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「1番人気の連対率76.9%」「古馬GⅠは5枠より外が8勝」 上半期のGⅠをデータで振り返る!

2020年GⅠ上半期データⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

休み明けの好走が目に見えて増加

道悪の宝塚記念をクロノジェネシスが圧勝し、2020年の上半期GⅠは幕を閉じた。

新型コロナウイルスの流行の煽りを受け高松宮記念以後全てのGⅠが無観客で行われたものの、3歳クラシックを席巻したコントレイル・デアリングタクトの走りに加え、古馬勢も負けじと熱いレースを展開。画面越しに応援する競馬ファンを盛り上げた。

今週のコラムではJRA・GⅠ13レース、地方JpnⅠの川崎記念・かしわ記念・帝王賞を振り返る。まずはJRA・GⅠの全体成績を確認する。

2020年上半期JRA・GⅠ 主なデータⒸSPAIA



第一に挙げられるのは1番人気がほとんど期待を裏切らなかった点。連対率は76.9%を記録したが、これは1986年以降の上半期GⅠでは2番目に高い数字だった。

桜花賞のレシステンシアから安田記念のアーモンドアイにかけては実に9戦連続で連対と本命党に味方する決着が続いた印象。無観客開催において馬が本来の力を発揮できた結果だろう。13レース中11レースで3番人気以内の馬が勝利するなどアタマは堅い決着が多かった。

中9週以上のゆとりあるローテで臨んだ馬が5勝と本格的に休み明けの好走が増えてきた点も見逃せない。2001〜2010年では同ローテの馬が8勝にとどまったことを考えると隔世の感がある。3番人気以内に限ると【5-2-1-5】単勝回収率170%で馬券的にも妙味があり、今後も積極的に狙っていきたいローテーションだ。

ノーザンファーム生産馬がやや不振に終わった点にも注目。複勝率23.7%は2014年以来の低水準で、2頭の無敗2冠馬にさらわれた3歳クラシックも上半期未勝利は2013年以来7年ぶりだった。秋GⅠでの巻き返しを期待したい。

未知の領域、秋の牡牝無敗三冠へ

次に3歳限定GⅠ5レースを振り返る。

牡馬クラシックはコントレイルが圧巻の走りを披露。2歳時の東スポ杯2歳S・ホープフルSを楽勝して3歳クラシック最有力候補として臨んだ今年、世代の大将格として堂々たる結果を残した。

同馬はダービーの勝利でディープ産駒の牡馬としてはフィエールマンと並ぶ最多タイ記録となるGⅠ3勝を記録。秋は神戸新聞杯→菊花賞→ジャパンカップのローテーションが予定されており、「飛行機雲」の馬名そのままにさらなる飛躍が期待される。コントレイルの後塵を2度拝した朝日杯馬サリオスも他馬には一度も先着を許さず、ライバルの名に恥じぬ走りで株を上げた。

牝馬クラシックは日高の星デアリングタクトが輝いた。エルフィンSで見せた衝撃のキレはタフ馬場の桜花賞でも削がれることなく、2歳女王レシステンシア以下17頭を撫で切り。オークスは道中ロスが大きく決して楽な展開ではない中、同レース史上最速の上がり3F33.1秒の豪脚で2冠の栄光を手にした。秋華賞でアーモンドアイ以来2年ぶり6頭目の三冠に向けて視界が開ける見事な勝利だった。

その他桜花賞3着のスマイルカナ、オークス2着ウインマリリン、3着ウインマイティーと岡田繁幸・岡田牧雄氏関係馬が大活躍した世代だった。

NHKマイルCはラウダシオンが優勝し、前走ファルコンS組として初勝利を飾った。2着レシステンシアは極悪馬場の桜花賞から中3週と3歳牝馬には厳しいローテで臨んだが、果敢に逃げを打って連対を死守。胸を張れる結果だろう。ギルデットミラーが3着に食い込み、3年連続でアーリントンS敗戦組が馬券になった。

今年は史上初めて無敗の2冠馬が牡牝ともに誕生する歴史的な年となったが、初年度産駒が3歳GⅠを早くも3勝した(エピファネイア2勝、リアルインパクト1勝)のも特筆に値する。これは2018年に続く快挙で(ロードカナロア2勝・オルフェーヴル1勝)、長くディープ・キンカメが牽引してきた種牡馬界へ新風を吹かせる明るいニュースだった。

「牝馬黄金時代」の到来

最後に古馬混合GⅠを概観する。

2020年上半期JRA・古馬混合GⅠ 主なデータⒸSPAIA



何といっても牝馬の活躍が目立った春だった。フィエールマンが勝った天皇賞・春以外、出走があった古馬牡牝混合GⅠを全勝し、うち宝塚記念を除く3レースでは連対圏も独占した。1986年〜2019年の上半期古馬牡牝混合GⅠでは各年1勝が最高だったことを考えれば極めて異質な結果といえる。牝馬ベタ買いで単勝回収率328%とあらば、下半期も牝馬中心に馬券を組み立てるのが得策だろう。

荒れた馬場での施行が多かったこともあり、5枠より外を引いた馬が全勝した珍しい年でもあった。特に8枠は安田記念以外の全レースで連対しており、該当馬は【3-4-1-11】複勝率42.1%、単複回収率200%超えだった。対照的に3枠より内の馬は【0-0-1-37】。高松宮記念のダイアトニックを除いて全頭が4着以下に敗れた。

騎手別ではルメール騎手が【3-1-0-1】とさすがの成績を残す一方で、北村友一・池添謙一騎手がそれぞれ【1-2-1-2】【1-1-1-2】と好調だった。北村友騎手はクロノジェネシスでの宝塚記念制覇に加え、天皇賞・春では11番人気スティッフェリオで道中徹底して内を突き、大本命馬フィエールマンにハナ差まで迫る大健闘。実績ある中堅として幾多の好騎乗を見せて春GⅠを盛り上げた。

池添謙一騎手は何といっても現役最強馬アーモンドアイをグランアレグリアで負かした安田記念が素晴らしかった。その他は大ベテラン横山典弘騎手が3度の3着、2度の4着と円熟味あふれる騎乗を披露した。

地方JpnⅠの先陣を切る川崎記念では断然の1番人気に支持されたチュウワウィザードが2着川崎のヒカリオーソに1.2秒差をつける圧勝。これで川崎記念は1番人気17年連続連対(!)となった。かしわ記念は少頭数ながら豪華メンバーで争われた一戦で、モズアスコット・ルヴァンスレーヴらを尻目にワイドファラオがGⅠ初制覇。2015年から続くユニコーンS勝ち馬GⅠ連続制覇記録を6年に伸ばした。

帝王賞はクリソベリルが大井の鬼オメガパフューム以下を離してGⅠ3勝目を飾り、国内では7戦7勝。再び世界での走りを見たい1頭だ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

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