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トップは6億3000万円 セレクトセール落札額ベスト5

2020 6/17 06:00門田光生
セレクトセール落札額TOP5インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

セレクトセール落札額TOP5インフォグラフィックⒸSPAIA

1歳セールから高額馬が登場

コロナ禍により経済が冷え込む中で行われた2020年度セレクトセール。価格や売却率も気になるが、今年はディープインパクト産駒が上場される最後の年。例年だと話題になるような高額落札は当歳セールに出てくるのだが、今年は落札額上位の2頭とも1歳馬セールから出現。父はもちろんディープインパクト。その1歳セールは落札額上位10頭中8頭がディープインパクト産駒という結果になった。

ディープインパクト産駒がいない当歳セールは上位3頭がハーツクライ産駒。ロードカナロア産駒は今年の3歳馬が思ったほどの成績を残せなかったせいなのか、意外に伸び悩んだ。そのほか、ベスト10にはキタサンブラック、エピファネイア、ドゥラメンテと、1歳馬セールに比べて多彩な顔触れ。父の名前だけでなく、母系や馬体など、より総合的に判断されるようになった印象だ。

そのセレクトセールは1998年に記念すべき第1回が行われて以来、数多くの活躍馬をターフに送り出しているが、果たして高額馬=活躍馬という図式は成立しているのかどうか。2020年度セレクトセールの結果も含めて、落札額歴代ベスト5を調べてみた(価格は税込み)。

5位 タイタンクイーンの2019

4位は2019年セレクトセール当歳において、5億760万円で落札されたタイタンクイーンの2019(牡馬)。父はディープインパクト、母は日米で3頭の重賞勝ち馬を出しているタイタンクイーン。この馬はまだデビューしていないので、どういったタイプになるか予想してみる。

アメリカで走った重賞馬の姉2頭はともにダートが主戦場。ただ、日本で走った兄ストロングタイタンは父がダート中距離で活躍したRegal Ransomで、母系を含めてダート色がかなり強い配合ながら、ダートは一度だけ走って着外。逆に芝では鳴尾記念勝ちをはじめ適性を見せている。

タイタンクイーンの2019は父が芝向きのディープインパクトに変わるので、この馬も芝が活躍の場という見方が妥当だろう。ディープの配合相手に米血を固めるパターンは、欧州型や欧米混合型に比べて実績がひと息だったが、今年は米血で固めた母系との配合でコントレイルという大物が登場。

そのコントレイルの母はMr.Prospector系×Intent系で、タイタンクイーンは逆のIntent系×Mr.Prospector系。3代母がNorthern Dancer系というのも共通しており、その意味でも大物に育つ可能性は十分にある。

4位 ザサンデーフサイチ

3位は2004年セレクトセール当歳において、5億1450円で落札されたザサンデーフサイチ。母は1997年の年度代表馬エアグルーヴで、2003年に初年度産駒のアドマイヤグルーヴがエリザベス女王を制覇。繁殖牝馬としての可能性も証明したこともあって、価格がどんどん上がっていったのだろう。

父は菊花賞を4角12番手から差し切ったダンスインザダーク。このセリが行われていた時点で産駒のザッツザプレンティが菊花賞を、ツルマルボーイが安田記念を勝ち、種牡馬としても大きな可能性を秘めていることを証明。この年の当歳セールでは、落札額の3位、4位もダンスインザダーク産駒。当時のこの馬にかかる期待の高さがうかがわれる。

ザサンデーフサイチは現役時代が41戦3勝。期待ほどの成績を上げられなかったが、血統のよさを買われて繁殖入り。種付け頭数は少ないながらも、JRAや地方競馬で複数の勝ち馬を送り出している。

3位 シーヴの2019

3位は2020年セレクトセール1歳において、5億6100万円で落札されたシーヴの2019(牡馬)。父はディープインパクト、母シーヴは不出走ながら、産駒にケンタッキーオークスを制したCathryn Sophiaがいる。これも5位のタイタンクイーンの2019と同様にデビューしていないので、血統から将来を占ってみる。

母シーヴはMineshaft×Unbridled×Shelter Halfの配合だから、典型的な中距離タイプかつ生粋のアメリカン。このあたりは上記のタイタンクイーンと似たパターンである。

ディープインパクト×A.P.Indy系という組み合わせはアルアイン(皐月賞、大阪杯)、グランアレグリア(桜花賞、安田記念)が思い浮かぶ。その2頭と比べて米国色がより強いが、産駒の大半が芝向きに出るディープインパクト産駒だけに、母系が米血で固められているからといってダート向きに出るとは考えづらい。

ちなみにシーヴも、タイタンクイーンやコントレイルの母と同じくMr.Prospector系、Intent系の血を持っている。落札額がそのまま能力に反映するという単純なものではないが、もしかしたら再来年のクラシックで5億円馬同士の頂上決戦、なんてことになってるかも。

2位 アドマイヤビルゴ

2位は2017年セレクトセール当歳において、6億2640万円で落札されたアドマイヤビルゴ。次に出てくる1位ディナシーにほんの少し及ばない金額だった。

アドマイヤビルゴは父がディープインパクト、母はフランス1000ギニーなどを勝ったイルーシヴウェーヴ。ディープインパクト×海外のGI勝ち馬という、ある意味鉄板配合だ。1つ上のサトノソロモンも同セールで3億を超える値段で落札されている。

馬体や雰囲気はもちろんだが、海外の産駒を含めてまだこれといった活躍馬が出ていなかっただけに、パターン的にそろそろ大物が出る頃、という思惑もあったのかもしれない。

デビューから連勝を飾った時は「クラシック級か!」の声も聞こえてきたが、ダービー出走をかけた京都新聞杯は残念ながら4着。これも上記のダブルアンコールと同じくまだキャリアが浅い馬なので、今後の活躍に期待したいところだ。

1位 ディナシー

1位は2006年セレクトセール当歳において、6億3000万円という価格で落札されたディナシー(牝馬)。2006年といえばディープインパクトがクラシック三冠を達成した翌年。そのディープインパクトは2002年のセレクトセール当歳で取引された馬(7350万円)。セールから三冠馬が出たことで、一段と活気づいていたと推測される。

ディナシーは父が日本ダービー馬キングカメハメハで、母は2001年ドバイワールドカップ2着のトゥザヴィクトリーという超良血。まあ、これだけの高額で取引されているので超良血なのは当たり前なのだが……。ちなみに、同年の当歳牡馬の落札額1位は3億1500万円。ディナシーはその倍の値段で落札されたことになる。

ディナシーは残念ながらデビュー前にアクシデントがあって未出走のまま繁殖入り。キングカメハメハ×トゥザヴィクトリーの配合からはトゥザグローリー(全8勝、重賞5勝)、トゥザレジェンド(全5勝)、トゥザワールド(全4勝、GI2着3回)、トーセンビクトリー(全6勝、中山牝馬S)、トゥザクラウン(5勝、現役)と、デビューした馬はもれなく活躍。ディナシーも無事だったなら、と悔やまれる。

さすがに落札金額分をレースだけで稼ぐのは簡単ではないという結果になったが、サラブレッドは現役時代の成績だけが全てではない。これだけの血統なのだから、繁殖入りして一大勢力を築く可能性がなきにしもあらず。現役を引退した後、どのように血脈を広げていくのかを見守るのもまた、競馬の楽しみの一つだ。

門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。 2020年の当歳市場はハーツクライ産駒が高値で取引されました。現役時代はディープインパクトの連勝を止めた馬で、ともすれば「悪役」のイメージがついてもおかしくないところ。しかし、現役時代にしろ引退後にしろ、この馬にはディープインパクト以上に熱狂的なファンが多くいますね。かくいう筆者もその一人であります。

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