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シメトラツアーで武者修行、TPD単年登録女子プロゴルファー森田遥

2017 10/13 10:05hiiragi
女子ゴルフ
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華麗なるアマチュア時代の実績

森田遥選手は1996年生まれ香川県出身のプロゴルファー。ゴルフとの出会いは9歳の時、父親に連れられてゴルフ練習場に行ったのがきっかけだった。その父親も母親も中国から来日した元卓球選手、アスリートのDNAを受け継いでいる。

アマチュア時代の実績は素晴らしい。

・2010年中学2年で日本女子オープンゴルフ選手権競技へ出場。
・2011年四国女子アマチュアゴルフ選手権優勝。
・2011年トップアマチュアゴルフトーナメント優勝。
・2012年全国中学校ゴルフ選手権春季大会優勝。
・2013年日本女子アマチュアゴルフ選手権競技優勝。

2013年、2014年はナショナルチームにも選出され活躍した。
2013年長野県の軽井沢72ゴルフ入山コースで行われた日・韓・台対抗戦ネイバーズトロフィーチーム選手権に柏原明日架選手・堀琴音選手・松原由美選手とともに出場、チームでは優勝個人では2位に入った。

2015年高校を卒業するが、日本女子プロゴルフ協会のプロゴルフテストは受けていない。アメリカの女子プロゴルフトーナメント下部ツアー「シメトラツアー」への出場を選択したのだ。

プロゴルフテスタは受けずに「シメトラツアー」への出場を選択

森田選手はアメリカツアーの2015年シーズンを目指して、2014年に行われたQT(クォリファイングトーナメント)を受験している。
ファイナルステージで5ラウンドを戦い、20位までに入ればレギュラーツアーの出場権が得られ、45位までに入れば条件付き出場権が与えられるのだが、4ラウンド終了時点でカットされ5ラウンド目には進めなかった。それでも「シメトラツアー」への出場権は手に入れ、参戦を決意した。

森田選手がアメリカツアーを選んだ理由の一つに、日本のプロゴルフテスト受験資格の年齢制限がある。プロテスト受験年の4月1日時点で満18歳になっていないと、7月末に行われるプロテストは受けることができない。
ほとんどの場合高校を卒業して3か月間はアマチュアのままなのだ。これに対してアメリカのQTは翌年の1月1日に18歳になっていれば受けられる。

高校卒業前の2015年1月にプロ転向を表明し、2月から始まるシメトラツアーシーズン初戦ゲートウェイ・クラッシックに出場のためアメリカに向かった。アメリカでの転戦費用の一部はクラウドファンディングで支援者を募り調達した。2015年シメトラツアーでは22試合に出場、賞金ランキングは11位だった。

TPD単年登録でシード権を獲得

シメトラツアーで賞金ランキング10位以内に入ればアメリカ女子レギュラーツアーの出場権を獲得できる。11位の森田選手の賞金獲得額は53,583ドル、10位の選手との差は僅か284ドル差だった。この僅差がアメリカツアーからの撤退を決心させたのかもしれない。2015年は日本ツアーのQTに挑戦する。

日本ツアーでは特に実績のない森田選手はファストQTからのスタートとなった。セカンド、サードと危なげなくファイナルQTまで進出、全体4位で通過してほぼ全試合の出場権を手に入れた。

2016年シーズンはTPD単年登録でトーナメントに臨んだ。初戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントでは7位タイ、2戦目ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップでは9位タイと好調な滑り出しを見せる。シード権どころか初優勝も近いと思われた。

しかしすぐに調子を崩す。40位前後の成績が続き、予選落ちも経験する。復活の兆しが見えたのは7月に行われたニッポンハムレディスクラシックだった。最終日を首位から2打差でスタート、途中スコアを伸ばし優勝の可能性もあったが、最終ホールボギーを叩き2位タイにとどまった。それでも何かをつかんだようで、続く2試合もベスト10に入りシード権を確定させた。

日本女子オープンへの挑戦は中学2年生から

森田選手の日本女子オープンゴルフ選手権競技への初出場は2010年中学2年生の時だった。この年は日本女子アマチュアゴルフ選手権競技でベスト8まで進出、日本女子オープンへの出場権を獲得した。
2011年は日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で失格となり、日本女子オープンへは予選から勝ち進み出場した。
2012年は日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で2位に入り出場権を獲得している。 3年連続の出場となったが、いずれも予選落ちで決勝には進めなかった。

しかし2013年には活躍を見せる。この年は日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で決勝まで進出、松原由美選手を下し念願の初優勝を飾ると、勢いそのままに日本女子オープンに臨んだ。初日は1オーバー11位タイと絶好のスタートが切れた。2日目はスコアを落としたが、18位タイと踏みとどまる。3日目は雨の中スコアを崩して30位に後退した。

ローアマチュア争いは、2打差21位タイに堀琴音選手、3打差16位タイで松原由美選手が上位にいた。十分逆転が狙える位置だ。最終日は1アンダーで回り、24位まで浮上した。しかし松原由美選手はイーブンパーで回り逆転はならなかった。
アマチュア最後となった2014年は出場していない。

そして2017年念願の初優勝

初優勝を目指して臨んだ2017年シーズンは予選落ちからのスタートとなった。それでも徐々に調子を取り戻し4戦目となったアクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIでは、最終日首位と4打差を追いかけてスタート、5アンダーで回ったが1打足りずに優勝には届かなかった。

8戦目のサイバーエージェント レディスゴルフトーナメントでも優勝争いを演じる。2日目を終わって首位と2打差の5位、絶好の位置で最終日を迎えた。最終日は2アンダーで回ったが、このスコアではインパクトが足りない。首位との差は詰まらず2打差のまま4位で試合を終えた。

そして8月の北海道meijiカップを迎えた。初日は首位と1打差の4アンダーでスタートを切ると、2日目は1アンダーで回り、トータル5アンダー、首位と2打差の3位タイで最終日を迎えた。首位は韓国のカン・スーヨン選手、1打差の2位は台湾のテレサ・ルー選手、どちらも100戦練磨の強豪だ。
これまでの優勝争いと違い、冷静に戦えたという森田選手は、きわどいパットを何度か決め6バーディ1ボギーの5アンダー、トータル10アンダーまでスコアを伸ばし初優勝を決めた。
この優勝でTPD単年登録から女子プロゴルフ協会会員への道も開けた。まだ1勝。2勝目3勝目を期待したい。