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歴史を紐解く!F1レギュレーションの変遷

2017 6/13 12:41ユタロー
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Photo by Digital Storm/Shutterstock.com

F1レースは、マシンに対するレギュレーションが頻繁に変わることでも有名だ。 毎年、どのようにレギュレーションに対応していくのかファンの楽しみの1つになっているが、このレギュレーションの変遷はどのようになっているのだろうか? レギュレーションの歴史について解説する。

F1レースはいつからあるのか?

F1レースは、1946年に国際自動車連盟(FIA)が発足して初めてフォーミュラ規格が制定された。 規格は制定されたものの、終戦直後、環境が整っていない状態でレースを開催するのは難しく、実質的に初めてのグランプリレースは1950年5月13日に開催された。
この時、マシンの台数は21台であり、ほとんどが戦前のマシンの流用だった。規格としてもひとまず過給機付きで1500cc、過給機なしの場合は4500ccと定められているのみだった。

1980年代までのレギュレーションの変遷

1980年代までは、F1レース業界はまだ手探り状態であり、明確な規定がなされていないことが多くあった。 当初の過給機付きで1500cc、過給機なしで4500ccという規格だけで進められており、1954年から初めてガソリンの種類についても規定されるようになった。
また、1960年を過ぎるとマシンは自然吸気のみとなり、さらに1.3~1.5リッターのみの制限となり、F2規格と混走するという事態は避けることができるようになった。
その後、安全のための車載消火器の設置や、エアロフォイル規制、最低重量やエンジンの気筒数など、徐々に細かく制定されていった。

1990年代のレギュレーションの変遷

1991年には、これまで導入されていた有効ポイント制をなくしてしまい、全戦ポイント制に変更された。それに伴い、選手への安全性を高めるためマシンのレギュレーションが大幅に変更となった。
1993年からは、マシンに対するレギュレーションは一気に近代化の一途をたどる。マシンのハイテク機器の精度が向上したことにより、ダウンフォースを減少させるためのレギュレーション変更が行われた。また、ハイテク機器による勝敗の差が開いてしまうことを懸念して、トラクションコントロール、アンチロックブレーキシステムなどの使用禁止が決定している。
ちなみに、ダウンフォースを減少させたことにより事故が増加し、そのレギュレーションについては1年で廃止となった。そこから1990年代後半は、安全性を高めるレギュレーションに特化していく。

2000年代のレギュレーションの変遷

これまで、マシンの性能の向上や安全性の向上についてのレギュレーション、またはハイテク機器の台頭を抑制するためのレギュレーションが変更されてきたが、2000年を過ぎると、コスト削減や環境問題に関するレギュレーション追加が顕著にみられるようになった。
2000年代半ばまでは、相次ぐレギュレーションの変更により、やや迷走気味になってしまう。その状況を打破するため、2006年にはこれまでにない大きなレギュレーション変更が行われた。エンジンはV8で排気量は2400ccまで、これまで不評だった予選方式の1ラップアタックを廃止して3ラウンドノックアウト方式に変更された。
さらに、2009年には追い抜きを発生させるための大きなレギュレーション改定が進み、より白熱した試合展開になるように調整された。

2010年代のレギュレーションの変遷

2010年代は、引き続きエコロジー対策と予算制限が進められ、大きな議論にまで発展している。
特に、予算制限に関しては、開発の遅れなどが引き起こされる可能性があることから、頻繁にレギュレーションが変更されている。
また、2017年はこれまでの20年間で最も大きなレギュレーション改定といわれており、空力やタイヤ幅の変更によりこれまでの最高スピードを落とすレギュレーションから、最高スピードを伸ばすレギュレーションに改定された。

まとめ

F1レース界は、より一層の白熱した試合展開を求め、そして安全性を高めるため、毎年何らかのレギュレーション変更が行われている。 一時的に迷走気味になることもあるが、これからもどのような変更が行われていくのか楽しみだ。