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TPD単年登録でツアーを転戦!女子プロゴルファー三ヶ島かな

2017 8/25 10:07hiiragi
女子ゴルフ 試合
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2015年高校を卒業プロテストを受験

三ヶ島かな(みかしま かな)選手は1996年生まれ、福岡県出身の女子プロゴルファーだ。クラブを握ったのは10歳のころからで、早くから全国レベルのジュニア大会で活躍、2007年には全国小学生ゴルフ大会 女子の部で24位タイ、2008年には15位タイと経験を積み、2009年には九州ジュニアゴルフ選手権女子12~14歳の部で優勝を飾っている。

高校生になると2013年、2014年と九州高等学校ゴルフ選手権春季大会で連続優勝を飾り、2014年九州ジュニアゴルフ選手権地区大会で優勝、日本ジュニアゴルフ選手権競技女子15歳~17歳の部では6位タイに入っている。2015年高校を卒業するとプロになるべく、プロテストを受験した。

日本女子プロゴルフ協会のプロテストは例年3月~4月にかけて1次テストが行われ、5月に2次テスト、7月に最終テストと続く。そして最終テストを戦った成績上位20位タイまでが合格となる。
プロテストに合格すれば、所定の手続きを行って日本女子プロゴルフ協会会員として登録、晴れて女子プロゴルファーとなれる。 日本で生まれ育って、アマチュアとして活躍した選手がプロになる一般的な方法だ。

最終日痛恨の76ストロークでプロテストに合格ならず

2015年のプロテスト1次予選は3月18日~4月3までの期間で3地区で行われた。1次試験は実績のあるアマチュアやプロテストに合格していないプロは免除される制度がある。

主なテスト免除の条件は
・LPGA ステップ・アップ・ツアー優勝者
・2016 年度最終プロテスト出場者
・2017 年度 TPD 単年登録者
の他に過去3年間の
・日本女子オープンのローアマチュア
・日本女子アマチュア選手権の優勝者
・日本女子学生選手権の優勝者
など、厳しいものばかりだ。

どれにも該当しない三ヶ島選手は1次予選から出場、1次予選3位タイ、2次予選1位タイと勝ち上がり、7月28日から行われた最終プロテストに駒(こま)を進めた。

最終プロテストは4日間72ホールで行われる。初日-3で6位タイ、2日目+1で回り10位タイ、3日目も+1で回り18位タイとぎりぎりで最終日を迎える。しかし最終日はまさかの+4のラウンドで29位タイに沈み、合格ラインには2打足りずに不合格となった。

プロテストに合格しなければプロとしてツアーに出場できないかと言えばそうではない。プロテストとは関係なく、来季の優先出場権をかけたクォリファイングトーナメント(QT)が別に設けられている。

クォリファイングトーナメント(QT)で手に入れた2016年出場権

QTは例年8月のファーストQTで始まり、セカンドQT、サードQTと続き12月のファイナルQTまでの長丁場で争われる。ここで上位に入らないと、来季の出場試合が限られてくるので、シード権を持たないプロゴルファーにとっては死活問題だ。プロテストに合格していればファーストQTは免除されたが、三ヶ島選手はファーストQTからの受験となった。

QTではステージごとに実力者が参加する。セカンドQTではプロテスト合格者が新たに加わり、サードQTでは2015年のステップ・アップ・ツアー優勝者や2015年度「樋口久子 Pontaレディス」終了時点のLPGA賞金ランキング上位70位迄の選手が加わった。

ファイナルQTになると、
・2015年度LPGAシード選手で2016年度のシード権を獲得できなかった選手や2015年度シード権を取れなかった上位5名の選手。
・2015年度LPGAツアー優勝者で2016年度のシード権を獲得できなかった選手。
などが参加する。

そんな中、三ヶ島選手はファイナルQTを5位で通過、2016年シーズンのほとんどの試合への出場権を手に入れた。

2016年TPD単年登録者としてツアーに参戦するもシード獲得ならず

2016年はTPD単年登録者としてシーズンに臨んだ。TPD単年登録はプロテストに合格しなかった選手や海外選手などの非会員選手に与えられるツアー参戦資格で、サードQTまで進めば1年間だけ登録できる制度だ。この制度を利用してシーズン初戦ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントから最終戦大王製紙エリエールレディスオープンまでの34試合に出場した。

キャディは父親の三ヶ島直氏である。三ヶ島選手にゴルフを勧めたのも父親だ。コースに出れば味方はキャディしかいない。長年コーチでもあった父親がキャディをしてくれれば心強いであろう。親娘2人3脚でのツアー1年目が始まった。

序盤は予選落ちも多く成績を残せなかったが、中盤は安定したゴルフで賞金を積み上げた。しかし、勝負どころのシーズン終盤、10月に行われたスタンレーレディスゴルフトーナメント、富士通レディースの2試合に連続して予選落ち、賞金ランキング55位から逆転を狙った最終戦の大王製紙エリエールレディスオープンでも予選落ちを喫し、シード権獲得はならなかった。

2016年成績は34試合中11試合で予選落ち。最高成績は7月に行われたサマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント8位タイで、賞金ランキングは55位だった。ただ個々のスタッツ(成績)ではパーオン率35位、バーディ数36位、イーグル数28位と可能性を感じさせる数字が並んだ。

手に入れたシード権

2016年QTはシード権を取れなかった賞金ランキング上位5名の資格でサードQTは免除され、ファイナルQTからの受験となった。初日から上位につけ、安定した戦いぶりだったが、3日目を終わって首位と7打差の9位タイから最終日は-7と爆発、逆転で1位通過を果たした。

2017年シーズンもTPD単年登録者としてツアーに参戦している。しかし序盤は惨憺たる結果だった。開幕戦から予選落ちが続き5月の中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンまでの12試合で予選落ちが9試合もあった。何とかスランプから抜け出して6月のニチレイレディスでは9位タイと結果を残す。そしてアース・モンダミンカップが始まった。

初日は-2で24位でスタートを切ると、2日目は-7と爆発、首位と2打差の4位タイまで順位を上げる。3日目も-5とスコアを伸ばしトータル-14として首位と1打差の単独2位で最終日を迎えた。首位は鈴木愛選手。2年先輩ながらメジャーで2勝を挙げているパッティングの名手だ。最終日は1打差のまま迎えた18番ホールで、三ヶ島選手に並ばれたが、きっちり入れ返して優勝を決めた。三ヶ島選手は優勝こそ逃がしたが、2位賞金1584万円を獲得、ほぼシード権を手中に収めた。

三ヶ島選手が日本女子プロゴルフ協会の正会員になる方法は2つある。プロテストを受けて合格するか、ツアーで優勝するかのどちらかだ。ツアー優勝を飾り正会員の資格を手に入れるのは、それほど先のことではないだろう。