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フィギュア・アクセルジャンプの歴史や得意な選手を紹介!

2017 7/12 14:39masumi
浅田真央
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Photo by Iurii Osadchi/Shutterstock.com

フィギュアスケートのジャンプは、プログラムで大きな見どころである。 中でもアクセルジャンプは他とは違う難しさがあり、競技会では勝敗のカギを握ることも多い重要な技だ。 ここではアクセルジャンプとはどんなものなのか。また歴史や高難度のアクセルジャンプを成功させた選手と共に紹介する。

アクセルジャンプとは?

ISU(国際スケート連盟)に規定されているジャンプには、回転ごとに6つの種類がある。着地の仕方はどのジャンプもすべて後ろ向きで、踏み切り時の違いによって区別されている。
アクセルジャンプの大きな特徴は、踏み切りが唯一前向きであることだ。着地が後ろ向きであるのは変わらないため、後ろ向きで踏み切る他のジャンプと比べ、0.5回転分多く回ることになる。このことから、日本では整数回転のジャンプと区別して「〇回転半ジャンプ」とも呼ばれている。
アクセルジャンプはトウピック(つま先部分)を使わないエッジジャンプで、踏み切り時のエッジはアウトサイドだ。
なお、半回転のみの場合はスリージャンプ、またはワルツジャンプと呼ばれ、競技会では採点対象になっていない。

アクセルジャンプの難易度

フィギュアスケートの6種類あるジャンプの中で、アクセルジャンプの難易度は最高位に設定されている。
難易度が高い理由として、アクセルジャンプは前向きに踏み切って後ろ向きに着氷するため、回転数が他のジャンプより0.5回転多いことが挙げられる。また、踏み切りが唯一前向きであるため、タイミングとバランスのとり方が難しいと言われている。
3回転ジャンプでの基礎点を比べてみると、フリップは5.3、その次のルッツは6.0とその差が1.3であるのに対し、その上のアクセルでは8.5と大きく跳ね上がっている。GOE(出来栄えによる加減点)の幅もほかの5種類のジャンプより大きく、得点の設定からもアクセルジャンプの難しさがうかがえる。

アクセルジャンプの歴史

「アクセルジャンプ」は、考案者であるアクセル・パウルゼン(1855-1938)さんの名に因(ちな)んでいる。
初めてアクセルジャンプが披露されたのは、1882年にウィーンで開催された国際大会だ。アクセル・パウルゼンさんはノルウェー出身のスピードスケートとフィギュアスケートの選手で、アクセルジャンプを跳ぶときに履いていたのはスピードスケートの靴だった。
この後、1920年にノルウェーのソニア・ヘニーさんが女子初のシングルアクセル(1回転半)、1948年にアメリカのディック・バトンさんがダブルアクセル(2回転半)と、アクセルジャンプは少しずつ進化の道を辿る。
初のトリプルアクセル(3回転半)は1978年、カナダのヴァーン・テイラーさんが世界選手権で成功させている。

女子フィギュア界のパイオニア。伊藤みどりさん

トリプルアクセルを女子選手で初めて成功させたのは、愛知県出身の伊藤みどりさんだ。
競技会での初着氷は1988年の愛知県フリー選手権で、国際大会では同年に開催されたNHK杯で成功している。男子でも成功者が少なかった時代に跳んだ伊藤みどりさんのトリプルアクセルは、男子選手をも上回るほどの高さがある素晴らしいジャンプだった。
1992年にはアルベールビルオリンピックに出場し、トリプルアクセルを決めて銀メダルを獲得している。 伊藤みどりさんは、ほかにも3回転+3回転のジャンプコンビネーションなど数多くの初成功を成し遂げており、「最も高得点をとったフィギュアスケーター」としてギネス世界記録に登録され、日本人初の世界フィギュアスケート殿堂入りも果たしている。

トリプルアクセルが代名詞。浅田真央さん

浅田真央さんは、小学生の時にはトリプルアクセルを跳び始めていた。ノービス時代の2003年、中部ブロック大会で早くもトリプルアクセル+2回転トウループのコンビネーションジャンプに成功している。
以降も2004年のジュニアグランプリファイナルで女子ジュニア史上初のトリプルアクセル、2005年の全日本選手権では女子シングル史上初となる2度のトリプルアクセルと、大会ごとに成功させて表彰台に上っている。
2010年のバンクーバーオリンピックでは、ショート・フリー合わせてトリプルアクセルを3回成功させ、ギネス世界記録に認定された。
トリプルアクセルは男子選手でも難しい技で、女子で成功させた選手は数人しかいない。試合ごとにプログラムに組み込んでチャレンジし、何度も成功させてきた選手は浅田真央さん、ただ一人だ。

まとめ

アクセルジャンプは6種類あるジャンプの中で最も難度の高いジャンプだ。 特にトリプルアクセルは高い基礎点と出来栄え加点による高得点が期待でき、男子では多くの選手がプログラムに組み込んでいる。 女子では2015年にロシアのトゥクタミシェワ選手、2016年に日本の紀平梨花選手がトリプルアクセルを成功させている。 男子では4回転トリプルの可能性も語られており、男女共に今後への期待が高まっている。