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ハミルトン抑えボッタスが開幕戦制す 次戦バーレーンでフェラーリ勢の逆襲はあるか

2019 3/27 15:00河村大志
ハミルトン,Shutterstock.com
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2019年F1開幕戦をプレビュー

ついに始まったF1・2019シーズン。開幕戦のオーストラリアGPは大方の予想を覆す結果となった。開幕前のバルセロナテストでは常にトップタイムを記録し、開幕戦でも速さを見せると思われていたフェラーリは、予選・決勝ともにメルセデスに大きな差をつけられた。

予選ではルイス・ハミルトン(メルセデス)がポールポジション、バルテリ・ボッタス(メルセデス)が2位に入り、メルセデスがフロントローを独占。ハミルトンは予選3位に入ったセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に対して0.704秒という大差をつけた。

今年から空力面のレギュレーションが変わり、約1.5秒遅くなると言われていたが、今年のポールタイムは去年より0.678秒速くなっていた。規制が入ったにも関わらずタイムが上がっているのをみると、F1は常に進化し続けていることを改めて思い知らされた。

決勝では2番手スタートのボッタスが好スタートを決め、トップで1コーナーへ。いきなりトップに立ったボッタスが5度のワールドチャンピオンであるチームメイトを相手に、影をも踏ませない見事な走りを展開した。

一方、メルセデスのライバルであったフェラーリ勢は予選で大差をつけられ、決勝でもメルセデスに勝負を挑むスピードがなかった。3位につけるベッテルはハミルトンに対してアンダーカットを仕掛けるため、わずか14周でピットイン。ベッテルに抜かれないためハミルトンも15周目にピットインを済ませる中、ボッタスは定石通り23周目にピットインし、誰にも脅かされることなくファステストラップを更新しながらレースをリードした。

去年1勝もできなかったボッタスがハミルトンに対し20秒差をつけて優勝。レース終盤にファステストラップを奪われるものの、残り2周でファステストラップを更新し、フルマーク26ポイントを獲得した。

2位に落ちたハミルトンはボッタスに逃げられてしまったが、レース後に左リアタイヤ前のフロアにある気流を制御する装置が外れていたことが判明。このアクシデントがなければどうなっていたのか気になるところだ。

メルボルンが開幕の地になって以降、開幕戦で同じチームがワンツーフィニッシュを決めた時、勝ったドライバーが必ず年間チャンピオンになっているという面白いデータがある。 昨年、不運やチームオーダーで1勝もできなかったボッタスがいきなりチャンピオン争いの主役に躍り出た開幕戦。このデータ通りなら今年のチャンピオンはボッタスということになるが…。

M.フェルスタッペンが3位に入り、ホンダは2008年以来の表彰台獲得

メルセデスが今年も強さをみせた開幕戦だったが、我々日本人にとって喜ばしいレースでもあった。 今年からホンダPU(パワーユニット)を搭載するレッドブルはストレートスピードが上がり、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がフェラーリ勢をしのいで3位表彰台を獲得した。ホンダの表彰台は2008年のイギリス以来、11年ぶりとなった。

今回レッドブルがフェラーリの前に出た要因は2つある。まずベッテルがハミルトンにアンダーカットを仕掛けるために早めのピットストップを実行し、すかさずハミルトンもこれに反応した。しかし、フェルスタッペンはこのフェラーリの動きに惑わされることなく、自分のペースで周回し、セオリー通りピットストップを行った。これによりフェルスタッペンはベッテルより10周分若い(新しい)タイヤでレース中盤から後半を走る事ができ、差を詰めて行けた。

しかし、去年までのレッドブルであれば差を詰めるだけに終わっただろう。今年はルノーPUからホンダPUに変わり、パワーが増した。直線が比較的短く、抜きどころが少ないアルバートパークでは、直線スピードが劣っていれば前車を抜くことはできない。ベッテルより新しいタイヤであったこともあるが、コース上で抜いたのはホンダPUのパワーがフェラーリに追いついている証拠でもある。

今回はタイヤのライフがフェラーリより余裕があったこと、そしてホンダPUを搭載したことにより直線スピードが飛躍的に向上したことが3位表彰台に上がれた要因ではないだろうか。

バーレーンGPの優勝者は?

開幕戦の舞台であるアルバートパークサーキットはアルバートパークという公園内にある湖の周りの公道と駐車場の一部が使われているサーキットで、F1以外で使われることはない。つまり、常設のサーキットではなく、レイアウトやコンディションも含めて「特殊」なサーキットなのだ。このことから開幕戦での結果はあまり参考にならない。

つまり第2戦、第3戦の結果から今年の勢力図が見えてくるというわけだ。第2戦の舞台はバーレーンで砂漠の中にサーキットがある。コースの特徴は低中速のサーキットでレースは夜に行われる(ナイトレース)。

去年のフリー走行では、フェラーリが全て制している。しかし、去年の優勝はチームのミスをベッテルが見事にカバーしたレースでもあった。コースの特性上メルセデス、そしてハミルトンが得意とするサーキットであり、やはりメルセデスが優位なのではなかろうか。

開幕戦で見事優勝を飾ったボッタスだが、この優勝でハミルトンも巻き返してくるはず。開幕戦では予選で他を圧倒し、決勝でもダメージを負いながらも2位に入ったハミルトンが何もトラブルがなければ優勝候補最有力だ。覚醒したボッタスとの戦いに注目だが、フェラーリが本来のスピードを取り戻しているのかにも注目したい。