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【競馬】一口馬主でも「家」が買える!?配当金数千万円も夢じゃない!!

2020 6/30 06:00高橋楓
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オルフェーヴルの分配金で「家」が買える!?

一口馬主クラブからの顕彰馬ⒸSPAIA



過去に一口馬主クラブの所属馬で顕彰馬に選定されたのはタイキシャトル、オルフェーヴル、ロードカナロア、ジェンティルドンナの4頭。JRA公式の「競馬の殿堂」内でオルフェーヴルの獲得賞金は総額15億7621万3000円と書かれている。

また、種牡馬になった際には獲得賞金を上回る評価額で取引されたというのだから、1頭で30億円以上を稼ぎ出した事になる。この金額が出資した40口で分配されるのだ。もちろん税金や進上金があるので満額もらえるわけではないのだが、条件によっては家が買えてしまう金額が分配されるのである。

一口馬主に仕組み

はじめに、「一口馬主」と馬主とついているが実際の馬主になれるわけではないので、その点だけ注意が必要だ。

では一口馬主はどの様に成り立っているか。馬主である「クラブ」が競走馬に値段をつけ40口~2000口で分割し、会員に出資を募るといった金融商品取引法に基づく商品ファンドである。

例として挙げるならば、今年の無敗の牝馬二冠を達成した「デアリングタクト」は募集時に馬主であるノルマンディーサラブレッドレーシングが1,760万という値段を馬につけ、400口に分割し、一口4.4万円で希望する会員に出資を募ったという流れである。

普通の商品ファンドと異なる事は、出資金額の他に競走馬にかかる維持費等を毎月支払う事があげられる。また、レースで走る毎に分配金がもらえるところにも違いがある。

主な一口馬主クラブの成績

2008年産~2017年産までの比較ⒸSPAIA



JRAにおいて地方交流競走も含め1勝でもできる確率はおよそ33%程度で3頭に1頭と言われている。現在3歳馬までの近10世代分のデータをとってみると、ちょうどディープインパクト産駒の登場と同じ時期に重なった。「あのディープの子供に出資できる」という出来事は、一口馬主クラブの会員増加と躍進につながったと私は考えている。

話を戻し、GⅠ馬を輩出しているクラブで勝ち上がり率が40%を超えているのは8クラブある。やはりトップはノーザンファームの期待馬を多く集める「サンデーレーシング」だった。勝ち上がり率は54.6%で49頭の重賞馬、17頭のGⅠ馬を輩出している。

続くのは冠名レッドでお馴染みの「東京ホースレーシング」が51.9%の勝ち上がり率をマークしている。そしてわずか2世代目にしてラヴズオンリーユーでオークスを制覇した「DMMドリームクラブ」が51.7%、40口クラブを除く一口馬主クラブで唯一のダービー馬レイデオロを輩出した「キャロットファーム」が50.5%と続く。

以下「社台レースホース」49.9%、「シルクレーシング」48.4%、「GⅠレーシング」44.4%、「ロードホースクラブ」44.0%となっている。やはり一口馬主にて勝ちを経験できる事は、初めての人にとって何よりの忘れられない経験になる。私も初めての優勝馬、口取りの写真は今でも部屋に飾ってあり良い思い出だ。そして人それぞれ、重賞やGⅠといった次の夢へとつながっていくのである。

今年GⅠで馬券に絡む馬の60.9%は一口馬主クラブ所属馬

2020年高松宮記念~日本ダービーまでのクラブ馬成績ⒸSPAIA



先ほどは勝ち上がりについて触れたが、次はGⅠでの数字について触れたい。今年のGⅠレースにおける一口馬主クラブの躍進は凄まじい。高松宮記念から宝塚記念までの間に行われたGⅠは12レース。うち一口馬主クラブの所属馬がフェブラリーSを除き11レースで馬券に絡んでいる。

馬券に絡んだ馬の割合は36頭中21頭。その中でもNHKマイルC、オークス、安田記念は3着内独占。大阪杯、桜花賞、天皇賞(春)はワンツーフィニッシュである。競馬新聞において前走着順や持ちタイム、コース成績などの他に「馬主」まで注目しなければいけない時代になっているのではないだろうか。

一口馬主クラブは、オルフェーヴルの様な馬に出会えれば家まで買えてしまうような40口クラブから、2000口に分割され数千円で参加できるクラブまで、現在20クラブ以上が存在している。自身にあったクラブを見つけられれば、馬券以外の思わぬ競馬の楽しみ方を見つけられるかもしれない。

《ライタープロフィール》
高橋楓。秋田県出身。
競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』にてライターデビュー。「一口馬主」「POG」のコーナーを中心に執筆している