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【福島牝馬S】とにかく中山牝馬S組! カギは年齢と当日の人気順にあり

2020 4/19 17:00勝木淳
2020年福島牝馬SインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

昨年こそスローペースだったが

春の福島開催といえば福島牝馬Sである。ヴィクトリアマイルの前哨戦のひとつだが、どちらかというと本番への出走権をかけた戦いといった様相で、例年対戦比較がつきにくいレースだ。まずは過去10年の勝ち馬成績だ(なお2011年は新潟で施行された)。

福島牝馬S過去10年勝ち馬成績ⒸSPAIA

前半1000m62秒2と遅かった昨年は全体時計も遅かったが、総じて1分46~47秒台が計時され、前半1000mが59秒を切るような活気ある流れになることが多い。

上がり最速馬が勝つケースも見られるが、全体で5位以内のそこそこの決め手さえ使えれば勝てるレースでもある。福島芝1800m戦らしい機動性が必要なレースといえよう。

偏った傾向をとらえよう

つぎに年齢別の成績を出す。

年齢別成績(過去10年)ⒸSPAIA

主力となる4歳は【1-5-3-59】と頭数がもっとも多いが、成績はやや冴えず2,3着までという評価でいいようだ。反対に5歳は【6-5-4-36】と抜けている。

春の重賞は4歳より5歳というのはよくある傾向だが、先に述べたように機動性が必要な舞台ゆえにキャリアを重ねたレース巧者の活躍が目立っている。6歳【2-0-3-16】、7歳【1-0-0-8】とベテラン牝馬も好走しており、キャリアがモノをいうレースだといっていい。

年齢に偏りがあることがわかったが、さらに偏っているのが前走クラス別成績だ。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

なんと前走GⅢ組は【10-8-4-60】で過去10年ではすべて前走GⅢ組が勝利しているのだ。頭数が多く率は高く出ていないが、10年で10勝2着8回はインパクト大で、なによりも前走GⅢ組に注目すべきである。

前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

で、GⅢレースとはどのレースかというと、中山牝馬S組だ。この組は【9-8-3-49】と圧倒的。同じ牝馬限定のGⅢ愛知杯組は【1-0-0-5】。頭数が異なるため、率ではインパクトはないが、こちらも10年で9勝2着8回、中山牝馬S組の取捨がなにより重要になる。

その取捨選択はどうするべきか。それは中山牝馬S組の福島牝馬Sでの人気にヒントがある。

前走中山牝馬S組の福島牝馬Sでの人気別成績(過去10年)ⒸSPAIA

勝ち馬は9番人気以内から出ているので、中山牝馬S組は視野を広く検討したいところだが、1番人気【2-2-1-3】、3番人気【2-1-1-3】、4番人気【1-3-0-3】、5番人気【2-1-0-4】と成績がよく、中山牝馬S組は当日上位人気になる馬にまずは着目すべきだろう。

今年の中山牝馬S

ここまでくれば、もはや中山牝馬Sの分析すらきっちりしておけばいい。

《関連データ》【中山牝馬S】まさかの雪中競馬!2番人気コントラチェックの敗因は?

吹雪の中のレースは1000m通過60秒8、不良馬場だったことを考えると厳しいレース。すべての馬に厳しかったレースは軽量の伏兵リュヌルージュが粘るところを外からフェアリーポルカが差し切った。

このフェアリーポルカは福島牝馬Sの想定に名前がある。インパクトが大きな中山牝馬Sだけに勝ち馬は自然と上位人気に押されるだろう。データからは嫌うどころか買いである。

その2着リュヌルージュも予定しており、こちらは5歳で年齢別のデータにも符号する。将来性を買われそうな当時3着エスポワールも出走すれば、上位人気になろう。4歳は気になるが、無下には扱えまい。ベテランのデンコウアンジュは昨年の勝ち馬であり、侮れない。

多数出走してくる中山牝馬S組は各馬のレース内容をよくよく吟味した上で適性を見極め、評価を下したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。

2020年福島牝馬Sインフォグラフィック