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日本の女子高校生プロ・山口すず夏がアメリカツアーに挑戦する訳

2019 3/3 07:00SPAIA編集部
山口すず夏,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

目標は2020年東京オリンピック出場

高校生ながらプロ宣言をし、アメリカLPGAツアーに参戦中の山口すず夏をご存知だろうか。

2000年生まれの彼女は、現在高等学校3年生。2018年アメリカLPGAのQTを受け、限定的ながら出場権を獲得。プロになるまでのプロセスは、高校卒業まで待ちプロテストを受験。不合格でもその年のQTを受験し、翌シーズンからのツアー参戦を目指すというのが一般的。1年早く、それもアメリカに渡ってまでプロを目指した理由はなんだったのか。

日本LPGAは2018年2月にプロテストとQTの制度変更を発表し、これまで実施年の4月1日時点で満18歳以上だった受験資格年齢を満17歳まで下げた。これにより高校3年生でプロテスト、QTを受験、卒業と同時にツアーに参戦できるようになったのだが、この制度変更は2019年より実施されるため、2018年度(2019年3月)高校卒業予定の山口の世代には適用されなかった。よって4月の卒業を待って、1学年下の2019年度卒業世代と一緒に受験することになる。

だが、2020年東京オリンピックに出場するという大きな目標がある山口にとって、残された時間は約1年半と短い。オリンピックの選考基準は世界ランキングのみで、世界ランキングの順位を上げるには、対象ツアーの試合に出場して成績を残すしか方法がない。

日本でも、LPGAのレギュラーツアーとステップ・アップ・ツアーが対象ツアーに認められており、ここで成績を残せば順位は上がるのだが、日本の受験資格を待っていては時間が足りない。そのため、1年早く受験ができるアメリカLPGAのQTを受験して、1年早く対象ツアーの出場資格を獲得したのだ。

夢から目標に変わったオリンピックを目指して

まだ中学3年生だった2015年、「全米女子オープン」の日本地区最終予選で2位タイに入り、日本人としては歴代最年少の14歳で本戦出場権を手に入れた経験がある山口。プロ52名、アマ34名が出場して36ホールストロークプレーで争われ、1位鈴木愛、2位タイに菊地絵理香、葭葉ルミといった顔ぶれだった。さすがに本戦ではカットラインに5打届かず予選落ちを喫したが、何物にも代えがたい経験を手に入れた。この頃から、5年後の東京オリンピックは夢から目標へと変わったのかもしれない。

2019年シーズン山口のアメリカLPGAツアー初戦は、2月7日からの「ISPS HANDA ヴィックオープン」だった。初日は4アンダー10位タイから、2日目3オーバーで53位タイに後退。3日目も1オーバーとスコアを伸ばせず予選落ちかと思われたが、他の選手もスコアを落とし27位タイに浮上最終日を迎えた。最終日は好調なゴルフを展開、16番ホールまでを5バーディ1ボギーと4打伸ばしてベスト10圏内に入ったものの、17番ボギー、18番ダブルボギーと3打落とし、結局22位タイでデビュー戦を終えた。

22位タイの賞金は約11000ドル、3打落としていなければ8位タイで約24000ドル。5月に行なわれるリランキングで順位を上げて、フル出場権を獲得したい山口にとっては、痛い13000ドルだった。2戦目の「ISPSハンダ オーストラリア女子オープン」は残念ながら予選落ちを喫し、次戦は2月21日からの「ホンダLPGAタイランド」、山口すず夏の挑戦は続く。