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天国か地獄か、シード権奪回に燃える女子プロゴルファー香妻琴乃

2017 8/25 10:07hiiragi
女子ゴルフ 試合
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2011年プロテスト合格、QTにも成功

香妻琴乃(こうづま ことの)選手は1992年生まれ、鹿児島県出身の女子プロゴルファー。3歳からクラブを握り小学生のころからジュニア大会で活躍した。2004年には九州大会小学生の部とゴルフダイジェストジャパンジュニアカップで優勝、2008年には九州ジュニアゴルフ選手権で優勝を果たした。2009年と2010年にはJGAのナショナルチームに選抜され、日本代表として国際大会でも活躍している。

2011年にはヨネックスレディースゴルフトーナメントとリゾートトラストレディスで決勝まで進みローアマチュアを獲得すると2011年のプロテストを受験して見事合格、プロに転向した。2011年入会の83期生で同期には堀奈津佳選手や斉藤愛璃選手、青木瀬令奈選手がいる。

プロ転向の年は2試合に出場したがいずれも予選落ちを喫し、賞金獲得額は0円でクォリファイングトーナメント(QT)を受験する。結果は34位。例年だとほぼ全試合に出場可能な順位でファイナルQTを通過した。2011年プロテスト合格者は20名いたが、ほぼ全試合に出場できる40位以内で通過できたのは、香妻選手の他には豊永志帆選手、O.サタヤ選手、斉藤愛璃選手だけだった。

2012年シード権獲得ならず、QTにも失敗

プロ2年目は開幕戦ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントから出場したが、1打足りずに予選落ちを喫してしまう。この大会の優勝は同期の斉藤愛璃選手だった。続くヨコハマタイヤゴルフトーナメントPRGRレディスカップでも予選落ちに終わり、3戦目となったTポイントレディス ゴルフトーナメントで初めての決勝進出を果たした。

その後は予選落ちはあるものの予選通過試合も多くなったが、上位には食い込めない。結局2012年シーズンは30試合に出場して、予選落ちが11回、最高順位は大王製紙エリエールレディスオープンの12位タイだった。獲得賞金額は約1038万円の賞金ランキング62位で終わりシード権獲得はできなかった。

そしてQTを受験するが結果は95位。この位置では優先順位によるレギュラーツアーへの出場は望めない。優先順位下位の選手は年間8回までの主催者推薦を受けるか、ステップ・アップ・ツアーで優勝して4試合のレギュラーツアー出場権を獲得するしか方法がない。

*2017年からはステップ・アップ・ツアーも賞金ランキング制を採用、優勝者に与えられた4試合の出場権は廃止された。 そして過酷な2013年シーズンが、幕を開けた。

2014年、限られた試合数の中でつかんだシード権

2013年は10試合に出場したが7試合で予選落ちを喫し、賞金獲得額は156万8千円、賞金ランキングも112位まで沈んだ。出場した10試合のうち4試合は、ステップ・アップ・ツアーANA PRINCESS CUPの優勝で自力でつかんだ出場だったが、3試合で予選落ちとせっかくの機会をいかせなかった。

2014年シーズンの優先順位をかけて臨んだQTは61位。前年よりはいい成績だったが、優先順位による出場が厳しいことには変わりない。そんな中で迎えた2014年シーズンは数少ない出場機会をいかし大躍進を遂げる。

5月のサイバーエージェント レディスゴルフトーナメントで4位タイと自己ベストを更新すると、ホストプロを務めるサマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメントでは最終日8バーディの追い上げでプレーオフに進出した。優勝は逃がしたが香妻琴乃の名前を印象付けるに十分な活躍だった。そして日本で行われるアメリカ女子ツアー、ミズノクラシックでもプレーオフに進出、2位タイに終わる健闘を見せた。

2014年は22試合に出場、ベスト10には6回入り2回はプレーオフまで進出、予選落ちは3回と激減した。賞金獲得額は4750万円強になり、ランキングも19位まで躍進、念願のシード権を手に入れた。

腰痛に悩んだ2015年、そして2016年シード権喪失

2度のプレーオフも経験し、2015年は初優勝の期待が膨らんだ。しかし初戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントは予選落ちと出鼻をくじかれる。昨年暮れからの腰痛が治りきっていないのだ。前半戦は出場を見合わせた試合もあった。2014年3試合まで減らした予選落ちも前半戦だけで6試合もある。

2015年シーズンは腰痛との戦いになった。シード権も心配されたが、終盤戦日本女子オープンで6位タイ、スタンレーレディスゴルフトーナメントで5位タイに入る踏ん張りを見せ、賞金ランキング48位でシード権は確保した。2015年シーズンは31試合に出場、予選落ちが10回、ベスト10入りが3回で賞金獲得額は約1957万円だった。

2016年は初戦を10位タイと好調な滑り出しだったが、2戦目で予選落ちを喫すると前半15戦で11試合に予選落ちと調子が維持できない。本人のコメントでは腰痛は完治しているようだが、腰痛をかばったスイングで、スイングそのものがずれているのかもしれない。中盤には態勢を立て直したかに見えたのもつかの間、終盤の勝負所で3戦連続予選落ち、シード権を維持できなかった。
2016年は33試合に出場、18試合に予選落ちをする。獲得賞金額は約1956万円で賞金ランキングは52位だった。

2017年主催者推薦枠を利用して初優勝を目指す

2016年QTは44位での通過となった。44位は微妙な位置だ。3日間競技が多い日本の女子プロゴルフツアーでは、出場選手は108名の大会が一般的だ。
この場合、主催者推薦枠が18名で残りの90名が女子プロゴルフ協会の資格者枠になるケースが多い。シード選手が50名だから残りは40名。そこに永久シードの不動裕理選手、直近の競技の3位タイまでの選手などが入ってくると40名がさらに少なくなる。
もし、優先順位上位から全員が出場すれば44位までは回ってこない。何人か出場しない選手が出て初めて、出場枠に入れる不安定な位置なのだ。

実際、初戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントでは、不動選手の他に1年以内の優勝者の権利で畑岡奈紗選手、新人戦優勝者の高橋恵選手、前年末のステップ・アップ・ツアー優勝者で曽田千春選手、上原美希選手が出場したため、優先順位では36位までしか出場できなかった。

この大会は主催者推薦で出場できたが、6月に開催されたニチレイレディスでは、推薦選考会で勝ち残れず、試合当日出場辞退者が出れば繰り上げで出場枠が回ってくる”ウェイティング”で、最後の枠をつかんでいる。
今は何よりも優勝が欲しいと口にする香妻選手。不安定なポジションから、ツアー出場に向けての戦いは続く。