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【オークス】今年は日高地方の馬が勝つ番!?データ的にぴったり当てはまった本命馬は?

2020 5/21 06:00門田光生
2020年オークス、前走3着以内と4着以下の馬の成績インフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

桜花賞の成績が直結

2020年5月24日(日)に東京競馬場で行われる第81回優駿牝馬(オークス)。桜花賞から一気に800メートルも距離が延びることもあり、ある程度のスタミナが必要となるのは間違いない。 とはいえ、ここ10年中9年で桜花賞上位馬がオークスでも馬券に絡んでいる。マイルGIの厳しい流れに耐えられた馬なら、ペースが落ち着きやすいオークスも乗り越えられる、ということだろう。

オークス出走馬の前走ⒸSPAIA



今回も過去10年のデータを参考にして検証していく。なお、2010年に1着同着があり1着馬が合計11頭、2着馬は合計9頭となっている。注目はやはりデアリングタクトが二冠なるか、だろう。

冒頭に書いたように、王道路線は桜花賞組。【7-4-5-63】と連対馬の半分以上を占めている。続いては残念桜花賞の別名が付いている忘れな草賞組。【3-0-0-7】で、勝率3割というのはかなりのハイアベレージだ。

トライアルのフローラS組は【1-4-4-37】だが、勝ち馬は2010年のサンテミリオン(1着同着)以来出ていない。なお、フラワーCや1勝クラスから挑んだ馬は勝ち馬はおろか、馬券にすら絡んでいない。

オークスで上位に来た桜花賞組ⒸSPAIA
忘れな草賞組の前走騎手ⒸSPAIA



ここで、もう少し桜花賞組を掘り下げてみる。オークスで1着となった7頭の、桜花賞での着順は<①①⑩③②③①>、2着の4頭は<②①⑨③>、3着の5頭は<②②⑫②③>着となる。ほとんどが桜花賞3着以内の馬で、例外は各着順に1頭だけ。

今年は桜花賞2着のレシステンシアが出走しないので、1着のデアリングタクト、3着のスマイルカナはよりチャンスが広がったといえる。

次は忘れな草賞を見ていく。オークスと忘れな草賞が好相性ということは有名なので、鞍上も騎乗馬選択の際にそこは考慮するはずだ。そこで、忘れな草賞からオークスへ出走した10頭の乗り替わりを調べてみた。

結果は、継続騎乗が5頭で5戦3勝、乗り替わった時は5戦0勝となった。オークスでも勝負になると踏んだ馬は鞍上が手放さなかったということだろう。今年は忘れな草賞勝ちのウインマイティーがM.デムーロ騎手から乗り替わり。データ上は「来ない方」の忘れな草賞組となってしまった。

ちなみに、オークスに出走した10頭全てが忘れな草賞勝ち。忘れな草賞3着から抽選をくぐり抜けた、リリーピュアハートは初めてのケースとなる。同馬は福永騎手が継続騎乗。今年の忘れな草賞組ではこの馬に注目したい。

前走人気馬、好走馬が活躍

オークス出走馬の騎手ⒸSPAIA



乗り替わりに関してだが、忘れな草賞だけでなく、全体で見ても継続騎乗となる馬の方が好成績であることも分かった。

継続騎乗<10-7-9-87>に対して、乗り替わりは<1-2-1-61>。ほとんどの出走馬が未知の距離を走る。騎乗馬の特徴を知っているのは強みになるということだろう。

オークス出走馬の前走着順ⒸSPAIA



優先出走権持ちの馬が出走する分、前走着順がいい馬が多く出走することになる。とはいえ、前走3着以内の馬は【10-8-7-74】と結果もきっちり残している。逆に着外からの巻き返しは【1-1-3-74】と厳しいデータとなっている。

オークス出走馬の前走人気ⒸSPAIA



また、前走人気に関しても、着順と同様の傾向が出ている。前走で2番人気以内に支持された馬【9-4-6-36】に対して、5番人気以下だった馬は【1-1-2-79】。

前走で人気がなかった馬はもちろん、人気薄で好走した馬が続けて好走する確率もあまり高くないようだ。

二冠達成が濃厚

検証の材料が出揃ったところで、デアリングタクトの二冠達成の可能性について考えてみる。ここ10年で二冠を達成したのはアパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイの3頭。馬名を見て分かるように、3頭全てが秋華賞も勝って三冠馬となっている。2011年の桜花賞馬ハープスターは2着。残る6頭のうち、4頭が着外で、2頭が出走せず。つまり、二冠達成の確率は8分の3、連対確率は5割。悪くない数字である。

ところで、デアリングタクトは日高地方の生産馬である。今年のヴィクトリアマイルで社台系の生産馬が14頭出走(1頭は取り消し)していたように、とにかく牝馬は社台系が強いイメージ。

そこで、非社台系の生産馬が桜花賞を勝ったのは珍しいことなのかどうかを調べてみると、2010~2019年の10年間で3頭、近20年に広げると8頭いた。オークスも20年間で同じく8頭、日高地方の生産馬が勝っている。このうち桜花賞、オークスともに日高地方生産馬が勝った年が6回もあった。

逆に社台系の生産馬が桜花賞、オークスを同一年に勝ったのは10回。ちょっと強引だが、社台牝馬の当たり年か、それとも日高地方の当たり年かの差と考えられないか。

そこから推測すると、今年のオークスは日高地方生産の馬が勝つ確率が高い。これまたデアリングタクトにとっては追い風である。前走着順、前走人気のデータもクリアしており、二冠達成の可能性は十分あるとみた。

あとは全て減点のある馬になるが、なるべく少なくて強調材料がありそうな馬をピックアップ。まずはデゼル。オークスはキャリア2戦の馬が勝ったことはない点でマイナスだが、それ以外は問題なし。成績がひと息のスイートピーS組とはいえ、昨年カレンブーケドールがここから久しぶりに連対。

昨年は「リステッド元年」でスイートピーSがそれに格付けされた。今年も結果を残すようなら、スイートピーSが新たなキーレースとなる可能性だってないとは言い切れない。先取りして対抗評価。

続いてスマイルカナ。前走人気で減点対象となるが、好走率の高い桜花賞上位組というのは大きな加点材料。あとは桜花賞の大敗以外は減点がないリアアメリア。

そして忘れな草賞組+継続騎乗で、抽選をくぐり抜けた幸運の持ち主リリーピュアハートを。
ミヤマザクラは桜花賞の時に「桜花賞では分の悪い遅生まれ(5月)なので、狙いはオークスか秋華賞」と書いたのだが、ここ10年を調べたら5月生まれはオークスでも連対していなかった。秋華賞では5月生まれでも連対馬がいるようなので、そこまで待とう。

◎デアリングタクト
〇デゼル
▲スマイルカナ
△リアアメリア
×リリーピュアハート

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。ヴィクトリアマイルのアーモンドアイはびっくりするぐらい強かったですね。直線で追い出しを我慢している馬を馬なりのまま交わすシーンは調教でよく見かけますが、まさかGIで見られるとは思いもしませんでした。