「春秋マイルG1制覇の絶対王者と逆転候補」
G1馬10頭が揃った2020年安田記念。短距離路線から中距離路線まで、さらには海外遠征組とローテーションは多岐にわたり、横の比較が非常に難しい一戦だ。とはいえ、それぞれのレースを振り返ることで各馬の特徴や底力が見えてくる。今回はその中でも重要度の高い3レースを振り返る。
※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。
【マイルCS(2019年)】
馬場の水分量が多く、時計は少々掛かり気味。3~4角はコースレイアウト由来の内前有利の傾向がみられた。ただ、直線は内目の傷みが激しく、好走馬の多くは中~外目に進路を取っている。ペースは35.3-34.2の後傾1.1秒。
過去10年では最も後傾度の高いスローペースで、さらに本格的なスパートの開始は直線に向いてから。この展開では外差しは決まらず、ベストは先行、次点に内差だろう。
勝ち馬インディチャンプは内目の3列目を追走し、直線に向いてからはダノンプレミアムに併せに行く形。乗り替わりの池添騎手だったが、同じく超ピッチ走法のドリームジャーニーの主戦騎手の経験も生きたか、完璧な追いだしのタイミングで一気にダノンプレミアムを抜き去った。
春の安田記念もそうだったが、直線中盤まで追いだしを我慢できる基礎スピードの高さと一瞬の瞬発力は現役屈指。今回も上がり3F勝負なら上位好走濃厚だろう。反対に4~5F勝負になるようなら脚の使いどころが難しい。昨年は上手くハマッたが、ペースに左右されやすい馬であることは覚えておきたい。
ダノンプレミアムは先行して外目に出すトラックバイアス通りの競馬。ただ、持続力型マイル~中距離馬だけに、このペースではインディチャンプに切れ負けして当然か。天皇賞(秋)で2着と好走しての中2週でもあり、ハイペースなら逆転まであり得る力関係だろう。
ペルシアンナイトはマイルCSで3年連続好走。前有利の展開のなか馬群を突いてよく追い込んだ。柔らかいフットワークで3角の下り坂から加速していく競馬がピッタリだ。ただ、スプリント路線とは異なり、マイル路線は春秋G1がリンクしない傾向に。本馬自身、安田記念では6、10着だけに…。
ダノンキングリーは1枠1番からロスなく立ち回ったが、直線は荒れた最内に進路を取らざるを得ず、伸びを欠く結果に。上位馬との勝負付けが済んだと判断するのは早計だ。