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【鳴尾記念】大穴狙いは禁物?的中へのポイントは4歳馬の取捨 当日まで覚えておきたいデータ

2020 5/31 18:00勝木淳
2020年鳴尾記念データインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

イメージとは異なる上位人気堅実という傾向

古中距離路線は、春先の大阪杯から宝塚記念まで出走できるレースが少ない。長距離の天皇賞(春)を除けば新潟大賞典と鳴尾記念、エプソムCの3レースのみ。

条件はローカルのハンデ戦と賞金別定戦であり、タイトルホルダーは出走しにくい状況。ローテーションの谷間のようなメンバー構成は、しばしば波乱を予感させるが荒れない(泣)。

人気順別成績(過去8年)ⒸSPAIA

データは3回阪神に移った過去8年間のものだが、1番人気【2-3-0-3】勝率25.0%、複勝率62.5%、馬券から外すのは禁物だろう。2番人気【2-1-1-4】3番人気【2-0-1-5】と、上位人気が手堅く走る傾向にある。7番人気以下の勝利はなし。ふた桁人気で複勝圏内に突入したのは2頭のみ、穴党にはいささか厳しいデータが並ぶ。

3回阪神といえば、クラス再編成最初の週にあたる。3歳馬が古馬に編入、力関係などがカギを握る。しかし、鳴尾記念は3歳馬の出走はない。当然ながら、古馬と一緒に芝2000m重賞に出走できるような賞金水準の3歳馬はダービーに行く。ダービー出走が叶わない賞金が足りない3歳馬は、フルゲート割れが多い鳴尾記念に出走できそうだが、この8年で挑戦はゼロである。

年齢別成績(過去8年)ⒸSPAIA

主力は5歳【4-2-1-9】勝率25.0%、複勝率43.8%だが、4歳馬【2-2-4-5】は注意したい。ご存じの通り、昨年から4歳降級制度が廃止された。クラス再編成のもうひとつの目玉である4歳降級制度の廃止は、鳴尾記念にも影響を与えるだろう。

以前であれば、6月1週目で4歳オープン馬はほとんどが降級する。必然的に鳴尾記念出走馬も多くなかったが、降級制度が廃止された昨年はすべての4歳オープン馬が留まったこともあり、4歳馬は4頭出走、3、2、4、1人気で8、4、3、1着だった。18年以前も4歳馬は【1-2-3-3】と好走例が多かったが、今後はより4歳馬の取捨が鳴尾記念的中の近道になるかもしれない。

格上のレースを経由した馬

つぎに前走クラス別成績をみる。

前走クラス別成績(過去8年)ⒸSPAIA

上位人気馬が強い重賞らしく前走格上のレースを経由した、いわゆる強そうな馬が結果を出す傾向で、GⅠ出走馬【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%、まずはGⅠ出走馬に着目したい。

GⅡ組【3-1-2-15】勝率14.3%、複勝率28.6%が次位なので、格上のレースから順に人気に照らしながら素直に評価した方がよさそうだ。

4歳馬の前走クラス別成績(過去8年)ⒸSPAIA

4歳馬に限定して前走クラス別成績をみると、4歳馬はGⅡ【1-1-0-3】、GⅢ【1-1-2-1】とGⅠ挑戦への足固め的に重賞を転戦しているようなタイプが強い。鳴尾記念好走からGⅠを展望するような馬を狙いたいところだ。

前走着順成績(過去8年)ⒸSPAIA

あくまで上位人気が強いという視点でみると、6~9着【4-0-3-15】は意外な印象がある。単勝回収値98、複勝回収値166で上位人気に対抗しうる組はこのあたりが多く出ている。

前走6~9着で好走した馬は都大路S【1-0-1-3】、福島民報杯【1-0-0-0】、天皇賞(春)【1-0-0-0】、京王杯SC【1-0-0-0】とオープン特別からGⅡ、GⅠまで幅広く出ている。3、6、10、2、13、3、4人気で3、1、3、1、3、1、1着、ふた桁人気馬の3着が2回あり、穴を探すのであれば前走6~9着馬に注目だろう。

前走着順別成績を4歳馬に限定すると、

4歳馬の前走着順成績(過去8年)ⒸSPAIA

6着以下からの巻き返しも少なからず見られるが、4歳馬は前走1着【1-1-1-0】に注目すべきではないか。若い4歳馬は前走勝った勢いそのままに重賞好走というパターンが有効だろう。

該当するのは12年1人気2着ショウナンマイティ(前走GⅡ産経大阪杯)、18年2人気3着トリコロールブルー(オープン大阪城S)、19年1人気1着メールドグラース(GⅢ新潟大賞典)、昇級戦ではなくオープン以上を勝ってきた4歳馬は信頼できそうだ。

ちなみに、6着以下から巻き返した4歳馬は12年5人気3着トーセンラー(GⅢ新潟大賞典11着)、13年6人気1着トウケイヘイロー(GⅡ京王杯SC8着)、15年4人気3着アズマシャトル(GⅢ新潟大賞典11着)、19年4人気3着ステイフーリッシュ(GⅠ大阪杯13着)。

新潟大賞典大敗にもかかわらず、4、5番人気と鳴尾記念でもそこそこ上位人気に押されるような、一見すると過剰人気と見捨てたくなるほどの戦歴を持つ馬でもしっかりケアしておきたい。鳴尾記念とはやはり、上位人気が強いレースである。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。 YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年鳴尾記念データインフォグラフィックⒸSPAIA