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2017年女子ゴルフ賞金女王も視野、メジャーハンター鈴木愛

2017 8/3 12:07hiiragi
ゴルフ,優勝
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アマチュア時代は四国・中国で活躍

鈴木愛選手は1994年生まれ、徳島県出身の女子プロゴルファーだ。中学までは徳島県の地元の学校に通い、高校は鳥取県の倉吉北高等学校に入学している。ゴルフ部がある高校で選んだようだが、同じ四国に在る高知県の明徳義塾高校ではなく、海を渡った鳥取県の高校を選んだところが面白い。
それはさておき、中学時代は四国の大会で活躍、家族も将来の女子プロゴルファーを期待してサポートを惜しまなかった。2008年には中学2年生で松山で行われたプロゴルフツアー大王製紙エリエールレディスオープンに出場、3打足りず予選落ちを喫したが、将来に期待を持たせるには十分なラウンドだった。
2009年に四国女子アマチュアゴルフ選手権競技に優勝、日本女子アマチュアゴルフ選手権競技への出場権を獲得した。予選ラウンドは1位タイの成績でベスト32に残りマッチプレーに進んだが、野村敏京選手に敗れベスト16には進めなかった。高校生になると、2011年、2012年と連続して日本女子オープンゴルフ選手権競技の中国地区予選を突破、本選に出場している。
本選ではいずれも予選落ちに終わったが、日本最高峰の大会に出場して得たものは多かったはずだ。2013年には高校を卒業、女子プロテストに挑戦する。

1位通過を逃がしたプロテスト、QTでもフル参戦権を逃がす

2013年女子最終プロテストは3日間54ホール(2015年からは4日間72ホールに変更)によって行われ、上位20位タイまでが合格となり、LPGA会員として登録された。
合格者には2年以内に行われるステップ・アップ・ツアーへの出場権が与えられたが、1位合格者には翌週開催されるmeijiカップから14試合のレギュラーツアーへの出場権が与えられた。トップ合格は-8の倉田珠里亜選手、鈴木選手は16番を終わって単独トップだったが、上がり3ホールで4打落とし-6の3位と、一歩届かなかった。
それでもレギュラーツアーには4試合に出場、予選通過は1試合のみに終わったが、ステップ・アップ・ツアーでは中国新聞ちゅーピーレディースカップでプロになって初めての優勝を果たし、優勝賞金270万円を獲得した。
そして2014年シーズンのツアー出場優先順位を決めるクォリファイングトーナメント(QT)を受験する。新規会員はセカンドQTからの参戦だがステップ・アップ・ツアーの優勝でセカンドQTは免除、サードQTからの参加となった。しかしファイナルQTでは思うようなラウンドができず、結果は52位だった。
この順位だと、2014年のツアーでは試合数も限定され、あまり多くは望めない。

メジャーで飾ったツアー初優勝

2014年シーズン初戦は、ツアー第5戦ヤマハレディースオープン葛城だった。限られた出場チャンスを生かしたかったが、予選落ちを喫してしまう。その次の試合も予選落ちに終わり、初戦から連続3試合予選落ちの最悪のスタートだった。
それでもステップ・アップ・ツアーでは優勝、6位タイ、6位タイと踏ん張りを見せ、レギュラーツアーでもそこそこ結果を残して見せた。そして9月メジャー2戦目となる日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯を迎えた。
注目選手はここまで賞金ランキング1位、前年優勝のイ・ボミ選手、賞金ランキング3位でメジャー2連勝を狙う成田美寿々選手、同4位の申ジエ選手などで、ツアー12位が最高成績の鈴木選手は、話題にも上がらなかった。
初日は首位と1打差の-2で2位タイに着ける。2日目は-5で回りトータル-7で2位に4打差をつけて首位に躍り出た。このまま優勝すれば宮里藍選手を抜いて、大会史上最年少記録となるため、俄かに注目を集めた。3日目は+3とスコアを崩すが、2位とは1打差で首位のまま最終日を迎えた。そして最終日1打スコアを伸ばし2位と1打差で逃げ切り優勝を果たした。
ツアー初優勝をメジャーで果たし、賞金2520万円と3年間のシード権を手に入れる。

競技失格

2014年はレギュラーツアー27試合に出場、賞金獲得額約6千万円で13位に着ける躍進を見せた。
2015年はますますの躍進が期待されたが、33試合に出場して予選通過25試合、予選落ち6試合、棄権1試合、失格1試合の内容で、賞金獲得額は約5千6百万、ランキングは14位と成績は伸ばせなかった。
失格となった試合は、5月に行われた中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン。ウォーターハザード内にあるボールを打とうとした際、葉っぱを取り除いたようだ。しかし問題はここではない、この行為に対して2罰打のところ、1罰打として申告、後でわかって失格となった。同伴競技者2人と確認の上1罰打にしたというから、女子プロゴルファーのルールに対する認識の低さを露呈する出来事となった。
しかし、2016年は目覚ましい躍進を果たす。序盤から優勝争いを演じ、5月に行われた中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンでツアー2勝目を果たす。
この試合は申告ミスで失格となった因縁の試合だ。特別な思いがあったかもしれない。最終日首位タイでスタートするも、下位選手の追い上げをかわし切れずプレーオフに突入、1ホール目、2ホール目とバーディを奪い3人によるプレーオフを制しての優勝だった。そして2年前初優勝を飾った日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯がやって来た。

メジャー2勝目を挙げ賞金ランキング5位に躍進

鈴木選手のツアー初優勝は2014年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯だったが、それから2年間メジャー大会はすべて外国勢が優勝を飾り、7試合連続日本人のメジャー優勝者は現れていなかった。
その中で鈴木選手が躍進を見せる。初日は首位と5打差+1の12位タイでスタートを切ると、2日目はパープレーながら8位タイに浮上、首位とも3打差に縮まった。3日目は+3で回りトータル+4と10位タイまで順位を下げる。首位には-1で前年度優勝のテレサ・ルー選手が着けた。
テレサ・ルー選手はこれまでに10勝を挙げメジャーにもめっぽう強い。この難しいコースで5打差の逆転は不可能に思えた。しかし最終日テレサ・ルー選手が崩れてしまう。10位タイから出て-3とスコアを伸ばした鈴木選手がトータル+1で5打差を逆転、今季2勝目をメジャーで飾った。
2016年は32試合に出場、2勝を挙げ賞金獲得額も1億円を突破、賞金ランキングも5位に躍進した。2017年は5月に行われたほけんの窓口レディースで優勝を飾り、6月のサントリーレディスオープンゴルフトーナメント終了時点では賞金ランキングも2位に着けている。
外国勢に3年連続賞金女王を許している2017年は、鈴木選手の出番かもしれない。