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賞金ランキング日本人選手上位3名それぞれの年間1位となったもの

2019 12/5 17:00akira yasu
2019年の賞金女王になった鈴木愛Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

賞金ランキング日本人選手の中の上位3名 鈴木愛、渋野日向子、河本結

11月28日から12月1日に、宮崎県の宮崎カントリークラブで今季ツアー最終戦のツアーチャンピオンシップが開催され、今シーズンから日本ツアーに参戦しているぺ・ソンウが優勝した。そして、注目された鈴木愛、申ジエ、渋野日向子による賞金女王争いは鈴木が逃げ切り2年ぶり2度目の載冠となった。

今季日本人選手の中では鈴木と渋野の活躍が際立っていたが、ツアーチャンピオンシップの最終日、ぺ・ソンウとともにその日のベストスコアを叩き出した河本結も今季輝いた選手の内の1人だ。

日本人選手の中での賞金ランキング上位3名の鈴木、渋野、河本にはそれぞれ1位になった項目がある。

平均パット数1位の鈴木

今季の鈴木は25戦して7勝、勝率28%という圧倒的な勝率を誇った。鈴木の活躍を支えているものはパットだ。パーオンしたホールの平均パット数は今季1位。2016年からの4年で3度1位になっている。ただ、フェアウェイキープ率37位でパーオン率が26位となっており、ショットに向上の余地が大きくある。史上初のツアー4連勝がかかったエリエールレディスでは、最終日優勝争いに加わっていながら、17番ホールのティショットで右の池に入れて万事休す、結果2位となった。

ショットの精度を向上させることができると、来季も高水準を維持することが予想されるパットがより威力を発揮する。日本ツアーで他を寄せ付けない絶対女王として君臨してもおかしくない。しかし、今季怪我によって1か月休養したことを考えると、体のケアを最優先に来季に備えてもらいたい。

平均バーディー数1位の渋野

渋野は全英女子オープン優勝時のウィニングパットにも表れているように、強気のパットが持ち味の1つだ。昨季の鈴木愛に次ぐ史上2人目の4.0以上となった平均バーディー数と、バーディーかそれより良いスコアを獲得する率を表すパーブレーク率が1位となった

一方で3パット率は25位。8月のNEC軽井沢72では最終日18番ホール、5メートルほどのところから1パットで優勝、2パットでプレーオフ、という状況で3パットした。

3パット率を下げたいところだが、そこを気にして持ち味の強気が影をひそめバーディー数が減っては元も子もない。ファーストパットの強弱のフィーリングは保ちながら、セカンドパットで残る距離の精度を上げたいところだ。

イーグル数1位の河本

来季、2020年1月に開幕する米ツアーに挑戦する河本も、渋野同様攻めのゴルフを展開している。バーディー数、平均バーディー数ともに5位。イーグル数は10個を奪い1位となった。ただパーセーブ率が24位と良くない。5月の中京テレビ・ブリヂストンレディスでは17番ホールのグリーン周りからのアプローチを寄せきれずにボギーとしたことが響き優勝を逃した。リカバリー率56位というところと合わせて気になるところだが、過酷な米ツアーでも果敢にピンを攻める姿勢を崩すことなくプレーして欲しい。

来季、韓国勢に立ち向かい、ミレニアム世代の勢いに立ちはだかる

今季、鈴木、渋野、河本それぞれ輝いた。ただ、来季は気持ちをあらたにして戦いに挑まなければいけない。

来季も日本ツアーを主戦場にする鈴木や渋野にとっては、引き続き韓国勢が強敵となる。今季史上初の平均ストローク60台で1位となった申ジエや、今季終盤に復活の兆しを見せたイ・ボミ、ツアーチャンピオンシップで2勝目を挙げたぺ・ソンウらだ。アマチュアでツアー優勝した古江彩佳やツアーで実績がある安田佑香などのミレニアム世代の面々の勢いもあなどれない。

河本の敵はまずは環境か。米ツアーで活躍している畑岡奈紗もデビューイヤーは環境の違いに苦しんだようだ。その同学年の畑岡にアドバイスをもらいながら慣れない環境に打ち勝ってもらいたい。

鈴木、渋野の2人も米ツアーへの挑戦意欲がある選手だ。いつの日か、河本、鈴木、渋野が揃って米ツアーで存在感を発揮するためには、来季もそれぞれがそれぞれの舞台で、実力者や新勢力、慣れない環境に打ち勝たなければいけない。