(しかも、プロキオンSは夏!)、風情がないというか、できれば統一してほしいのが心情なのだが、毎年のように細かい修正が入る番組編成の都合上、こればかりは仕方がないのかもしれない。

そのプロキオンSだが、先週のCBC賞と同様に中京ではなく、今年は阪神競馬場でレースが行われる。過去10年で阪神、京都、中京と3つの競馬場で施行されていて、データで予想する上で難しい状況となっているが、今回も使えそうなものを抽出して検討していく。

プロキオンS出走馬の年齢ⒸSPAIA
プロキオンS出走馬の性別ⒸSPAIA



まずはいつも通り年齢から。芝に比べてダートは高齢馬が活躍する印象が強いのだが、このプロキオンSは7歳以上の成績がもうひとつ。【0-2-4-47】で勝率0%、連対率も4%を切っているのでは厳しいと言わざるを得ない。最も成績がいいのは4歳馬で【5-2-1-15】。勝率、連対率ともにほかの世代を圧倒している。

プロキオンS出走馬の年齢別成績ⒸSPAIA



また、牝馬は3連対ながら勝率、連対率ともに牡馬・セン馬を大きく上回っている。7月15日に川崎で牝馬限定のスパーキングレディーカップが行われるが、賞金が足りるにもかかわらずこちらへ回ってきた牝馬は勝負気配とみて特に注意したい。ちなみに、牝馬が勝った2回はともにレコード勝ちだった。

負けてもコンマ5秒差以内で

プロキオンS出走馬の前走着順ⒸSPAIA
プロキオンS出走馬の前走人気ⒸSPAIA



前走に関しては着順、人気とも数字のいい馬が結果を残している。具体的に書くと、前走で1、2着だった馬は【7-6-6-46】。13連対で全体の半分以上を占めている。特に前走2着馬は勝率20%を超えるハイアベレージだ。

前走人気も同じで、1、2番人気に支持されていた馬は【8-8-6-26】。2017年2着のカフジテイクは前走海外でノーカウントとし、それを除く連対馬19頭中、16頭がこれに該当する。前走で1、2番人気に支持され、なおかつ連対していた馬は【6-6-3-18】で、さらに確率が上がる。前走で人気通りの走りができた馬は、このプロキオンSでも好走する確率が高くなっている。

プロキオンS出走馬の前走着差ⒸSPAIA



前走で負けた馬に関しては、勝ち馬との着差が少ないほど好結果が出ている。0.5秒という数字が分岐点のようで、0.5秒差以内で負けていた馬は【7-4-2-32】で11連対。これに前走勝ちの馬を足すと【10-9-8-65】で19連対。前走着差が分からない2017年2着のカフジテイクを除くと、連対馬の全てが前走勝ちか、もしくは負けても0.5秒以内、ということになる。

プロキオンS出走馬の前走ⒸSPAIA



このレースはGⅢの格付けだから、重賞戦線で走ってきた馬の成績がよさそうなのだが、前走で重賞を走った馬の成績は【0-1-0-21】と散々たるもの。ただし、これは海外と地方を除いたもので、前走が地方競馬だと6連対、勝率も10%弱と悪くない数字になる。特にかしわ記念組は【1-1-0-1】で、頭数は少ないながら好成績を挙げている。

決め手は脚質

かなり悩ましいメンバー構成となった。まず性別だが、牝馬の出走は1頭だけ。紅一点となったヤマニンアンプリメは賞金を持っている実績馬。その時点で有力候補だが、前走が2番人気で大敗というのはあまりよくないパターン。ただ、前走に関しては予期せぬアクシデントがあったということ。好走確率の高い実績牝馬ということで押さえることにする。

今回で最も強調できるのが、高確率で馬券に絡んでいる「前走勝ち、もしくはコンマ5秒差以内の負け」というデータ。これを満たさない馬が結構多く、半分ほどふるい落とせた。続いて使えそうなデータは、連対馬19頭中16頭が該当した「前走1、2番人気」。この2つの条件を満たすのはサクセスエナジー、ミッキーワイルド、ラプタス、レッドルゼルの4頭だけとなる。

この4頭は前走で中央の重賞を走っておらず減点はなし。ということで、参考にするのは年齢。最も好走率の高かったのは4歳馬で、その世代に該当するのはラプタスとレッドルゼルの2頭。前走2着馬の方が勝率がいいのでレッドルゼルを上に取りたいが、決定的な差にはならない。

そこで脚質にスポットライトを当ててみる。ラプタスはスタートが速い典型的な逃げ馬で、対するレッドルゼルは発馬が安定せず差しに回ることが多い。過去10年の阪神ダート1400mの重賞戦で、どの脚質が有利か調べてみたのだが、これがまあ、該当したのは中京の代わりに行われた2010年のプロキオンSだけだった。

この時は逃げ馬が勝って、2番手の馬が2着という、行った、行ったの決着となったが、さすがにその1戦だけでは参考にならない。さらにさかのぼって阪神競馬場が改修されて以降の記録を調べてみたが、これまたサンプルは少ないながら前有利の結果が出た。

というわけで、前有利の条件とみて◎ラプタス、〇レッドルゼルの順とした。そこにミッキーワイルドとサクセスエナジー、ヤマニンアンプリメを加えた5頭が結論、といいたいところだが、気になる馬が1頭いる。それは59キロの斤量がひときわ目につくサンライズノヴァ。調べてみると2015年にベストウォーリアが59キロを背負って勝っていた。しかも、サンライズノヴァと同じくかしわ記念からの出走だ。かしわ記念組は前述の通り好相性ということで、これを最後に付け加えておきたい。

◎ラプタス
〇レッドルゼル
▲ミッキーワイルド
△サクセスエナジー
×サンライズノヴァ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。文頭に出てきたプラネタリウム。設備の良しあしやイスの座り心地はもちろん大事ですが、個人的に最も重要だと思うのは研究員の話術。これが上手だと、一気にその世界へ引き込まれていきます。イベントなど人前で話す機会がある者にとって、色んな面で勉強になります。