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悲劇の主ダスティン・ジョンソン選手は世界ランキング1位に定着するか

2017 4/12 20:20hiiragi
Dustin  Johnson
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遠かった世界ランキング1位の座

アメリカPGAツアーの2015-2016シーズン、ダスティン・ジョンソン選手は22試合に出場して優勝が3回、獲得賞金額は9,365,185ドルで賞金王に輝いた。
6月には全米オープンに優勝すると、2週後の世界選手権シリーズWGCブリヂストン招待にも優勝して世界ランキングも2位まで上げる。好調は秋まで続き、プレーオフ第3戦BMW選手権でも優勝するが、世界ランキングで1位になることはなかった。しかし2017年、ついにその座を手に入れる。ダスティン・ジョンソン選手は世界ランキング1位に定着できるのだろうか。
ダスティン・ジョンソン選手には驚異的な飛距離がある。2015-2016年シーズンの平均飛距離は313.6ヤードでツアーランキングは2位だった。飛距離のアドバンテージは、イーグル数にも表れていてシーズン16個は1位タイだ。
しかし、不安要素もある。最終日の成績がよくないのだ。シーズン平均スコアは69.172で堂々の1位だったが、最終日になると70.05と32位タイまで落ちている。 そしてもう一つ、数字では表れない不安要素がハプニングだ。ダスティン・ジョンソン選手には悲劇とも思えるハプニングがついて回る。

ダスティン・ジョンソン選手について回る悲劇・バンカーでソール

ダスティン・ジョンソン選手の2016年末の世界ランキングは、ポイント数9.533、試合数47で、ジェイソン・デイ選手、ロリー・マキロイ選手に次ぐ3位だった。ジェイソン・デイ選手のポイントは40試合で10.9145と約1.4ポイントの差がある。総ポイントにして約65ポイント、メジャーで優勝すれば100ポイントなので、十分に可能性のある数字だ。
しかし、ダスティン・ジョンソン選手にはここ一番でなぜか悲劇がついて回る。2010年全米プロゴルフ選手権はウィスコンシン州にあるウィスリングストレイツで行われた。このコースは大小バンカーが1000か所もあるコースとしても有名だ。
初日-1の24位と、トップと3打差でスタートを切ると2日目、3日目も好調維持のまま-10と2位タイまで順位を上げ、最終日は最終組でラウンドした。そして、1打伸ばして-11で最終18番を迎える。この時点で首位は-11。しかし、1打目は大きく曲がってギャラリーの中へ。何とかパーで切り抜けてプレーオフかと思われたが、ここで思いがけないペナルティーが課せられた。
2打目地点がバンカーだと言うのだ。ギャラリーが踏む場所にある小さなバンカーに気がつかず、ソールしてしまったための2ペナルティだった。メジャー初優勝の夢が消えた、痛恨のバンカーショットだった。

ダスティン・ジョンソン選手について回る悲劇・4mから3パット

2015年全米オープンはワシントン州のチェンバーズベイGCで行われた。このコースはスコットランドのコースを彷彿とさせるリンクスコースで、グリーンのアンジュレーションやボアナ芝の群生に加え、コースレイアウトなどでもあまり評判のいいコースではなかった。この大会でもダスティン・ジョンソン選手は、つかみかけたメジャータイトルを逃がしてしまう。
3月の世界ゴルフ選手権WGCキャデラック選手権に優勝、マスターズでも6位に入り臨んだ大会だった。初日から好調なゴルフを展開し、-5のトップタイで1日目を終える。2日目は+1とスコアを落とすものの、3日目はパープレーで粘り、トップタイで最終日を迎えた。
この時点でトップタイは4人、最終組はダスティン・ジョンソン選手とジェイソン・デイ選手、1組前がジョーダン・スピース選手と南アフリカのブランデン・グレース選手だった。
最終日はさすがにスコアが伸びない。一組前をプレーするジョーダン・スピース選手が-5でホールアウトすると、ここまで-4のダスティン・ジョンソン選手は、最終18番、600ヤード超のパー5を約4mに2オンする。1パットで優勝、2パットでプレーオフだった。しかし、イーグルパットは入らず、バーディパットも外してプレーオフには残れなかった。

ダスティン・ジョンソン選手について回る悲劇・グリーンで動いたボール

2016年ダスティン・ジョンソン選手は念願のメジャータイトルを手に入れる。 メジャー第1戦マスターズは3日目首位と3打差まで詰め寄るものの、最終日1打しか伸ばせず、首位と4打差の4位タイで終わった。
続くメジャー2戦目は全米オープンだ。この大会は、決めれば優勝の4mのパットを外し、優勝ができなかった苦い思い出のある大会だ。会場はオークモントCC、7219ヤード、パー70で行われた。
初日は天候に恵まれず雷雨でサスペンデッド、スタートもできないまま終わってしまう。2日目は36ホールを回り、67-69と一気に-4までスコアを伸ばす。3日目も翌日に持ち越され、第3ラウンドを71で終了、首位と4打差の2位タイで第4ラウンドに入った。
そして迎えた5番ホールでグリーン上のボールが動く。この時は申告して、無罰でプレー続行となった。しかし、競技委員会はペナルティが課せられる可能性のあることを12番ホールで告げるのだ。
最終日の終盤、5番のスコアがパーかボギーかわからないまま優勝争いを続ける羽目になった。結局ペナルティは課せられスコアは修正された。それでも、2位との差が大きく事なきを得るが、一つ間違えば、大きな悲劇になるところだった。

年間王者を逃がした2016年プレーオフ・そして2017年頂点へ

メジャー初優勝を遂げた全米オープンの翌々週行われた世界選手権シリーズ、WGCブリヂストン招待にも優勝を遂げたジョンソン選手は、全米オープンでは予選落ちを喫するもののプレーオフシリーズ第3戦BMW選手権で優勝をして、フェデックスカップ1位で2016年最終戦ツアー選手権byコカ・コーラに臨んだ。
初日を-4の首位タイで発進すると、2日目は-3で回り-7で単独首位に立つ。3日目は-1でトータル-8、首位タイで最終日を迎えた。
ここまでの戦いぶりから、ジョンソン選手有利の声が圧倒的だった。しかし、最終日に崩れる。前半2バーディ3ボギー、後半致命的なダブルボギーを叩き+3とトータル-5で6位タイまで後退した。
優勝はロリー・マキロイ選手だった。マキロイ選手はこの優勝で年間王者を獲得、ジョンソン選手は2位で終わってしまった。結局2016年は世界ランキングは3位で終わってしまう。
2017年、ついに世界ランキング1位に上り詰める。2月に行われたジェネシスオープンは悪天候の影響で最終日は36ホールの変則日程になった。そんな中2位に5打差をつけて優勝を飾り、見事栄光を手に入れた。後は圧倒的飛距離を武器に1位の座を守るだけだ。