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四大陸フィギュア逆転Vの紀平梨花 強さの裏に冷静な対応力

2019 2/21 11:00田村崇仁
紀平梨花,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

四大陸選手権で初優勝

フィギュアスケート女子で代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に脚光を浴びる16歳の紀平梨花(関大KFSC)が8日、米国カリフォルニア州のアナハイムで行われた欧州以外の国・地域が参加する四大陸選手権で初優勝を果たした。昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルで初出場優勝した伸び盛りのホープはショートプログラム(SP)5位からフリーで逆転し、合計221.99点をマーク。左手薬指の亜脱臼の負傷を乗り越え、土壇場での冷静な対応力と修正能力の高さを改めて示し、3月20日開幕の世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)に向けて大きな弾みをつけた。

難度落として技術点トップ

絶対に巻き返す一心でリンクに立った。前日のSPを終えた時点で首位との点差は5.06。冒頭でSPでは1回転半となったトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を切れ味鋭く決めると、完全に勢いに乗った。出来栄え点(GOE)で2.51点の加点を引き出す最高の形でスタート。3日前に負った左手薬指の負傷で、跳び上がる際に両拳を強く握れず、ジャンプの回転スピードに影響が出ていたが、それを感じさせなかった。最後まで7本全てのジャンプでプラス評価を得る4分間のプログラム「ビューティフル・ストーム」を滑り切ると、思わず右腕を突き上げた。フリーで自己ベストに1.58点に迫る153.14点。2位のエリザベート・トゥルシンバエワ(カザフスタン)に14.53点差をつける圧勝で今季の国際大会を5戦5勝とし、その勢いと底知れぬ力をアピールした。

四大陸選手権表,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

冷静な判断で修正したのは薬指が曲げられないため空気抵抗が多少大きくなることも計算した跳び方。腕を振り上げ、体を締めて回転軸をつくるタイミングをいつも以上に「強く、早く」と意識し成功につなげた。 演技構成はトリプルアクセルを1本のみに戦略的に変更。2本目の3回転半を回避し、難度を落としてダブルアクセル(2回転半)―3回転トーループにしても冒頭2本のGOEで計3.89点の加点を引き出し、つかみ取った頂点に価値がある。2度の3回転ルッツのコンビネーション、3回転フリップ、3回転サルコーなど一つ一つのジャンプの質も高く、ピアノの調べが奏でる音楽に合わせて体全体を伸びやかに使って表現した。

故障を抱えながらスピン、ステップも全て最高難度のレベル4をマーク。技術点の合計は82.74点で唯一の80点台に乗せた。SP1位のブレイディ・テネル(米国)、同2位から2連覇を狙った坂本花織(シスメックス)がジャンプでミスをして技術点で伸び悩み、それぞれ5位、同4位に終わったのとは対照的だった。

演技内容表,ⒸSPAIA

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